お昼
「じゃあ、次は小物だな。」
XYZマートの向かいにハマダキヨシが在るのでそこに向かうことにした。
ガー!
自動ドアが開き、アリシアは一瞬ビクッっとなったが、さすがに2回目だったので声を出して驚くことは無かった。
「ヨシカズさん、ここは何ですか?」
「ん? ああ、ここは薬とか石鹸とかの小物とかを取扱ってるお店だ。
アリシアの歯ブラシとかコップを買いに来たんだ。」
「歯ブラシ?」
「歯ブラシは口の中を掃除するための道具だ。向こうでは食事をした後はどうするんだ?」
「えっと、水で濯いだ後に布で歯を拭くくらいですね。」
「そうか、こっちの世界ではこれを使う。」
洗面道具売り場まで来たので、歯ブラシと歯磨き粉を手に取って渡した。
「棒に毛が生えてますが、どうやって使う物なんですか?」
「後で教えてやるよ、色はそれで良いのか?」
何も考えずに赤い歯ブラシを渡したが、他にも青やら緑とか色んな種類が置いてあった。
アリシアは一通り歯ブラシを見たが、俺が渡した歯ブラシを持って、
「ヨシカズさんが選んでくれたコレが良いです♪」
「そ、そうか。」
アリシアがニコニコと嬉しそうな顔でそう言ってきた。照れるな…
後はコップ、タオルやらアリシア用として必要と思われるものを幾つか籠に入れる。
よし、会計するかとレジに向かうと、途中で化粧品売り場が目に入った。
俺には必要無いが、アリシアには必要か?
「なぁ。」
「はい、何ですか?」
「アリシアって化粧とかってするのか?」
「化粧ですか? いいえ? 化粧は貴族様くらいしかしませんよ?」
一応化粧と言う物自体は知っていたみたいだ。
まぁ実際、アリシアの肌は綺麗だし、必要は無いのかもしれない。
でも、若い子でもスキンケアは必要と聞いたことが有るし、う~ん…
「そんなに高い物でも無いし、乳液と化粧水くらいは買ってやるか。」
どれが良いのか分からなかったので、中くらいの値段の乳液と化粧水、後はコットンを購入することにした。
レジで会計を済ませ、お店を出た。
「そろそろお昼時か、アリシア飯食いに行くぞ。」
「え? でも、朝に食べましたよね?」
「食べたけど、それがどうしたんだ?」
「あ、いえ、その…私は普段朝と夜しか食べない物でして…
場合によっては、朝も食べられない時も時々…」
「一応確認のために聞くが、食べたくないって訳では無いんだよな?」
俺がそう言うと、
ぐぅ~~~~!!
「!?」
絶妙なタイミングでアリシアのお腹が鳴った。どうやら代わりにお腹がが返事をしてくれたみたいだ。
さすがに誤魔化せないと、アリシアは恥ずかしそうにコクンと頷いた。
「ほら行くぞ!」
「はい♪」
・・・・
やってきたのは駅のすぐそばに在る、立ち食いソバ屋だ。
…何だよ、早くて安いし、そして何より旨い。良いじゃんかよ。
「アリシア、何食べる?」
「えっと、何が有るんでしょうか?」
「あー説明するのも面倒だし、万が一のアレルギーも有るかもしれないし、ソバは辞めてうどんにしよう。
トッピングはどうすっかな…かけうどんで良いか。」
俺は食券器にお金を入れ、かけうどん2つを購入する。決してケチだからではないとだけ言っておく。
カウンターに食券を渡して暫し待つ。
「はいよ! かけうどん2つ!」
すぐに出された丼を持って空いているスペースへ移動する。
「はい、アリシアの分。」
「ありがとうございます。これって何ですか?」
「これはうどんって食べ物だ。このネギ…緑の野菜と、茶色の天かすを乗せて食べるんだ。」
割り箸を取って気が付いた、アリシアは箸が使えないんだったっけ。
「すいません、フォークって有りますか?」
「有るよ、ちょっと待ってて。」
どうやら外人さん用としてプラスチックのフォークが有ったみたいだ。
それを受け取り、アリシアへと渡した。
「ありがとうございます。」
「よし、食うか。」
俺はネギを山盛り、天かすは少々、七味を適当に振りかけて食べる。
ずずぅ~!!
うん、良くも悪くも立ち食いソバの味だ。
ふと視線を感じたのでそちらを向くと、アリシアがじっと俺が食べるのを見ていた。
どうやら食べ方が分からなかったらしい。
そして、アリシアが俺の真似をしてネギを山盛り、天かす少々、七味を振りかけ…あっ!
「アリシア、ストーップ!!」
「えっ?」
俺は結構辛党だ。真っ赤…までは行かないが、それなりに振りかけている。
アリシアが辛党かどうかは分からないが、俺と同じく沢山振りかけてしまっていた。
俺が声を掛けたタイミングは、フォークでうどんを刺して、ちゅるんと口に入れた瞬間だったのだ。
「ふごっ! げふっ! げふぉ!」
何か女の子が出してはイケナイ声が聞えた。
「ほら、水だ!」
俺がコップを手渡すと、ゴクゴクと一気に飲み干した。
「くひのなかがいたひです…」
アリシアが舌を出して涙目になっている。
「ゴメン、説明し忘れていた。
その赤い粉な、人によっては結構辛い物なんだが、大丈夫だったか?」
「だめでふ。」
ですよね~、仕方が無いのでもう1杯頼むのだった。
そして、これは俺が処理することにしたのだった。




