下世話
「それで、本当の所どうなんだ」
「だから持ってませんってば」
いま食材を買うためにスーパーに来ているのだが先輩がとにかくうざい。
まったくもう。これも、高崎さんのせいだ。
先ほどの誤解は解けたというか高崎さんが、冗談ですと自白したおかげで、片が付いた。
しかし、別の問題が発生した。
それは、先輩がなぜか、エロ本の所持数に興味をしめしたからだ。
「そんなわけないだろう。君も健康な男子なのだから」
このやり取りはもう何度目だろうか。
何度、持っていないと言ったところで信じてくれない。
この事態を起こすきっかけとなった高崎さんは、僕たちの少し後ろを楽しそうにカートを押しながら傍観している。
もちろん、メイド姿で。
はぁ、絶対これ悪目立ちしてるよ。
「そもそも、何でそんなに興味津々なのですか」
「それは、あれだ。君の性事情を把握することが私の今後を左右するからな」
「何がどう左右するんですか。いい所のお嬢様である先輩が下世話な話ってそこの所どうなんですか」
眉を顰め怪訝そうな顔をする先輩。
「まったく。君はお嬢様が下世話な話をしないという幻想にでも憑りつかれてるのかな」
「幻想は理想でもありますよ」
「なら、君の理想は高いと言わざる負えない」
「はいはい。なら、高くて良いですよ」
「良くない。いいかぁ―――」
「声のボリューム落としてください」
言葉を遮り、興奮している先輩を注意する。
「いいかぁ。そういう事にも知識がないと、いざって時に困るのだぞ」
「いやいや。まだ早いでしょう」
「何故だ。私は結婚できる年だ。何も問題ない」
「そりゃそうかもしれないですけど」
「何が問題なのだ。私は尽くすタイプだぞ」
「そんなことは聞いてません」
いけない妄想をしてしまい顔が赤くなる。
「いま、想像しただろう」
ニタニタと笑みを浮かべた先輩が言う。
「坂上様はむっつりなのですね」
今まで傍観を続けていた高崎さんが口を挟んできた。
「ちょっと何言ってるんですか、違いますよ」
「ちなみに私は、管理するタイプですね」
高崎さんの発言にまたしてもいけない妄想をしてしまう。
「だからぁ」
「あらあら。お嬢様、これは由々しき事態ですね」
「そのようだな」
「これは、特訓が必要ですね」
僕を置いてけぼりに、話はどんどんおかしな方向へと進んでいく。
「由々しき事態って、それに特訓てなんですか」
「それは、まだ秘密です」
高崎さんのその顔に身震いを覚えた。
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