#729 ミスリルゴーレム狩りとクラテールの赤ワイン
明日からの四連休ですがギリギリまで二話更新するか悩んだ結果、感想で告知していた第一章から予定では第二章まで大規模修正を行いたいと思います。
更新につきましては今まで通り実地致しますので、ご安心してください。
また連休明けの更新でコミックス一巻の告知をされていただきます。
ケーキを食べてばかりいたせいで夕飯の支障をきたす。胃もたれなどするはずないんだが、気分が食事胃もたれしてた。自分でも意味不明だと思うが言葉で表すならこういうことになると思う。
ログインすると元気がいいメルたちに遭遇。いいよな~…適度にケーキを食べた人たちは。
「どうしたの? タクト?」
たくさん食べても平気な娘たちもね。夜はイベント参加してくれる人たちと島に向かう。そこで伝説武器を貸して、ミスリルゴーレムを出すことになっている。
「やったるぜ!」
「俺は無敵だ!」
「負ける気がしないな!」
まぁ、頑張ってくれ。それではミスリルゴーレムを出そう。
「く…全員、引くな!」
おぉ!ミスリルゴーレムの光線を防いでいる!流石帝さんたちだ。
「爆弾、投げます!」
「行くぜ! ブリューナク!」
足元に爆弾を投げてバランスを崩したミスリルゴーレムにブリューナクが投げられる。するとミスリルゴーレムはなんと液体になり、ブリューナクの攻撃を躱した。この瞬間、ミスリルゴーレムの進化先がはっきりわかった。
「あれはプラチナゴーレムの液状化能力です!」
「ブリューナクは必中必殺の槍じゃないのか!?」
「液体化したミスリルゴーレムの体に触れているから当たってるぞ。それでも死なないからミスリルゴーレムには即死耐性か即死無効があるんだろうな」
「液体化はコアまで液体化するので、大変ですよ。これ」
だな。俺の時は偶然スピカの激突の効果が発生して、液体化出来なかったんだろう。リリーたちの攻撃はそこまで驚異に感じなかったってことかな?舐められたものだ。
「なんだそりゃ」
「下から来るぞ! 引け!」
液体のミスリルがプレイヤーたちがいる地面に広がり、ミスリルの剣山がプレイヤーたちを襲う。やはり強い!
「く…あれを破壊してくれ」
「任せろ! グランドスマッシュ!」
一人のプレイヤーがアダマンタイトの斧を地面に叩きつけ、壊すと液体のミスリルが集まり、ミスリルゴーレムとなる。そして腕を突き出すと腕が伸びる。なんとかガードするがフィールドに叩きつけられる。更に腕を元に戻すと死滅光線が放たれる。
「…いやいや。強すぎじゃない? ミスリルゴーレム」
「だから俺はそう言っているだろう?」
「格闘家とは相性良さそうかな? ミサイルとか蹴り飛ばしちゃえばいいし」
「俺にはその余裕が通用するような相手には見えないがな」
俺もケーゴの意見に賛成。簡単に倒せるような相手ではないだろう。それでも全職種の中でもかなり有利だとは思うけどね。するとブルーフリーダムたちがミスリルゴーレムに挑む。
「あの光線を普通に躱すか…相変わらず凄いな」
「肉薄するぞ」
さぁ、ミスリルゴーレムはどうする?ミスリルゴーレムは体中からミスリルの鎖を出し、ブルーフリーダムのメンバーを拘束する。
「な…躱せなかった!?」
確定で拘束するスキルか。そしてミスリルゴーレムの胸が開くと砲身が現れる。
『うそぉ!?』
エネルギーが溜まっていく。それをみんなは逆にチャンスと考えた。
「あの砲身を狙え!」
「グラム!」
「今度こそ! ブリューナク!」
みんなの一斉攻撃がミスリルゴーレムに迫る。
「功を焦っちゃったな。攻撃はずらさないとミスリルゴーレムには通用しない」
案の定、絶対防御で全て防がれる。俺はちゃんと絶対防御のこと、話したぞ。
『あ…』
ミスリルゴーレムの魔導砲が放たれる。これで終わったと思ったが男の聖職者が生き残っていた。
「「「「リザレクション!」」」」
『『『『リザレクション』』』』
蘇生魔法だ。ただし一人しか蘇生出来ない。魔導書とスキルを活用しても八人の蘇生が限界みたいだな。
「後は…任せたぞ! みんな!」
飛んできたミサイルを受け入れて、彼は死んだ。
「絶対に倒すぞ! さっきのパターンに誘導する! 絶対防御は一度のみのはずだ! 次は攻撃をずらして決めるぞ!」
『おぉ!』
聖剣グラムを囮に使うとミスリルゴーレムは障壁を使用する。やはり障壁も持っているか。しかし障壁ならブリューナクで問題なく壊せる。ブリューナクが砲身に突き刺さり、破壊する。するとミスリルゴーレムは自爆を選択する。しかしブリューナクを使っている人は手元に戻して、投擲の必殺技を使用するとブリューナクはコアを狙い、貫き倒された。
やはり本家の職種で伝説の武器を使うと威力が違うな。最後のブリューナクの一撃は必殺技も乗せたからえげつないダメージが出た。それを知ってもあげるつもりはない。
「聞いていたのより…遥かに強かったぞ…」
「絶対防御のところは完全に熱くなりすぎましたね」
「それにしてもよく初見でこのゴーレムを倒せましたね。タクトさんは」
「召喚獣のおかげさ」
『えへへ~』
俺がそういうとリリーたちは嬉しそうだ。次はメルたちの番なわけだが、俺もそろそろ戦闘をしよう。俺が戦うのはワントワークで出てきた赤兎馬だ。こいつから馬肉が出てくるそうだ。俺はこの条件でミスリルゴーレムを出した。
「それじゃあ、出しますよ。タクトさん」
「…頼む」
俺は迅雷を居合い斬りの構えで待つ。ブルーフリーダムのリーダー君が赤兎馬を出した。そこ!
『『『『アクセラレーション』』』』
一瞬で赤兎馬を両断した。超感覚にも慣れてきて、ようやくアクセラレーション、縮地からの居合い斬りが出来るようになった。また感覚に頼っている点もあるから完璧ではないが手応えとしたら、充分だろう。
「はや…」
「今の見えたか?」
「やることがわかっていたからなんとか…でも実際受けるとなると寿命が縮むね」
つまり受けれると言うことだな。言ってくれるね。解体すると何も落ちない…ふぅ。
「馬肉が出るまで頼む」
『は、はい…』
三匹倒してようやくゲット。他にもゲット出来たのがこちら。
赤兎馬の馬皮:レア度6 素材 品質C
真っ赤な色が特徴的な分厚い馬皮。火属性が宿っており、主に防具として使用される。武器としてはグローブが人気で格闘家からは根強い人気がある。
赤兎馬の馬肉:レア度6 食材 品質C
サラブレッドより脂肪分が多いが、まだ物足りなさを感じてしまう馬肉。あっさりした赤身の味なので、女性には好かれている。
元々廃棄される競走馬が馬肉になるとか俺は噂を信じていたが、焼肉屋の店長の話では一部地域ではあるかも知れないが馬刺しで見るお肉の殆どが体重が重い農用馬を使っているそうだ。軽い馬は説明にある通り、脂肪分が少ないから馬刺しには向かないと言っていた。
俺の目当てはワイン煮込みだから多分大丈夫だと思う。個人的には馬刺し用のお肉で作ってみたかったけどね。贅沢は言わない。
赤兎馬の馬皮は燃えるパンチが打てるんだな。人気があるのも頷ける。さて、もう少し手に入れるか。俺が赤兎馬退治を終える頃にはメルたちもミスリルゴーレムを倒していた。お見事~。
「ある程度、戦い方がわかったから対処できたが…」
「決め手は伝説の武器になっているし、課題はあるね」
「つーか。俺たちがアンナプルナで罠にかかったら、伝説の武器無しで挑むことになるんだよな」
「チロルと雫ちゃんも伝説の武器持っているぞ」
ここは忘れたら、いけないところだろう。
「それは置いといて。対策考えないとダメだろう」
二人に睨まれているぞ。アーレイ。
「ここはサバ缶さんやクロウさんたちに相談だな」
「どんなのがいいかな?」
「相手がミスリルならこちらもミスリルでしょう。銃弾や矢で相手の体に刺さってから爆発するような物がいいと思います」
「後はミスリルのパイルバンカーが効果的だろうな」
ということでみんなはサバ缶さんたちとクロウさんたちのところに依頼に行き、俺は赤兎馬退治をチロルたちと交代してユウナさんのところでクラテールで作った赤ワインをただで貰う。クラテールのお礼だ。
クラテールの赤ワイン:レア度7 料理 品質B+
効果:魔力30%回復、泥酔
クラテールで作られた赤ワイン。食用ではなく、大人がお酒として飲む赤ワイン。泥酔効果があり、飲むと視界がぼやけたり、足元がふらふらしたりするので、街中のお店などで楽しむようにしよう。
クラテールの食用赤ワイン:レア度7 料理 品質B+
効果:魔力30%回復
クラテールで作られた食用の赤ワイン。食用のため、泥酔効果はなく、料理に使用される。煮込み料理やソースに使うと絶品。
これらを持って、帰宅するとヒクスがじゃれついてくる。
「これから馬肉の赤ワイン煮込みを作るから、ちょっと待っててな」
俺がそう言うとグレイたちまで待ちの姿勢。全員食べたいんかい。キッチンに行くとリリーたちが机に座っており、待っていた。聞こえていたんだな。というか全員ケーキを食べたよな?
俺がキッチンに向かうとお客さんが来る。リリーが向かうとお客さんはアンリ姫様だった。
「お邪魔します。凄い色んな匂いがしますね」
「すみません。色んな料理に挑戦しているんです」
「そのようですね」
「それでどうかしたんですか?」
俺が聞くとアンリ姫様は言いにくそうに質問してくる。
「えーっとですね…タクト様は好きな女性の服装とかあるんでしょうか?」
「え?」
突然の質問に思考が停止する。するとリビナが話に飛びつく。
「それはボクも知りたいな。よくよく考えるとタクトはボクらの似合う服装を選んでいるけど、自分が好きな服装を選んでないよね?」
『そういえばそうかも?』
リリーたちがアンリ姫様側に付いてしまった。
「そんなこと言われても、特に好きな服装はないな」
『えぇ~』
アンリ姫様まで言うのかよ。するとイクスが話す。
「マスターの好きな服装は」
「イクス。言うの禁止」
「イエス、マスター」
絶対制服とか言うつもりだっただろう。するとアンリ姫様がイクスに迫る。
「イクスさん、教えてください」
「マスターの命令なので言えません」
「そんな…タクト様」
どうにもアンリ姫様の様子が変だな。俺が疑いの目を向ける。
「な…なんでしょうか?」
何かを隠そうとしている…もしかしてあの姫様ならやりそうか。
「俺は自分で一生懸命考えて選んだ服装が一番好きですよ。そこには気持ちが宿っていると思いますから」
『…』
全員が口を開けられている。やばい…凄い恥ずかしいことを言った気がする。
「あ~…今のは無しで」
「ダメです! 貴重なご意見ありがとうございます! では、私はこれで」
やっぱりシルフィ姫様にお願いされて来たんだな。妹を使うのはどうかと思うけど、それだけ服装や俺のことで悩んでくれると思うとやっぱり嬉しくなる。おっと…中断した料理に向かう。するとリリーたちが騒ぎ出す。
「これからはリリーも服を選ぶ!」
「そうですね! というか今すぐ服を選びに行きましょうか!」
『賛成! タクト!』
あぁ…地雷を踏んじてしまったぁ。なんてこった。
「料理はどうするんだ?」
『あ…』
料理と服。究極の選択の前にリリーたちが相談している。そうこうしている内に料理が完成する。
赤兎馬肉の赤ワイン煮込み:レア度7 料理 品質B+
効果:満腹度50%回復、魔力80回復、一時間筋力アップ(極)
赤兎馬の馬肉を赤ワインで煮込んだ料理。アルコールが飛んでおり、子供でも食べることが出来る。クラテールの赤ワインが使われているため、通常より赤ワインの香りや味が濃くなっている。
さて、リリーたちの選択がどうなったのかと言うと。
『料理を食べてから服を買いに行く!』
「時間がないから今日は諦めなさい」
『そんな~』
俺は外で大人しく待っていたヒクスたちに試しに食べて貰う。ヒクスの反応は上々だ。後はクラテールの赤ワインがヒクスにどれだけの効果は発揮するかだ。
「…ヒック」
クラテールの赤ワインを飲んだヒクスは見事に酔っ払い、じゃれてくる。どうやらヒクスの酒癖は甘え上戸みたいだ。するとノワが影から現れた。俺はクラテールの赤ワインを取り上げる。
「…あぁ~」
「これはダメだ」
「…ヒクスだけずるい」
ノワの抗議を受けていると空間が歪み、ヒッポグリフが現れた。
「また来たのか?」
「ピィ!」
「仕方ないな。今度、一緒に戦うことになるからよろしく頼むな」
「ピィ!」
俺はヒッポグリフに賄賂として、赤兎馬肉の赤ワイン煮込みを上げる。この様子から見て、好物なのは間違いない。これで宝島に行けるだろう。俺はチロルたちに明日の予定を聞くと昼から全員揃うらしいので、明日の昼からは宝島に行くことが決まった。それじゃあリリーたちが何か言い出す前にログアウトするとしよう。




