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第三章 ⑦


 轟さんを救うために、不格好なパズルを組み立てた。

 なら今度は、会長を満足させるために、完璧なパズルを組み上げる。

 組み上げて、みせる。


「…………」


 思い出せ。

 今までの情報を、全て。

 小林秀紀の放った言葉、一言一句を。


「……っ!」


 担任が犯人だと確信したのは、犯人が着ていたジャージが、赤いものだと知っていたからだ。

 そう、犯人は、赤いジャージを着ていた。

 それを着て、犯行を行い、それを着て校舎から出た。

 その後は?

 どこで、着替えたのか?


「小唄」

「はいっ!」

「校内に、赤いジャージは落ちていた?」

「う、うーん……ちょっとわからないです」


 校内をくまなく歩き回っている小唄でも知らないか。

 くそ、どうする……。


「……そういう情報は入っていない」


 困っていた僕にそう言ったのは、藤倉先輩だった。

 そうだ。学園内で起きたことは、全て藤倉先輩のもとに伝えられるんだった。


「本当ですか?」

「……本当。ジャージレベルのものが落ちてたら、必ず私に伝わる。ちなみに、ゴミ捨て場にも、それらしきものはなかった。……ゴミ収集車がくるのも、明日の朝だから、すでに捨てられていることはない。」


 そう言えば、藤倉先輩は生徒会室にあるいらない本の処分とかで、ゴミ捨て場に訪れていたんだったな。

 なら、犯人はジャージをどこに捨てたのか?

 遠く離れた場所、とかじゃゲームオーバーだけど。

 そうじゃないことを祈ろう。


「小林先生」

「ああん?」

「確か、事件のあった日から今日まで、ずっとこの学校に泊まっていたんですよね?」

「……俺が、保証しよう」


 と権堂先生。


「それがどうした!」

「……いえ」


 可能性があるとしたら、この場所だけ、か。

 ……祈るしか、ない。


「……小林先生、貴方の車のカギ、貸してくれますか?」

「あん? どういうことだ」

「犯人は、犯行後、どこかにジャージを捨てた、もしくは隠したはずです。学校内でもゴミ捨て場でもないのなら、可能性があるのは小林先生の車の中、じゃないですか?」

「……っ! だ、誰が貸すか!」

「……それは、犯行を認めているのか? 小林教諭」

「権堂先生……あんた、誰の味方だよ! 同じ教師だろうが!」

「生徒に罪をなすりつける輩を、教師とは言わない。さあ、カギを渡すんだ」


「……………………………………………………く、くそがぁぁあああああああああアアアァァァァアアアアアあああああアアアッッッッッッ!」



 小林先生が床に投げ捨てたカギを使い、車の中を調べたところ、中には犯行に使用されたと思われる赤いジャージとバットが発見された。

 その後、小林先生は、犯行を認めた。


 後のことは、学校がすると、僕たち生徒は関わることを禁じられた。

 何故犯行に及んだのか。それも、僕が知ることはなかった。

 学校内で事件、しかも、犯人は教師。


 しかし、学校側は今回の事件を公にする気はないらしい。

 もっとも、小林先生は、地方の学校に転勤していったのだが。




 とにかく、だ。

 これで、僕の推理ショーは、幕を閉じた。

 これからは、すぐに行われる文化祭の準備をしなくては。


 普通の、生徒会副会長として。



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