表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/28

第三章 ②

 トイレに行った後、僕はとある部屋の前まで来ていた。


『生徒指導室』


 ここで、僕、相沢春秋の推理ショーは行われる。


「失礼します」


 ノックして、中に入る。

 生徒指導室の中には、ゴリラ権堂と、轟さんの姿。

 今日も尋問されていたのか。


「? 何の用だ、相沢」

「いえいえ、ちょっと大事な用事がありましてね」

「大事な用?」

「ええ」


 笑顔でそう頷く僕。

 こういうとき、笑顔を浮かべておけば、相手の敵意が和らぐことがある。

 会長から習ったことだ。


「真犯人が見つかったから、そのご報告に、と思いましてね」

「真犯人?」

「ほ、本当か!? 本当なのか相沢!?」


 権堂先生よりも、後ろの轟さんのほうが驚いていた。

 というより、嬉しがっているって言った方がいいのかな

 そりゃ、これで自分の無実が証明されるかもしれないんだ。

 嬉しがるのも無理はない。

 そんな轟さんの為にも、早いとこ真犯人の名を告げたいところだけど。


 それは、無理なんだ。

 だって、まだわかってないんだから。

 今は、時間稼ぎをしよう。


「ええ。でも、役者が揃うまで待ってください」

「役者?」


 首を傾げるゴリラ……もとい、権堂先生。


「この事件の関係者のことです。推理小説とかだと、こうやって探偵が推理を披露するときには、ギャラリーの前でやるものでしょう?」


 何故か?

 それは多分、ギャラリーの前で犯人はそいつだと言うことで、逮捕する際の証拠にしているんだと思う。

 それに、身を守る意味もあるんだろう。

 探偵と犯人が二人きりのときに、「お前が犯人だ!」と言えば、犯人としてはそいつの口を封じてしまうのが一番楽だろうから。

 ま、これは全て、僕の憶測だけど。


「……ふん!」


 鼻を荒く鳴らして、睨んでくる権堂先生。

 うわ、怖い。

 檻がないから、暴れたら防げないよ。

 暴れないだろうけどさ。ゴリラじゃあるまいし。


「あ、そうそう。みんなが来る前に、権堂先生に聞きたいことがあったんですよ」

「聞きたいことだと?」

「ええ。権堂先生のアリバイです。権堂先生は、何時に学校にきて、何時に職員室に行って、何時に轟さんを捕まえたんですか?」

「……何でそんなこと、お前に教えにゃならんのだ」


 おお、怖い。

 でも、引き下がるわけにはいかないんだ。

 これも、大事な推理のピースになるのかもしれないのだから。


「お願いしますよ」

「……断る」


 断られた。

 ここは、なんて切り返そうか?

 僕の脳内に、いくつかの選択肢が出てくる。


 ・強情ですね、そんなんだから童貞なんですよ。

 ・意地悪ですね、ぶっ殺しますよ?

 ・最低のゴリラですね。


 どうしよう。

 どれを選んでも、殺されるよ。


「…………」


 ここは、無難なことを言うことにしよう。

 相手は、教師だからね。


「いいんですか、権堂先生? 僕、一応校長先生に調査してもいいって許可をもらってるんですよ? 先生方に調査に協力してもらえ、とも言われてます。それでも、教えてくれないんですか?」

「……ほう。俺を脅す気か?」

「とんでもない。お願いしてるだけですよ」

「……俺は脅しには屈しないぞ」

「……そうですか」


 なかなかしぶとい人だな。

 小林先生なら、すぐに屈して言っていただろうに。


「どうしても、駄目ですか?」

 脅しが通用しないので、正攻法で攻めてみる。

 名付けて、『可愛い生徒がお願いしま~す☆ 大作戦』だ!

 ……なんか、ごめん。


「…………」


 でも、権堂先生には思いのほか効いているようで、少し考え込んでいる。


「……いいだろう。答えてやるよ」


 了承してくれる権堂先生。

 案外、この人はいい教師なのかもしれないな。

 僕がそんなことを思っていると、権堂先生が、事件当日のアリバイについて話し出した。


「五時に学校に来て、職員室に立ち寄らずに直接野球部の朝練に顔を出した。

 朝練が一段落した後、部長に練習を任せて、荷物を置きに職員室に向かったんだ。六時の少し前だったな。

 そこで小林先生と校長先生から事件のことを聞き、怪しい人物、そこにいる轟のことだが、を見たと言われたので、轟を探しに行った。六時五分ごろだ。

 轟は、怪しそうに中庭をウロウロしていたからな。犯人だと思ったさ」


「なるほど」


 これは……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ