みっどぽいんと
■ともう一人は、彼女の近くにいてはいけないと思った。
だって、■たちは、天才ではなく、凡人なのだから。
彼女と一緒にいるのにふさわしい人物がそのうち現れるだろうと、■たちは思った。
そうして、■たちは別々の生活を送っていった。
幾年かが過ぎた。
たまたま、■ともう一人が出会い。
そして、その前に彼女が現れた。
偶然?
いや、彼女が仕組んだんだろう。
■たちは、彼女を無視してその場から立ち去ろうとした。
でも、
「待って!」
彼女が、聞いたことのない大声で、■ともう一人を呼び止めた。
振り向くと、そこにいたのは、いつものカッコいい彼女ではなく、
涙を流す、弱々しい彼女の姿だった。
■ともう一人は、焦った。
だって、彼女が泣くところなんて、今の今まで見たことがないし、
想像したことすら、ない。
彼女は、泣かない生き物だと思っていたと言ってもいい。
戸惑う■たち。
彼女は、泣きながら、ゆっくりと言葉を紡ぎ続ける。
「私には、天才の友達なんていらないっ! あなたたちがいれば、それでいい、それだけでいいの!」
彼女の、心の叫び。
■は、もう一人の顔を見た。
もう一人は、どうしたらいいかわからない、という表情をしている。
多分、■もそんな顔をしてるのだろう。
ここで、もし彼女に手を差し伸べることができたら、どれほど楽か。
■も、もう一人も、
本来なら、彼女のもとに走りたかった。
全てを投げ捨てて、
彼女と再び、一緒に時を刻みたかった。
でも、できないのだ。
■たちには、許されないのだから。
彼女と笑いあうことも。
彼女と一緒にお弁当を広げることも。
彼女と一緒に遊ぶことも。
彼女と一緒に学ぶことも。
彼女と一緒に、歩くことさえも……
■ともう一人は、歯噛みして、悔しがった。
天才に生まれてくることができなかったことを。
凡人に、生まれてきてしまったことを。
彼女を、悲しませてしまうことを。
■ともう一人は、もう一度顔を見合わせ、そして、頷く。
どうやら、思っていることは一緒みたいだ。
地べたに座り込んで泣きじゃくる彼女を見る。
そして、心の中で、
「ごめんなさい」
と謝ってから、■はその場から……いや、彼女の近くから、離れた。
■たちは、彼女の来ることができない場所へと、旅立つことにした。
もう二度と、彼女に会わないために。




