第二章 ⑨
職員室を出た僕は、再び生徒会室に訪れていた。
会長に、何で事件のことを知っていたかを尋ねるために。
僕が尋ねると、会長はしばらく目を瞑り、そしてこう言った。
「それは言えないわね。それを言ってしまうと、貴方、答えがすぐにわかっちゃうでしょうからね」
……答えない、か。
「どうしても、ですか?」
答えはわかっているけど、念のためもう一度尋ねた。
会長は、クスッと少し笑う。
「どうしても、よ。でも、ヒントはあげる。『何故私が事件のことを知っていたのか』ではなくて、『どうやって事件のことを知ったのか』を考えてみなさい」
そう言うと、右手をひらひらと振る。もう出て行けということなのだろう。
「……わかりました」
僕は、踵を返して生徒会室から出る。
「…………」
会長は、僕にヒントをくれたのだと思う。
『何故、会長が事件のことを知っていたのか』
ではなく、
『どうやって事件のことを知ったのか』
を調べろと。
「どうやって……」
普通に考えれば、事件をおこした犯人だから、事件を知っていた、と思う。
でも――。
「……ん」
ポケットの中の携帯電話が振動した。
どうせ小唄からの着信だろう、と思ったら、まさにその通りだった。
僕ってスゲー。
と、自画自賛はやめて、電話に出る。
「もしもし?」
『もしもーし? 小唄ですよー』
わかってるっつーの。
「何の用?」
『もーひどいよハル君! なんでそんなにテンション下がってるのさ!』
「何でそんなに君はテンション高いのさ?」
『小唄ちゃんだからだよ!』
どういうことだよ。
「それで? 用がないなら切るけど?」
『あ、ひっどーい! せっかくハル君の役に立つことをしてあげたのにー!』
「? どういうこと?」
『轟さんを捕獲しました! ハル君、轟さんに聞きたいことがあるんじゃない?』
小唄、今初めて、この世に君が生まれてきてよかったと思ったよ。
そんなわけで、小唄が待っている中庭に向かった。
この学校の中庭は、三方を校舎に囲まれていて、ここに来るには正面玄関からぐるりと校舎を回らなければならないという、面倒な手順を踏まなければ来れない場所だったりする。
でも、緑に溢れる開けた場所になっていて、昼になるとカップル達やカップル達を邪魔しようとする人間が、昼食を食べている。
まあ、今はどうでもいいか。
ちなみに、職員室はすぐそばにある。
ここから、段ボールで補われた窓が見えた。
そんな中庭の一角のベンチに、二人の女生徒が座っていた。
一人は、小柄な元気娘、東雲小唄。
もう一人は、
「……よお」
「……どうも、轟さん」
赤髪の不良少女、轟瑞穂さんだった。




