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第二章 ⑦

「……はぁ」

 そうして、今日の事件の調査を始めたわけだけど、僕はどうしようかと悩んでいた。

 理由は、簡単だ。

 調べる場所が、もうない。

 生徒会室を出た僕は、まず用務員室に向かった。

 用務員のおじさんも、事件の関係者になるわけだしね。

 というわけで、向かったんだけど、

「……留守」

 用務員室の扉には、


『ただいま留守にしています。ご用のある方は、また後程来てください』


 という張り紙があったのだ。

 こうなっては、どうしようもない。

 僕は、来た道を引き返してして他の場所を調べに行こうと思ったんだけど。

 職員室は、調べた。

 担任の小林先生からは、聞ける情報は聞いた……と思う。

 容疑者の轟さんは、現在生徒指導室で取り調べ(?)中。

 さて、どうしよう?

「うーん」

 ここらで、一度事件の整理をしてみようか。

 会長から、ヒントももらったことだし。

 と、いうわけで、トイレにやって来ました。

「トイレの個室って、なんか落ち着くんだよね」

 個室の一番奥に入り、鍵を閉めてズボンを履いたまま便座に座る。

 ちなみに、このトイレは最近幽霊が出るとかで誰も使わない。僕が小唄を驚かせよう炉話したら、翌日には皆知っていた。つまり、噂を流したのは小唄だ。

 場所も、校舎の一番端っこだし、余程の物好き以外誰も来ないだろう。

「さて……」

 腕を胸部の前で組み、目を瞑る。

 会長の考えるときの仕草を、真似してみた。

 こうすれば、僕だって何か思いつくかもしれないし。

 さて、早速事件の整理をしよう。

 事件当日の流れは、こうだ。


 火曜日の午後十時から水曜日の午前五時の間に、職員室が荒らされた。

 犯人は多分、何かしらの方法で職員室に入り、室内を荒らる。窓を割ったのは、外から侵入したと思わせるためだろう。事実、担任は外から侵入したって思ってたし。

 第一発見者は、一年三組の担任、小林秀紀。

 朝五時半に来たら、職員室はすでに荒らされていたって言っていたな。

 そして、一年三組の轟瑞穂さんを、容疑者として確保した。

 それを聞いた会長が、事件を生徒会役員で調査すると役員に聞かずに勝手に校長に言い、校長はそれを承諾。

 そのせいで、僕はいつもより二時間近くも早く叩き起こされ、学校へと向かった。


「…………」

 この事件の被害者って、僕なんじゃないかな?

 とにかく、その後僕は事件を調査することになって、職員室に向かった。

 そこで見つけたのが、

「これ」

 茶色の封筒に入った一枚の手紙。

 内容は、


『貴方の隠している大量の本、

それを私が職員室の中に隠しました』


 というもの。

 調べていくうちに気付いたんだけど、この本っていうのは、担任が言ってた、なくなったエロ本なんじゃないかな。

 この手紙によると、犯人はどこかに大量のエロ本を隠していた。

 それがこの手紙の主に見つかり、職員室に隠された。

 だから犯人は、エロ本を取りに職員室に侵入した。

 と、こんな感じだろうか。

 ……うーん、くだらない推理だな。動機がエロ本って。

 さて、と。

 犯行のあらましは、大体仮定できた。

 あとは、犯人は誰かってことなんだけど。

 会長は、こう言っていた。


『犯人は話の最初から出ている人物でなければならない。しかし、読者が疑うことのできないような人物であってはならない』


 それが、今回の事件にも当てはまると。

 つまり、当てはまるのは、僕と、会長、小唄、藤倉先輩、小林先生、権堂先生、轟さんということになる。用務員のおじさんや校長、教頭は、『読者の疑うことのできないような人物であってはならない』っていうのがあるし、違うだろう。まだ会ってないし。

 僕は犯人じゃないから、それ以外の六人の中に犯人がいることになる。

 そう仮定すると、一番怪しいのは誰だ?

「……うーむ」

 やっぱり、担任こと小林先生だろう。

 第一発見者を疑えって、東の高校生探偵も言ってた気がしたし。

「よし!」

 考えもまとまってきたので、僕はトイレから出て、職員室に向かって歩き始めた。

 担任に事件の話を聞くために。


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