「年取るにつれて味覚がバグって嫌いだったものが食べれるようになるってマジ?」って話。
「ねえ、年取ったら味覚がバグるってマジ?」
「え?マジなんじゃねーの?よくそう言うし。」
「マジ?僕いまだにシソとかさぁ、かおりとか、あの、パクチー?とかそう言うの?が無理なんだけど。」
「…そうなんだ。俺はいけるけどな。パクチーとか。」
「マジー?信じられないわ。あれって何が美味しいの?」
……そうだ、幽霊、飯食うんだった。いやマジで。この前焼肉に誘われたし。なんなら先月仕込み中に肉まん一個食べてたのバレて店長に怒られてたし。
なんかこいつ、やってること人なんだよなぁ。ほんと。こいつ電車乗るし、なんならこの前一緒に乗った。
しかも府中で降りてた。住んでんのかな。
なんか幽霊ぽくないんだよなぁ。見た目完全に20代後半やし。
お客さんも別に見えてるし。普通に会話してたし。レジやってるし。スマホ買い替えてたし。
俺の子供の頃からずっと同じ姿だったから、自己紹介で「幽霊ですー!」って言われて納得しちゃったし。
「聞いてるー?」
「ん?聞いてなかった。なんだっけ?舌がバグるのかって?」
「そうそう!舌がバグって嫌いなものが好きになるってなんなんだろうね。経験ある?」
「経験か……俺は、わさびが食べられるようになったな。」
「僕もわさびは食べられるようになったなぁ別に好き好んで食べないけど。」
「そうなのか?俺は寿司とか刺身とか、わさびつけるけど。」
「マジ?僕はつけないなぁ……そういえば、嫌いな食べ物ってあるの?」
「うーん……目玉焼きとか、ゆで卵とかかな。」
「卵嫌い系?あれ?でもこの前一緒にオムライス食べにいかなかったっけ?」
「ああ、なんて言うか、その、別に卵は嫌いじゃないのよ。俺は。その、白身ってあるじゃん?」
「うんあるね。それがどしたー?」
「なんか、その、白身単体であるものが嫌いなんだよね。」
「ふーん。そうなんだ。」
「うん。黄身は食べれなくはないんだけど。」
「そんなものかね。」




