「テンションやノリで行動する人っているよね」って話。
「ねえ、ふと疑問に思ったんだけどさぁ」
レジのカウンターに立っていると、横の同僚が話しかけてきた。
「ん?どうした?」
俺は今、深夜のコンビニバイト中だ。
現在時刻は夜中の1時。立地が特殊なため、深夜にお客さんが来ることはない。
そのため、雑談していても平気なのだ。……ってか、雑談しないと暇すぎて寝る。
「駅とかさ、人の家の壁とか塀に落書きする人っているじゃん?あれってさ、大多数の人が通る場所に描くことで『自分の絵をみんなに見てほしいっ!』って思っているから描いているわけじゃん?」
隣の同僚は話に脈絡がない。なんか思いついたことをそのまま口に出して会話している感じだ。
「そうなんじゃねーの?描いたことないからわかんないけど。」
隣の同僚が『やっぱりそうだよねー』みたいな感じで頷く。
「だよねー。でもこの前さ、電車に乗っててさ、トンネルを通ったわけよ。」
「うんうん。」
「でさ、そこのトンネルの内側に書いてあったのよ。」
「ああ、たまにあるよな。そう言うの。」
「でもさ、走っている電車なんかスピードが出ているわけじゃん?落書きなんか一瞬で見えなくなるんだしさ、みんなが見るわけじゃないじゃん。電車で窓の外を見ることなんかないわけだし。」
「確かにな。電車の窓から外を見ていたのは小学校低学年までだな。」
「じゃあ『みんなに見てほしいっ!』ってのはできないじゃん。じゃあなんでやってんだろう。そのことに気が付かなかったのかな。」
「う〜ん、それもあるかもしれないけど、『線路に無断で侵入して、落書きする俺カッケー!ってなってんじゃないの?」
「確かにそれはあるかも。ふ~ん。でもどっちにしろ犯罪は犯罪であるのに。」
「そう考えるとさ、バンクシーだって犯罪者ではあるのか。」
「僕がもし書かれたら喜ぶけどね。」
「法律上はダメなんだろうな。」
「でもさあ、そう言う落書きって『嫌がらせのため』とか、『俺の絵を広めたいんだ』みたいな目的なんかなくて、みんなその場のノリや気分でしょ?」
「そうだな。」
「それって捕まる場合もあるのにやっちゃうんだもんね。ノリで行動する人間って怖いね。」
「……そうだな。」
確かに人間はこえーよ。でも、それよりも俺は、
人として人と話している幽霊のほうがこえーよ。
まあ、言わないけど。会話相手としては楽しいし。




