2章-52話 開拓村の護衛依頼?
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大陸でも有数の巨大山脈その名も天陽連峰。
その大きな山脈から流れている大河の近くにその村はあった。
その村はまだ村と呼ぶには小さく作られて5年も経ってないような開拓村。
村で生活している者の多くが獣人のハーフであり。
犬、猫、蛇、兎、象など主に、獣人系のハーフや何かしらの犯罪歴があり普通の街などでは居づらくなった者達が自然と集まって出来た小さな小さな村だった。
その村に人族で元娼婦の母親を持つ、鳩獣人のハーフの少年(15歳)が得意の探索魔法を使って川に溜まった土を探知し、それを村人総出でスコップで取り除く作業に汗を流していた。
雪解けの季節になると天陽連峰から大量の水が流れ込み、川底に土砂が溜まる。
それを放置すれば増水し、村が水に飲まれてしまう過酷な場所にこの村はあるのだ……。
だから村人達は毎年こうして川底の土砂を取り除いていた。
「おう、タウ今日はここまでにすっか!」
「はい、お疲れ様です。何とか今年も川の増水前に川の砂さらい終わりそうですね」
「雪解け水がくるとすぐ反乱しちまうからな……毎年毎年この作業が1番キチィぜ」
「それにしてもタウ君ももうすぐ王立学園生ですか?まさかこの村から学園生が出るなんて凄いよね?」
「僕には無理だよ……攻撃魔法とか得意じゃ無いし。
それに今年はいつもより入学の敷居下げたみたいで周りの村からも入学生出てるみたいだし……」
「しかもそのせいで乗合馬車乗れなくなったし……。もう間に合わないよ。」
「何言ってんだ!タウ。お前の魔法はスゲーじゃねえか!ちっせえ石ころだって見つけられるんだ!この村の希望なんだ!頑張ってくれよ?はっは!」
「はは、まぁもし王都まで護衛してくれるような物好きがいたら考えてみるよ……。」
王立学園への入学は年が15になる6月に行われる。
春では豪雪地帯から王都までやってこれない者がいる為の処置で王国では6月からが新学期となっていた。
だが、すでに今は4月の終わり頃。
此処から王都までは馬車を使っても2ヶ月はかかる距離。
ここら一帯は大河が複雑に枝分かれしており、陸路では何度も迂回を強いられる。
その為、王都へ向かう者達も基本は乗合馬車を利用し早めに出発していくのだが……。
その馬車も大きく無い為、周辺の村などの子ども達で定員オーバー。
もう殆どタウは諦めていたのだ。
そして、タウが明日のやる範囲をある程度絞る為にサーチの魔法を使って川を確認すると……
「……んん??」
「どうしたタウ?なんかあったか?」
「いや、何かが凄いスピードで川を降ってくる…………。
もしかしたらモンスターかもしれない!!!!」
「何だと!?」
村人達に緊張がはしる!今年はいつもより水の量が多かった……。
もしその水に乗って大量の魔物が来たらこの村は終わりである……。
タウの言葉と同時に村人がスコップやクワを構え不安な表情で上流を見る……。
すると
大きな丸太が流れてくる!?
いや違う……
あれは丸太じゃない!
イカダだ!!………………何でか知らんがイカダが超スピードで流れて来ている!
『イヤッホォォーー!!』
「だじゅげでぐれぇぇぇぇー」
ボロボロなイカダ?に乗った自分と同い年くらいの人達と見覚えのある冒険者のお兄さん……。
そして少年少女達がタウ達を見つけるとニヤリと笑い…………
バッコーーン!っと
大きく水面が爆発!イカダ事コチラにぶっ飛んできた!
「なんでぇーーーーー!!??」
「退避!退避ィーー!」
「逃げろォォ!!イカダがぶっ飛んでくるぞー!」
「空飛ぶイカダが来るぞー!!!」
ひゅ〜〜〜
バギィィーーン!
凄まじい音を立てイカダが大破!
と同時にクルクルクルと空中で回転しながら綺麗な着地を決めると、少年少女達がカッコよく決め台詞を解き放つ!
『我ら最強パーティー!正義の味方新魔団!』
ババーーン!
「ちょっ……助け……ッぐはぁっ!?」
なお、彼らが決めポーズをとるために容赦なく投げ出された哀れな冒険者のお兄さんは、地面に叩きつけられて全身を強打していた。
「フッ決まったな!魔法使い見習いにはまず舐められないように強く出なければならん!」
「そうね!これでタウだっけ?も私達のことを師匠と崇めるでしょう!」
「ついでにニク狩りも手伝ってくれたらいいデスね」
「あの〜大丈夫ですか?」【スペルマジック:ヒール】
「あ、ありがとう…………死ぬかと思ったよ」
村人達は何が起こっているのか理解が追いつかず只々呆然としていた……。
「フム、この中にタウというものはいるか??」
「…………え!?、えっと?…………僕です……けど。」
このカオスすぎる状況で一歩前に出たタウを、村人たちは心から「勇者かよ」と称賛した。
「貴方がタウね!よしこのまま王都にいくわよ!!ついてきなさい?」
「サキ姉まずは試作船3号…………ではなくスターマグナムを直さないと……。」
リリは言ってて少し恥ずかしくなった……。
「ハッ!!しまった!我とした事がカッコいい登場にばかり気を取られスターマグナムの保護を忘れてしまうとは!」
「少しボロボロデシタし新しく作るデス!せっかくだからもっとカッコよく作りまショウ!」
…………一体この人達は何なんだろう?
そうタウが言いかけた時だった!
「ギュワアアァァァァ!!」
大きな怒り声を上げながら川から巨大な鮭の魔物が襲いかかってくる!
ビックスノーサーモン亜種
体力65魔力18力38守50速80技20
HP115(-15)MP36SP40
「オッ?何かにぶつかったと思ってたのだ、あれか!ハッハッハ」
「おいっやべえぞ!!主だ!川の主がブチギレてやがる!」
村人の1人が叫び出すと血相を変えて村人達が逃げ出す。
「任せるデス!」
【属性纒装:風】
レンカが自身に風を纏わせ超スピードで駆け出すと槍による連続攻撃を放つ
【エアラッシュ】
ズガガガッ! ガキガキンッッ
「思ったより硬いデスね!」
「ギャワウウウ!」
攻撃を受けると鮭は大河の中に深く潜りグルグルと様子を伺ってくる。
「フム、アビスハリケーンやるぞ!!空に撃ち飛ばす!キメ技はレンカに譲ってやろうハーハッハッハ!」
「しょうがないわね!」
「頼みましたよ?レンカ」
「はいデス!ムッフーン!」
「「「【ダークスパイラル】」」」
ルク・サキ・リリが闇の渦を発生させるとそれが同調し融合。
【アビスハリケーン!!】
ビッグスノーサーモンが潜っている川の水を一気に巻き上げその巨体が宙にぶっ飛ばす!
「ギュワ!!??」
「キメルデス!」
【アクティブスキル:フィジカルブースト】
【風槍術・翠嵐牙槍!(すいらんがそう)】
ゴゴゴゴゴと大きな音を立てながら槍に込めた魔力が渦巻いていくと、緑の螺旋状の嵐が渦巻き嵐の槍が完成!
その一撃が鮭を一気に貫く。
「ギュゥゥゥ……」
ビックスノーサーモン亜種HP0
「決まったデス!」
「す、凄い…………。」
宙に舞った巨大な鮭を見上げ唖然とする村人達と共にタウは魔法使いへの憧れを小さな声で呟くのだった。
「ハーハッハッハ!アルカ村での冒険者との必殺技研究会が役に立ったな!」
「ハイデス!やはり大事なのは必殺の一撃デス!」
「凄いですよこの鮭?鱗が全部氷で出来てます!」
「こんなおっきいんだもの!絶対美味しいわよ!早く食べましょ?焼く??それとも鍋??」
「鍋だな!!なんとな〜く焼いても中まで火が通る気がしない!!…………それに新たに村についたらとりあえずお裾分けだ!」
「……!そうね!オババ言ってたものね?元気かしら?」
「オババですからね!元気でしょう」
「火おこしの準備できたデス!早く食べるデス!!」
そうして新魔団は挨拶や自己紹介よりも先に村人に鮭汁を振る舞うのだった……。




