2章-51話 冬休みの終わりと護衛依頼
初春
まだ山には大量の雪が残り、街道もギリギリ馬車で進める程の雪が残っている中。
ルク達は商人の護衛としてアルカ村を出発し、畜産業を生業としている村に向かっていた。
「今年は冒険者様が滞在していてくれたお陰で早く出発出来たよ。冬になると物流が止まってしまうからね、これなら村の人達も安心できる」
「ハーハッハッハ!これから行く村は牛乳やチーズが名産なのだろう?牛乳を飲めば大きく育つとよく言われていたからな!護衛は我らに任せておけ!」
ルク達は成長期真っ盛り!今が最も大事な時期なのである!
そんな大きく成長した自分の姿を想像しながら、馬車に揺られる事2日。
「飽きたな…………。まだつかないのか?」
「……………………え?えっ、ええ。後5日はかかりますよ」
まだ雪も残っている山岳地帯では出てくる魔物もまばら。
当然ルク達が耐えれるはずもなく……。
「よし!我が危険がないかすこーし先まで見て来てやろう!ハーハッハッハ」
「それなら私も行くわ?1人じゃ何かあった時危ないものね!」
「ここは私が!前衛がいた方が何かあった時対処しやすいでしょう!」
「ボクが行くデス!速さには自信ありマス!」
「ちゃんと護衛して頂けないのなら装飾付きの豪華金銀リバーシ盤あげませんよ?」
「「「「…………スン」」」」
この商人は護衛依頼の時、ギルドの受付嬢セーロからつよーくルク達の扱いについて講習を受けていた!!
ギルド側も早く護衛依頼をこなしCランクに上がって欲しい思惑があり、完璧な連携がそこにはあったのだ!
そんなこんなで、多少のトラブルがありながらも1週間の馬車旅が終わりを迎え畜産村へと辿り着いた。
途中スノーディアやスノーウルフの襲撃があったが、ルク達が目を輝かせ喜んで討伐した!
もっと来いと思ったのは内緒である!
「いやぁ商人さん今回はいつもより早かったじゃないか、助かるよ。今年はいつもより雪が凄くてね」
「それは良かった。来年からも出来るだけ早く来れるよう頑張ってみるよ」
「これで依頼は完了でいいのか??すまんな!あまり詳しくなくてなハッハッハ」
「勿論だよ!ハイこれ完了証だよこれをギルドに渡せば報酬が貰えるからね?
帰りはここの村の人がいつも乳製品を売るついでに、ついて来てくれるなら大丈夫さ。」
「後はこれも、盤の色を黒にコマの色を金と銀で作った特別リバーシ盤だよ?本当は貴族様向け用だから大切にするんだよ?」
「「「「おおー!!ありがとうおっちゃん!」」」」
「…………おっちゃん…………。」
「はっはっは!元気のいい冒険者達だね?どうだ?チーズ食べるか?美味いぞ!ウチのチーズは!」
「「「「勿論!!」」」」
「いい奴だな!お主!そうだ、鹿肉はいるか?焼肉をしよう!」
「おぉ?中々わかってるじゃないか少年!助かるよ
……冬はどうしても節制しないといけなくてね、村のみんなも呼んでいいだろうか?チーズや牛乳くらいしか提供出来ないが……」
「勿論です!皆んなで食べましょう。その方がお肉も美味しく食べられます」
良くしてくれる人には良くする!それがルク達のモットーなのだ!
そして始まった肉宴会!
「な!なんだこの美味さは!!」
「こ、これがチーズデス!?いくらでも食べれマス」
「トロッとしててとっても美味しくて美味しいわ!とにかく美味しすぎるわ?!!」
「モグモグモグ……モグモグモグ……あれ?おかわりはありますか?一瞬で私の分が消えました」
チーズはとっても好評だった!
有り金全てをチーズに変えようとして村長に止められたくらい気に入った!
その後大量に討伐したスノーディアの肉のお裾分けのお礼にと乳搾り体験やチーズ作り体験。
暴れ牛に乗って春を祝うロデオ祭りなどで大いにこの村を満喫していた頃
この村からさらに二週間程南に進んだ村
そこの冒険者風の青年が困った表情で村長の元に訪れていた。
ピコン!と暴れ牛の上で器用に魔法お手玉を披露していたルクの謎センサーが発動する!
「フッ……何かが我を呼んでいる!トォゥ!!」
「ちょっと!どこ行くのよー??」
その暴れ牛をもっと興奮させる為に火の鞭をバンバン地面に叩きつけていたサキと
回避の練習で暴れ牛の周りをヒラヒラと避けて回るリリ
そして他の暴れ牛の頭の上を行ったり来たりして遊んでいたレンカがそれに続く!
「そんな事言われてもねぇ、こんな外れの村から王都まで護衛依頼受けてくれるような冒険者なんてそうそういないと思うよ?多分アルカ村に行っても同じような者だろう……。」
ぴょこっ!とルク達が村長の家の窓から顔を覗かせる!
勿論アクティブスキル隠密を使用して!!
どっちかが怒ってそうならすぐ逃げよう!そう過去の経験がルク達を慎重に?させたのだ!
「何とかツテを辿って頂けませんか?折角魔法の才能を持った子が王都の学園に招待されたのに王都まで行けないなんて…………。」
「ねぇねぇ?王都ってなぁに?」ヒソヒソ
「でっかい城があるところだな!」ヒソヒソ
「食べ物美味しいデス?」ヒソヒソ
「そう言えばアシュレイが王都の学園一緒にとか言ってませんでしたか?」ヒソヒソ
村長の窓の前で円陣を組んで急遽会議を始めるルク達……。
「…………………………。」ジー
そういえば旅をしてるっていう冒険者いたなぁ
……と村長は思った……。
例え隠密を使用したとしても喋ったら意味が無いのである!
「あの?村長…………?」
「う〜ん……ツテ……というほどでも無いが心当たりならある。」
「ほ!本当ですか!お願いします!!魔法使いになれれば将来は安泰、その子の為にもどうか!!!」
「そんな事言ってたか?」ヒソヒソ
「リバーシの大会で忙しかったもの!覚えてないわ?」ヒソヒソ
「金髪と言ったらプリンデス!」ヒソヒソ
「そういえばショートケーキ食べにリサナクに行かないとでしたね?王都とは逆方向だったような?」ヒソヒソ
「「………………」」ジー。
「えーと、あの子達……ですか?」
「ま、まぁ…………。聞くだけ聞いてみるかい?」
「確かケーキとは甘い食べ物だったな!それならリサナクだな!次は」ヒソヒソ
「サフィアに師匠と呼ばせないといけないし、会いに行ってあげますか!」ヒソヒソ
「金髪と戦うデス!」ヒソヒソ
「リサナクまでの道聞いておかないとですね?」ヒソヒソ
「あの〜ちょっと良いかな?」
「「「「——!!我らの隠密を見破っただと!?」」」」
………………喋ってるからである!!
「え〜と。……その、王都まで護衛依頼をお願いしたいんだけど……お願いできないだろうか?頼む!!」
「私からも頼むよ。他にアテがないんだ……」
「ウーム、ケーキが我らを呼んでいる気がするんだよなぁ……」
一度決めた事を変えるのは、中々できる事では無いのである。
「僕でできる事なら何だってする!ずっと魔法使いに憧れて必死に努力して来た男の子なんだ。
聞く話によるとスノーウルフやスノーディアを笑いながら簡単に倒したと聞く、どうか頼む!」
「魔法使い見習いって事ね?ふ〜ん…………」
「頑張る子は嫌いじゃ無いですね……」
サキとリリの王都への前向き度が1ポイント上がった。
「ケーキがどういうものかは知らないが、王都は王国中の物が集まってくる、それに王都発祥の物も凄く多い。
ルク君達が気にいる物も食べ物もいっぱいあるんじゃ無いかな?」
「腕に自信のある冒険者なんだろう?王都には管理されたダンジョンも複数あるんだ!頼むよ…………。」
「「……そう言うのは先に言ってくれ(デス)」」
こうして新魔団の王都行きが決定するのであった。




