2章-32話 精霊に会うために
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大陸でも有数の巨大山脈
その名も『天陽連峰』
貴重な薬草や珍しい魔物が生息し危険と共に、恵も与えてくれる自然豊かな山脈が存在する。
だがそんな山脈の中で一際目立つ岩山があった。
標高が高すぎて雲を突き抜け、頂上を下から見る事が出来ずさらに余りにも険しい斜面。
そして、ワイバーンやグリフィンといった強力な魔物も生息している為、人類未踏破区画とされている場所。
その頂上には太陽に最も近い場所と言われている場所があり、その場所に精霊が眠るダンジョンがひっそりと存在していた。
馬車での旅が始まり15日が経った頃、本来なら何日も前に天陽連峰の麓にある村、陽輪村アルカに到着している筈だった…………。
そんなルク達は今…………。
「アシュレイの影に潜ったぞ!!」
「わかった!確実にやる!」
【スペルマジック:ウィンドランス!】
「任せるデス」
【スペルマジック:エアハンマー!】
ルクの掛け声と共にアシュレイが自身の影に向かって風の槍を放つのと同時に、レンカが風の圧縮砲を叩き込む!
すると
「シャゲェェェ!!」
奇妙な鳴き声と共に、黒い体に白い羽が特徴の夏影鳥がアシュレイの影から出てくると共に絶命する!
「しゃぁぁぁー!!12匹めぇぇーー!」
アシュレイがアシュレイとは思えない雄叫びを上げる…………。
「ハーハッハッハ!ここら辺に来ていた夏影鳥は狩り尽くしたな!ハーハッハッハ!」
「凄いよ!ルクが夏影鳥の気配を完全に察知出来るなんて!!レアエネミーをたったの3日で12匹…………あぁ!最高だ」
「「…………………………。」」
ニヤニヤが止まらないアシュレイとそのアシュレイを見て少し距離をおくイグニスとサフィア。
[夏影鳥――別名サンシャドウ]
この魔物は夏になると現れる魔物で、魔物や人などの影に潜み潜んだ生物が睡眠を始めると影から出てきてその生命力を奪い取る厄介な魔物。
見つけたとしても直ぐに近くの影に潜るため見失いやすく警戒心も強いため、決して起きている生物の前には出てこない。
そしてこの魔物の羽を使って作った装備には闇属性強化というスキルがつく。
魔族が滅んだ後は中々お目にかかれないレア合成素材なのだ!しかも天使相手に闇属性は相性が良いのだ!
さらに、闇魔法を極めしルクとは相性がとても良かった、影に潜ったとしても近くにいれば即察知出来たのである。
それにより夏影鳥狩りがアシュレイ主導で始まり、狩と聞いて新魔団が拒否するわけもなく、3日間ひたすら探し回り狩り続けたのであった。
イグニスとサフィアはもうドン引きだった…………。
アシュレイはもうルクに文句を言える立場では無いのである!
アシュレイはその後2人に今度必ずなんでもお願い聞くからと頭を下げながら、やっと村へと馬車を走らせるのであった。
陽輪村アルカ。
住民三百人ほどの小さな村。
しかし天陽連峰へ挑む冒険者達にとっては最後の補給地点であるため村の規模に反して活気があった。
保存食屋に登山用品店、馬預かり所と宿屋に鍛冶屋まであり冒険者にとってはそこら辺の都市と変わらずに過ごせる場所である。
アシュレイ達は村に到着するとその冒険者ギルド支部を訪れていた。
二階建ての木造建築酒場と受付が一体になったよくある地方ギルドに足を踏み入れるといつも通りに、
アシュレイの整った容姿が周りの視線を集めるが特に気にした様子もなく受付に進んでいき
「依頼ですか?」
「いえ、到着報告です。あと
天陽連峰へ向かう予定なのですがこの辺りの地図写させてもらってもいいですか?」
「天陽連峰ですか!?」
ざわざわと周囲にいた冒険者達が騒ぎ出していく。
………………何故かすでに冒険者達が座っている、ギルドで1番大きいテーブルにドサッと荷物を置くルク達を横目に
「おいおい…………ん?」
「あそこに登るたぁ正気か?…………あの俺ここにすわってんだけど?」
「この時期に?………………え?これって幻の魔物じゃ?」
いつも絡んでくる他の都市の冒険者達とは違い、ただただざわつくギルド内にアシュレイは首を傾げた。
……………………いや、そんな事よりも気になる事が冒険者達にはあったというのが正しいのだが。
「連峰に何か問題でも?」
すると四十代くらいの顔には古い傷跡が残っているダンディというに相応しい人物がギルドの奥から騒ぎを聞きつけ出てくると
「あぁ、残念ながら問題があってな……
あぁ俺はこの支部の責任者だ、最近の天陽連峰は少し荒れていてな」
「荒れてる?」
酒場のテーブルで下ごしらえをしていたルクが反応し、ぴょこっとカウンターに飛び乗る!
「あ……ああ……」
「嵐鳥ヴォルグリフォンって聞いた事はあるか?」
「……上位種ですか」
「知ってるのか?」
「普通のグリフォンじゃない、雷属性を持つ変異種なんだ」
「よく知ってるな?……そうだ本来ならもっと高所にいる魔物だが最近になって縄張りを下げてきた」
言いながら用意した、地図の一点を指差す。
「三日前には薬草採取の冒険者が襲われ」
「昨日は牧場の家畜にまで手を出してきやがった」
「そして警戒態勢の中、今朝は荷運びの馬車が襲われてた。」
「被害者は?」
「幸い死者はいないが重傷者は出ている」
その報告を聞き、静かになるギルド。
…………このとても香ばしい、いい匂いはなんだろう?
「討伐隊を出そうにもなぁ?相手は空を飛びしかも雷属性…………並の冒険者じゃ無理だ」
「なるほど!なるほど!グリフォンかフムフム!」
「そうだね、ここは僕達で討伐を………………」
アシュレイがルクの考えを察して討伐を受けようとした時……
「乗り心地はとてもいいんだよな!ペットにしよう!」
「え?」
斜め上の反応が帰ってくる…………。
「飛ぶ敵デス!」——モグモグ
「倒すんじゃなくて飼うの?まぁカッコ良さそうね!雷」——ホクホク
「久々に暴れられますね!」——パクパク
新魔団が盛り上がる
…………何かを食べながら。
アシュレイは頭を抱えた……。普通のグリフォンでさえテイムは難しいのに上位種を飼う??
「君達さぁ……」
「ククッ、なるほどな……夏影鳥を十二匹も狩ったのはまぐれじゃ無いらしい。」
新魔団の言葉にギルド長が反応する。
……………………。
「は?誰だそんな事言ったのは」
アシュレイが真顔になる
それもそのはず夏影鳥はレアモンスター、一気に討伐報告をしては目をつけられるかもしれないからと慎重に少しづつ報告するつもりでいたのだ!
それを知っていると言う事は、ここまで付けられていた事になる!
これは早めに対処しなければいけない案件だ!
……と、犯人を見つける為に情報を仕入れようとしたのだが……。
「…………そこでお嬢ちゃん達が焼き鳥振舞ってるぞ?」
…………犯人は味方にいた……。
いや……味方だと思っていた人物にいた!と認識を改めた!
……………………………………。
アシュレイは羽以外は食べて良いよとは言ったのだ、確かに言った…………まさかここで全て食べる気だったとは。
完全に絶句である。
因みに夏影鳥の肉はとても美味く売れば一羽で金貨10枚は最低したのだが…………。
責任者は笑いながら依頼書を取り出した。
「討伐できるなら頼みたい」
依頼書が机に置かれる。
【緊急依頼】
嵐鳥ヴォルグリフォン討伐
報酬:金貨120枚
追加報酬:素材買取優遇
討伐だけで金貨120枚だって!??
「討伐依頼受けるぞ!いいか!討伐だからな!!」
こうして一行は天陽連峰へ向かう前に山岳地帯の空を支配する魔物嵐鳥ヴォルグリフォンの討伐?へ向かう事になるのだった。




