2章-33話 精霊の前に狩りをしよう
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翌朝
天陽連峰の麓に広がる針葉樹林内部にて
アシュレイ達はレンカを先頭に嵐鳥ヴォルグリフォンの痕跡を追っていた。
「見つけたデス!」
先頭を歩いていたレンカが上空を指差す切り立った崖がありその中腹辺りにそれはいた。
「おおー!かっこいいでは無いか!名前考えとかんとな」
「雷属性のグリフォンとか最高じゃない!」
「グリフォンに乗って空飛ぶデス!」
「お前達、本当に飼う気なのか?」
「「「「勿論!!」」」」
「息ぴったりだな……。討伐依頼って何回も言ってるのにどうして…………。」
頑張れアシュレイ!!まだいける!
「そう言えば魔物ってどうやって飼うんです??」
「強さを示せば勝手に懐いてきたと思ったが??」
「え??」
「………………え??」
何言ってんの?という目で見るアシュレイと、違うの?と目で返すルク…………。
そんな無鉄砲な奴らにアシュレイが即座に突っ込む!
段々とツッコミの練度が上がっているアシュレイであった
「テイムのスキル持ってるんじゃないの!??」
「「「「そんなスキルはないけど??」」」
「お前ら勢いだけで言ってたのか……」
グリフォンのすぐ真下でこんなやり取りをすればどうなるのか…………
それは……
その声を聞きつけ嵐鳥ヴォルグリフォンが敵意をむき出しにする!
――――ギュオオオオオオオオオ!!
空を裂くような咆哮、そして轟音と共に巨大な影が急降下してきた。
嵐鳥ヴォルグリフォン
体力130魔力69力100守58速65技20
HP260MP120SP40
[スキル:雷魔法威力増加]
※比較ステータスアシュレイ
体力81魔力58力58守45速51技95霊30
「気づかれたし…………いいか!倒すんだからな!!」
銀色の羽毛に獅子の胴体を持つ全長五メートル近い巨体が翼の周囲にビリビリと青白い雷を纏わせルク達に迫る!
雷を操るグリフォン……
なんでカッコいいんだ!
「うおおおおお!!絶対捕まえるぞぉぉぉ!!」
「まずは大人しくさせるデス!」
ヴォルグリフォンが翼を大きく羽ばたかせると無数の電撃魔法を空から連発してくる
【グキュゥァァァ】(サンダーショット×15)
「散開!!」
ドドドド!!!
と大地が爆発し土砂が舞う。
「思ってたより強いぞコイツ!!?」
「上位種は伊達じゃないな!しかもコイツ頭いいぞ……」
ヴォルグリフォンは地上へ降りてこないのだ……
上空百メートル付近を旋回しながら雷撃を撃ち続け
丸で狩りをする様にジワジワと獲物を弱らせていくように
「厄介デス!」
素早く上空を飛び回られては魔法攻撃も簡単に躱わされてしまう。
「まずいですね……!」
嫌な予感がしリリが光の盾を展開するとその直後!雷撃が直撃する
バキィィィィン!!【パリィ!】
二発、三発、四発。
【パリィ、パリィ、パリィ!!】
「……長くは持ちません!」
「空飛ぶ相手は面倒だな!」
アシュレイが舌打ちする。
「フッ、ならば!真の空の支配者は誰か教えてやる!」
【アクティブスキル:スピードアップ】
【スペルマジック:エアステップ!!】
ルクが空中を跳び回りながらヴォルグリフォンへ接近!
しかし、相手も馬鹿ではない……
グリフォンは知性が高いのだ!巨大な翼を大きく振ると
【ガギャァァ】(トルネード)
「……それは不味くて???」」
ルクの体が吹き飛ばされ空中で完全に無防備になり。そしてその隙を見逃さず雷槍が迸る。
【グルゥゥゥ】(サンダーランス)
【スペルマジック:ダークシールド】
「ぬぅゥゥ、これで耐えるしか無いか……」
「変わります!」
【アクティブスキル聖騎士:カバースイッチ!】
【パリィ】
サキがルクを目標にスキルを放つとルクの目の前に転移!そのまま魔剣で攻撃を弾く!
「助かった!」
「うん!」
「「これは手加減無理ね(デス)」」
あっさり現実を受け入れるサキとレンカ!
飼われる気がない敵に容赦をするほど甘くは無いのである!
「お前らさっきまで飼う気満々だったろ!?」
「ちゃんとテイムのスキル覚えてからだな!」
着地したルクが真顔で答えると……
「グルァァダ!!」
ヴォルグリフォンが再び急降下。
狙いはサフィア、グリフォンは戦況を見極め狩りやすそうな者に狙いを定め
「しまっ――!」
回避が間に合わなず巨大な爪が迫る!
ギィィィン!!
しかし、間一発イグニスが割って入ると槍と爪が激突し足元の地面が砕ける。
「負けるかぁぁぁ!」
【パワースイングゥゥ】
しかし、凄まじい膂力に推し負け吹き飛ばされたイグニスに追撃の雷矢が襲いかかる【ガワゥゥ】(サンダーアロー×5)
「ぐっ!」
直撃を貰い鎧が焦げ口から血が流れた。
その時、仲間の負傷にツッコミに徹していたアシュレイの空気が変わる
…………もう、遊びではなくなった。
「…………」
「本気で倒すよ……いいね?」
アシュレイの雰囲気が変わる…………
「やってくれたな?僕が決める……隙を作れる?ルク」
「ハッハッハ!まぁいいだろう、たまにはノッテやる!」
【スペルマジック:ダークチェイン】
ヴォルグリフォンが追撃しようと低空飛行でイグニスに近づこうとしている所に闇の鎖が無数に襲いかかる!
「ギャウウウ??」
それを見て空に逃げようとするも
「フッフーン天才魔法使いに不可能なんてないんだから!」【スペルマジック闇魔法:グラビティ!】
サキが覚えたての闇魔法をグリフォンの真上に展開し足止め、そこへダークチェインが追い付き完全に縛り上げる。
しかし!
バチバチバチバチ!!
「なっ!?」
全身から雷が爆発すると闇の鎖が次々と焼き切られていく。
「まだ暴れるデスか!?」
「我を舐めるなァァァ!」「私をなめるなぁぁー!」
【マジックアップ】 【印術:束縛強化!】
だが、ルク達も負けていない
ルクとサキが同時にダークチェインを強化するとより巨大にそしてより頑丈にダークチェインが姿を変える。
「我がお膳立てをするなど中々ないんだからな!?アシュレイ!!」
「うん!」
【精霊憑依:風の精霊ヴァーユ!!】
【アクティブスキル:テンペストブレード】
「ウオオオオ!!!」
雄叫びと共にグリフォンに切り掛かりその首を切断!
「ギャアアアアア!!」
ドォォォォォン!!と大きな音を立てその巨大が倒れる。
「…………」
「…………」
「…………」
「首を切断とか……まだ奇跡的にテイムの可能性あったのに」
——まだ諦めてなかった。
アシュレイは肩を竦めると
「そもそもテイムスキルって習得限りなく不可能に近いスキルだからね?
移動用に欲しいのなら馬とかの召喚魔法の方がまだ確率高いよ?」
「「「「えっ??」」」」
ルク達の移動手段がランクアップするのはまだまだ先だった…………。
こうして嵐鳥ヴォルグリフォン捕獲計画は開始から一日も経たずに討伐完了と共に終了。
Cランク冒険者とは思えない快挙であった…………因みにルク達は未だDランクなのは内緒である。
「今度テイムスキル覚えよう」
「賛成デス」
「どうやったら取れるのかおしえなさいよ!?」
などと全く反省していない会話を続けながらアシュレイにひたすら絡みながら、ご満悦に山を下山して行くのであった。
ヴォルグリフォンの素材は金貨百八十枚で買い取られ、討伐報酬と合わせ金貨三百枚という大成果を上げた!
アシュレイは報酬を受け取った瞬間。
「……凄い、フッフフフフ。よし!次は何狩る?」
と無意識に呟いた自分に気付き、
本格的にルク達の影響を受け始めている事を自覚するのであった。




