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魔王転生〜転生した世界は魔族が滅ぼされた後の世界でした〜  作者: るる(カイルルイ)
2章 王国大冒険と動き出した天使編 1〜(継続中)

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2章-18話 海と速さ自慢の海賊船!

高評価等とても励みになります。


もし良ければ高評価等よろしくお願いします

俺の名前はキャプテーーン・ドガード!


大海原を股にかける大海賊だ!

自慢じゃないが、俺の船は速ぇ。

港街ラグノートの正規軍ですら、スピードに乗った俺の船には追いつけねぇんだぜ!


今日も今日とて、目についた漁師船から新鮮な獲物をごっそり略奪し、アジトのある無人島へ向けて大海原を疾走していた。


クゥ〜!一仕事終えた後の潮風は格別だぜ。

「ガハハハ!今日も大漁――」


「キ、キャプテン! あ、あれを見てくだせぇ!」

見張りの部下が情けない悲鳴を上げた。

なんだせっかく気分良く決め込んでたってのに……と舌打ちしながら視線をやる。


「あぁ?」

視線の先で海の上を、何かが凄まじい速度で突っ走っていた。


最初はただの流木かと思った。いや、違う。よく見れば――丸太?

 

ただ雑に丸太を括り付けただけのボロいイカダだ。あんな代物、口が裂けても船とは認めねぇ!

 

冗談じゃない、悪い夢なら早く醒めてくれ。

なんでただのイカダが、猛烈な潮流に逆らって爆走してやがるんだ!?


「……は?」

意味が分からない。流れに逆らうどころか、海面を滑るように走っている。しかも異様に速い!

「おい待て……」


ドガードの顔から笑みが完全に消え、最悪の想像をしてしまう……。

海賊にとっての最悪……。

それは、敵の船が自船より圧倒的に速いこと。


「あの速度……まさか」


イカダが急カーブを切ると、豪快な水柱を上げてこちらへ一直線に向かってくる!

速い! 速すぎる! イカダがしていい機動じゃない!

 

後ろからは台風のような暴風が吹き荒れ、前方には風除けのつもりか分厚い氷の膜が張られている。


新種の魔物なのか? まったく意味が分からねぇ。

サハギンの群れかとも疑ったが、イカダの上にはちゃんと(?)人間らしき影が乗っていやがる。


先頭に立っているのは……真っ黒な獣人か? ドヤ顔でこちらを見下ろしていた。

多分あれはスピード狂だな、俺と同じ匂いがするぜ


「いやいやいやいや!?違う違う違う!なんでイカダが俺の船より速ぇんだよ!?」


たまらず叫ぶ俺の横で、部下たちもパニックに陥る。

「キャプテン!追いつかれます!」


「そんな馬鹿な話があるか!!」

ドガードは叫ぶ!必死に叫ぶ。


「おい野郎共!全速力だ!!あんな訳わからんボロ船に負けてたまるか!!」


『オオオオオ!!』

海賊船が爆発的に加速する。帆が引きちぎれんばかりに膨らみ、波を切り裂く!

自称・最速の海賊船の名に恥じぬ速度でグングンとその速度を上げ続ける!!


だが次の瞬間、背後でドゴォン!という凄まじい爆破音が響き、イカダはさらに速度を上げた。


「近づいてる!? むしろ縮まってねぇか!?」

なんなんだあの竜巻みたいな風は! どうやったらイカダを竜巻が押し出すなんて状況になるんだ!?

 

「キャプテン!もう真横です!!」

「んなアホなぁぁぁ!?」

ドガードが恐る恐る横を見るとそこには……。


「「「おおおおーーー!!!」」」

なぜか大はしゃぎしているガキどもの姿があった。


「船だーー!!」

「大きいデス!!」

「やっと人を見つけたわ!!」

「これで漂流生活ともおさらばですね」

「マイダンジョンで夜を明かせるとはいえ、何日も海しか見えないと疲れたな?」

 

しかも、めちゃくちゃ目を輝かせていた!

因みにここは、1番近くの陸地から50キロは離れた海の上である!


「いやなんだコイツら怖ぇ!?」

直後……ヒュンッ!!っと黒い影が船へ飛び移る。


「ウム!乗り込めたぞ、皆もはよこい!」

「うわぁぁ!? 普通に乗り込んできたぁぁ!?」


ルクが乗り込むと、次々と後ろからサキ達まで飛び込んでくる。

「お邪魔します!」

「潜入デス!」

 

「何が潜入だよ!?」

正体不明の侵入者に、海賊たちが一斉に武器を抜いた。


「侵入者だァ!!」

「捕まえろ!!」

「ガキだろうが容赦すんな!!」

海賊達が一斉に襲い掛かる……だが。


【スペルマジック:アイスグラウンド】

ドゴォッ!!

ルクが甲板に冷気を叩きつけると、足元が一瞬で凍りつき、海賊たちが派手に転倒していく。

 

「襲いかかってきたってことは、敵なのよね?」

頭に「?」を浮かべながらも、サキたちが容赦なく殴り倒していく。ほんの数秒で、甲板の海賊たちは全滅した。圧倒的、かつ劇的な瞬殺であった。


「……ッ」

ドガードは膝をガクガクと震わせた。わけが分からない。とにかく恐ろしい。


「さてお前ら港街って何処か分かるか?」

「…………へ?」


「連れて行って欲しいのよ!!海鮮料理が美味しいらしいわ!?」

ドガードの頭の中で、急速に思考が回転する。

(……あれ? コイツら、もしかしてただの遭難者か?)


だが次の瞬間、腹ペコ元魔王ルクの視線が甲板に積まれた魚箱に留まった。


「おおっ!魚だ!」

「カニもあるデス!」

「エビもあります!」

「豪華ね!!」


「待て待て待て待て!!勝手に食うなぁぁぁぁぁ!!」

 ……数分後。

 

「ハーッハッハッハ! まぁそんなに落ち込むな! 我ら、すこーしだけ腹が減っていただけなのだ!」

奪い取った海産物を豪快に頬張りながら、ルクが大笑いする。

 

……漁師から海賊が奪った海産物を奪う子供達という、よくわからない図の完成である。


「そうよ! まだこんなに残ってるじゃない!? お礼に私達の船あげるわ?」

サキが後ろを指差すとそこには……!!

……波に揺られるボロボロの丸太イカダがあった。


「いらねぇよ!!」

ドガードは即答した、なんなんだコイツらは!

 

「サキよ、勝手に我が船を譲ろうとするな! 我が錬金術スキルで丸太を繋ぎ合わせた自信作なのだぞ? ちなみに名前は試作船3号だ!」

 

人の船に乗り込み、部下を壊滅させ、略奪品を食い荒らし……なぜこれほど堂々としていられるのか。

普通は立場が逆だろう。

(落ち着け……キャプテン・ドガード……)

 

ドガードは深呼吸をした。海賊とは常に先を読む生き物だ。感情に任せた奴から海の藻屑となる。

まずは状況整理だ。

 

「えーと……お前さん方は、港街に行きたい……んですかい?」

「ウム!」

試作船3号(イカダ)を魔法で回収しながら、ルクが元気に頷く。


「あと別にいつも通りの話し方でいいぞ! 我ら乗せてもらう側だしな!ハッハッハ」


「おう……」

(なんで乗せてもらう側がこんな偉そうなんだ?)

疑問は山ほどあったが、口には出さない。決して!

 

「生憎だが……俺たちは港街には近づけねぇんだ」

「む?」

「ちょっと事情があってな」

「どうしてもダメですか?」

 リリが残念そうに尋ねる。


「そうよ! ちょっと寄るくらいいいじゃない!」

「…………」

ドガードは少し考え、そしてニヤリと笑った。

「……あいつら、よそ者見るとすぐ攻撃してくるんだ」


もちろん、そんなのが嘘だと普通ならわかりそうなのだが。

「な、なんだと!?」

「なんて酷い……!」

驚くほどあっさりと信じた! 新魔団はとてもチョロいのである。


「特に海から来る奴には厳しくてなぁ。下手すりゃ捕まるぜ?」


「ど、どうするのよ?」ヒソヒソ

「思ってたのと違うな?」ヒソヒソ


「……なぁに、港街じゃなくたっていいじゃねぇか。俺たちのアジトに来いよ。そこでゆっくり休んでいくといい」


「ちょ、ちょっとキャプテン!? いいんですかい?」

焦る部下の耳元で、ドガードは極小の声で囁いた。

 

「よく考えろ。相手は強くても所詮ガキ、それに器量のいい女が三人だ……一人は真っ黒で気味が悪いがな。ククク……」

 

「な、なるほど!流石キャプテン」


そう!いつの間にかルク達は………。

いや、サキ達は貧相ボディを卒業していたのだ!これは快挙である!!

(ルクの身長に関しては、もう少し頑張りが必要であったが)

 

「フム、いい奴だなお主!」

「よろしくお願いします」

「ああ!俺たちは今から仲間だ!歌おう!歌を教えてやる」

こうして、船の上には賑やかな歌声が響き渡るのであった。


————————————


数時間後――。

「見えてきたぜ!俺たちのアジトだァ!!」


キャプテン・ドガードが高らかに叫ぶ、海のど真ん中に存在する小さな無人島。

周囲を岩礁に囲まれた天然の要塞であり、普通の船では近づく事すら難しい隠れ家だった。


「「おおぉ〜〜!!」」

「秘密基地みたいね!」

「凄いデス!」


目を輝かせはしゃぎだすルク達を見て、ドガード達はニヤリと笑った。

(ククク……まんまと引っかかりやがってガキ共め……)

(上物の女三人に、よく見りゃ魔剣まで持ってるじゃねぇか。大収穫だぜ)


海賊たちは親切な顔を装ってルクたちを案内し、夜には豪勢な宴を開いた。

「食え食え! ガハハハハ!」


テーブルには豪快な肉と魚が並ぶ。もちろん、ルクたちの料理には強力な睡眠薬がたっぷり仕込まれていた。

 

(完璧な計画。これで魔剣も女も俺たちのもの!)

……に、なるはずだった。相手がルク達で無ければの話だが。

 

「うむ!美味い!」

「この魚焼き最高ね!」

「おっきい貝も美味しいですね」

「おかわりデス!」


バクバクと料理を平らげていく四人。ニヤニヤしながら経過を見守る海賊たちだったが、時間が立つにつれ段々とその顔色が悪くなっていく。


十分経過。

三十分経過。

……一時間経過。

 

「……寝ねぇな?」

「おかしいですね……?」


ルク達はいつまで経っても、普通に談笑していた。

「そういえばこのスープ、少し変な味がしたデス」

「調味料ってやつじゃない?」

「うむ!料理は奥深いものだからなハッハッハ!」

 

フェイナートの家でしっかりと料理について学んだルク達なのである。

……本当に覚えているのだろうか?


「効いてねぇじゃねーーかー!!」

我慢の限界が来たドガードは叫び出し、頭を抱えた。


原因は単純、なんとルク達毒無効持ちである!

日頃から山や森林で迷子になり続ける腹ペコ軍団を舐めないで頂きたい!

当然、睡眠薬程度で止まるわけがないのである!

 

……だが海賊達は諦めが悪かった。

多少の誤差くらいで諦めないのが海賊なのである!

 

深夜になり

「……よし、今度こそ寝たな?」

忍び足で部屋へ侵入するドガードたち。ニヤつきながら扉をそっと開けた。


しかし。

「…………あれ?」

部屋の中は、もぬけの殻だった。

 

「は?」

「ど、どこ行った!?」

「窓も開いてねぇぞ!?」


それもそのはずルク達はマイダンジョンで寝ていた……。


「フェイナートさんのベッド最高デス〜……」

「静かだし快適よね〜」

「ウム!やはり家は落ち着くな!」

「zzzzZZZ」

 

かつて、ログハウスをフェイナートの指示で解体しマイダンジョンに回収。フェイナートによって順番が書かれた通りに組み立てると念願のマイホーム?が出来上がっていたのである!

 

ちょっとだけカッコよくなっていたりもするが(ルク目線)、基礎だけはしっかり組めとキツく言われていた為、形にはなっていた!

 

そこでルク達は普通に熟睡していたのだった。

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