2章-22話 海底ダンジョンを探索しよう!
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海底レベル2ダンジョン内部
第一階層での戦いは想像を遥かに超える消耗戦となった。
すでに起こってしまったモンスターパレード、そのモンスター達が一階層に集結し次々と外へ出てこうと隊列を組んでいた
ルク達はその真っ只中に突入してしまったのである!
そこはもう完全なるサハギンのテリトリーだった。
ザバァァァ!!
「まだ来るぞ!!」
「槍を合わせろ!!」
海軍兵達の盾へサハギンが殺到する!
弾いても斬っても突き殺しても次々と現れるのである。
まるで終わりが見えない
第一波わ第二波、第三波………………。
数える事すら馬鹿らしくなる程戦った。
まだこれがサハギンで無ければもう少し楽だったのかもしれない、サハギン達は完全に軍隊だったのだ。
前衛が盾で押し込み、後衛が銛を投げ負傷者が出れば即座に後退し新しい個体が前へ出る。
「クソッ!! 連中統率されてやがる!!」
本部長が槍を振るい
ザシュッ!!一体を斬り伏せる。
だが、倒れた死体の向こうからまた新しいサハギンが現れる、終わらない…………本当に終わらないのである。
そして、ダンジョンに突入してから数時間が過ぎた……………………。
ここまで何とか戦って来れたのもルク達による範囲魔法での殲滅や、リリの的確な防御技術により負傷を限りなく抑えていたからである。
「…………はぁっはぁ、ちったぁ落ち着いたか?年寄りにはキツいぜ」
「まだまだ年寄りって歳じゃないでしょうに……はぁはぁ。」
と海兵達が軽口を叩きながら周辺に散らばるサハギンの山を投げ飛ばしていく………………ルクの方に。
「ハーハッハッハ!全部貰っていいとか太っ腹だな、300は超えているぞ!!」
その全てをマイダンジョンに収納しつつ、消費したMPを回復させるがの如くつまみ食いをしていく。
「こんな死体の山があっちゃ休む事も前に進む事も出来んからな、正直処理してくれるなら助かるぜ」
「流石に疲れたわね!2階層とかもこんな感じなのかしら?」
「足が水に浸かっているのも辛いですね……動きずらいです、レンカが羨ましいです」
「やってみたら出来たデス!ここは任せるデス!」
フンスッ!と気合を入れるレンカ。
実はレンカ、魔力制御技術が上がった事と水中を木の板で爆走していた経験から、
一枚しかない羽で上手く羽ばたき足裏に薄い魔力の膜を貼る事で、水面を地面と同様に走る事が出来るようになっていたのである。
それによりレンカのみ自由自在に素早く戦場を動けていたのだ!大活躍である。
「モンスターパレードで溜まってた団体とカチ会ったんだろう……
2層以降はこんな大群はいねぇはずだ
…………少し休憩すっか、小舟預けといただろ?出せるか?こんな水浸しじゃ休めん」
そうして小休憩を取ったのち行動を開始するルク達。
因みに休憩は交代でとり、ルク達が休憩する時はそそくさとテントを張りバレないようにいつものダンジョンでしっかりお昼寝をした。
寝る子は育つのである。
「さて、そろそろいくか!ルク達も準備はいいな?さっさと二階層への入り口を見つけるぞ!
足場は水浸しだが迷宮型っぽいしなレベル1でも10階層はある…………最悪レベル2になってる可能性を考えながら進むぞ」
「よしっ!探索なら我に任せてもらおうか!」
【スペルマジック:サーチ!】
「おお!サーチの魔法が使えるのか!助かるぜ、そんじゃ任せた。」
……………………本部長は任せてしまった。
本部長が言った任せたは(最短距離で)任せるである。
そしてルクは…………(完全制覇を)任されたのである!完全に『ヤル』気である!!
大冒険なら任せてもらおうか!ハーハッハッハ!
と心の中で笑うルクなのであった。
海兵達は知らない………………本当の地獄が始まってしまった事を。
「ふむふむ、フム!よしっ!完全に理解した!」
【ストーンショット!】
ルクが放った土の弾丸が水の底へと飛んで行くと
……カチッ。
どこかで何かが押される音が響いた、
次の瞬間。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
「お、おい……?」
第一階層を覆っていた水が、まるで排水されるかのように勢いよく引いていく。
『おおおおっ!?』
海兵達から驚きの声が上がった。
「凄いですね!」
「これで歩きやすくなりましたね!」
「ふっ、それだけではない!見ろ!!」
ドヤァと決めポーズを決めながらルクが指を刺した先、
そこには先程まで水で完全に隠れていた宝箱と
……………………それを守る様に立っているサハギンエリートの石像が1つ。
そして、水が引いたのが合図となり石像が本物のサハギンエリートへと変化し襲いかかってくる!
「何!?伏兵だと?」
「まぁそんな感じはしてたはよね?」
それを、いつも通りだなと言った感じで無力化するルク達!
そんな中、本部長をはじめとする何人かの海兵がふと顔を見合わせる。
「…………なあ。」
「なんだ?」
「今のって、二階層へ行くのに必要だったのか?」
「…………。」
「…………。」
しばしの沈黙、しかし目の前には宝箱そして被害はゼロ!
「……まあ、いいか!」
「……だな!」
海兵達は考えるのをやめた!
偶々こういう事もあるさ
なんたってダンジョンだもの!
そして二階層は水が無く泥まみれのエリアでサハギンと戦いながら前に進む
……たまに戻りまた進む!
…………そしてルクがボタンらしきものをカチッとやると今度は水が凄い勢いで溢れ出す。
完全にフロアが水に浸かるとフロアの最上部に空いている大きな穴、そこへ泳いでいける様になっていて……わかってたかの様に進むルク。
その先にあったのは宝箱と二体のサハギンエリートの石像………………。
「「「…………………………。」」」
…………あれ?と疑問に思う海兵達だがルク達は止まらない!
3階層ならサハギンエリートが3体。
4階層……5……6……7……8階そして9階層と有無を言わさず続けて行く。
さらに他にも
「ふむ……左だな」
「おっ、階段か?」
「フッ、違うな!」(ドヤ顔で)ルクは壁を指差す。
「この壁の向こうに部屋がある」
「は?」
【アースランス】
ドゴォォン!壁が崩れる。
『おおお〜!?』
中には大量の宝箱…………と勿論
ガコン。
「ん?」
天井が開き大量のサハギンが落下してくる……。
『罠じゃねぇかぁぁぁ!!』
結局、十階層への扉へ辿り着くまでに二日を要したという。
「ここが十階層への入り口だな!」
ルクが満足そうに頷く!
その顔は達成感に満ちていた!
宝箱いっぱい!隠しエリアもいっぱい見つけた。
満足である!
サキもレンカもリリも、宝箱や隠し部屋を大量に発見できてご満悦である。
対して海兵達は――。
全員が疲れ切っていた。
「ほ、本部長……あの……」
一人の海兵が震える声で口を開く。
「言うな」
「ですが!」
「言うな!!」
本部長は必死に現実から目を逸らした。
「十階層には辿り着けたんだ……」
まるで自分に言い聞かせるように呟く。
「ここで終わりだと願うんだ……」
レベル1ダンジョンなら十階層はボス部屋。
そしてレベル2に進化していたら………………
一行は扉を開いた。
ギギギギギギ……。
重厚な石扉が開かれる、その先にあったのは――。
水浸しの広大な通路だった……左右に枝分かれする道、遥か先まで続く迷宮。
「フム……まだ迷宮が続いているな?」
海兵達は泣きながらその場に崩れ落ちた。
『終わりじゃなかったぁぁぁぁぁぁ!!』
「……………………緊急会議だ!!」
本部長が叫ぶと海兵達だけが集められた!疲れているとは思えないほどとても迅速に集まった!
議題はただ一つ。
『ルク達をどうするか』である!
「絶対おかしいだろ!どうしてこんな生き生きしてるんだ!」
それならば自分達が先頭に立とうと言う声が上がる
………………だがそこで重要な問題が浮上する
「……で?」
本部長が尋ねる。
「ルク抜きで進めるか?」
………………
……………………。
「無理です」
「無理だな」
「確実に迷います!」
「そして確実に死ぬな!」
即答だった!
レベル2の迷宮型ダンジョン
それをたった10人程度で攻略するには時間も物資も足り ないのだ……。
そして一人が口を開く。
「……従うか?」
「……従うしかないな」
「従うしかない」
本部長も深いため息を吐く。
「はぁぁぁ〜、残念ながら決まりだ……今後の方針を伝える」
全員が注目する。
「ルクの好きにさせろ」
『………………了解』
もはや全員半泣きだった
十階層からはダンジョンの難易度が大きく上昇する。
それは単純に敵が強くなるという話だけではない。
浅瀬だった通路は深い水路へと変わり、出現するサハギン達も明らかに武装が変化していた。
粗末な槍を振るっていた下級種の姿は消え、重厚な珊瑚鎧を纏う騎士種や魔法を操る呪術師種が姿を現す。
「……ちっ!」
ガキィン!
海兵の剣がサハギンナイトの鎧に弾かれる。
一階層の敵なら一撃で倒せていたはずだった。
だが目の前の敵は違う、その隙を狙うように後方のサハギンシャーマンが魔法を放つ。
「右から来るぞ!」
「防げぇ!」
轟音と共に水弾が炸裂する。
今までなら笑いながら突破できた敵の群れが、十階層を越えた途端に牙を剥き始めていた。
…………辛うじて敵を殲滅した海兵達は肩で息をしていた。
「おいおい……。」
「今のただの巡回部隊だろ……?」
「ボスじゃないのかよ……。」
誰かが呟く、その言葉に返事をする者はいなかった。
本部長も顔をしかめる。
今までの階層が前座だったのだと理解してしまったからだ。
「……思ってた以上に過酷だぞ。」
その一言に全員が頷いた。
ここからが本当のレベル2ダンジョンだった。
そんな重苦しい空気の中でも楽しそうに探索を続ける者たちが4名……。
「おっ!」
ルクが声を上げ合図すると
「どうした!?」
「隠し通路だ!」
「今それどころじゃねぇ!!」
「フッフッフ、まぁ待て!」
ルクは目を輝かせる。
「この感じ……たぶんレア宝箱があるぞ!」
ドヤァァ!!
「聞いてねぇ!!」
海兵達が頭を抱える。
「レア宝箱!?」
「宝デス!?」
「絶対いきましょう!」
サキもレンカもリリもそれはもう楽しんでいた。
これぞ冒険である!しかもお宝付きの!
本部長は空を見上げる、もちろん天井しか見えなかった。
「……帰りたい。」
誰にも聞こえない声で小さく呟いたという。




