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魔王転生〜転生した世界は魔族が滅ぼされた後の世界でした〜  作者: るる
プロローグ

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51/60

2章-13話 天使の暗躍と涙の訳

高評価等とても励みになります。

ありがとうございます。

もし良ければ高評価等よろしくお願いします

ソルテジオ・アシュレイサイド

 

呪面族との戦いは苦戦を強いられていた……。

外で待機していた騎士団300名に対し、呪面族200名。

 

数の上では勝っているがリーダーであるドル=メアは天使化しており、さらに此処にいる呪面族は信仰心の強い精鋭のみ。


騎士団員は次々と倒され劣勢になるのに時間はそんなに掛からなかったのである。

 

 ドル=メア(天使化)ステータス

 体力60魔力120力30守30速20技120天20

 HP120MP200SP215

 (倒された呪面族の分だけSPアップ、幻術全体化、光魔法、土魔法、火魔法、幻術、呪術)

 

「このままじゃ全滅する…………イグニス!僕があのリーダーを抑える!何とか兄さん達が来るまで持ち堪えてくれ!」

 

「危険ですアシュレイ殿!私も」

 

「ダメだ!…………頼むよ」

 

「…………。

 分かりました……必ず生きて返ってきてくださいね」

 

「うん、約束だ」

 

 アシュレイは駆け出す、持ってきた魔道具を存分に使い強引に道を開けながら

 

 …………多分あれは擬天使か、クソっそんなことゲームでは一言もなかったのに、やってくれるなコンチクショウ

 

「そこぉぉぉ!」【ルーンマジック:トルネード!】

 

アシュレイが風の上位魔法が閉じ込められた魔道具をドル=メアに投げつけ魔法を発動させる

 

【アクティブスキル呪術:贖傷しょくしょう

「面白い魔道具を持っていますね(泣)」

 

ドル=メアがスキルを発動させるとトルネードの魔法が消え去る。

 

「呪術か……」


確か呪術って効果は強いものが多いけど反動とかあり得ないくらい厳しい使用条件があった筈、連発は出来ない。

 

「隙は与えない!」

【アクティブスキル:スピードアップ】【ラッシュ!】

 

 アシュレイが素早く接敵し剣を振るう……だが

 

 【スペルマジック:幻像】【ファイアーボール】

 

ドル=メアが魔法を唱えると分身していきいつの間にか4人のドル=メアに取り囲まれる。

 

「なっ!幻術の上位スキル!?なんで、グッ!!」

 

 そして4人分のファイアボールを受けてしまう。

 

 …………、くそ、本物は一個だけだからこのダメージで済んだけど全く見分けがつかないし、本体の場所も…………変えてくるよなそりゃ

 

 ドル=メアは攻撃のたびに一度集まりばらける事で本体の位置を悟られない様立ち回っていく

 

「ふー。このままじゃジリ貧、やるしかない!」

 【精霊憑依:風の精霊ヴァーユ!来い!!!!】

 

  [ソルテジオ・アシュレイ ステータス(ヴァーユ憑依)]

 体力58魔力80力78守64速80技138精20

(風属性強化、タイムリミット200s)

 

「全て切り裂く!」【ウィンドカッター】【スラッシュ】

 

風の刃を放ちながら別の標的に、強化された身体能力で接敵し剣で斬りつける

 

「手応えありっ!」

 

「私は悲しい(泣)、才能ある子供をこの手にかけるのは(泣)」【呪術:贖傷】

 

 おかしい!?何でダメージが通らないんだ!?そんな強力な呪術何の代償も無いわけないのに。

 

 【幻術:視覚遮断】

 

「なっ!?目が、何も見えなく…………この幻術、確か大天使の1人が得意としてた技じゃ!?なんで擬天使が」

 

 【ファイアボール】

 

「グアァァァ!?」

くっ、まずいまずいまずいこのままじゃ。

 

 【ルーンマジック:エリアシールド】

 

 アシュレイが魔道具を使い自身の周りを魔法障壁で囲む

落ち着け、焦るな僕。


 目が見えなくなったくらいなんだ!思い出せ!あの鬼畜ゲームをやり続けた時の絶望を!感覚を……まだやれる

 

 【ファイアランス】

 シールドが壊わされると同時にドル=メア目掛けて駆けるアシュレイ。

 

「諦めの悪い、神に身を任せれば楽になると言うのに…………!!?」

 

 目が見えないはずのアシュレイが分身体を突っ切り本体に斬りかかる

 

「くっ、なぜ??」

 

 この時、不意をついた為呪術の使用が遅れ始めてダメージを与える事に成功する。

 

 ……気配を感じ取れ、敵の行動をよめ、パターンを解析しろ、ずっとやってきたじゃないか!それをまたやるだけだ!


「うおーー!!」【エアスラッシュ!】

 

「ぬぅぅ、何故ここがわかる?」【呪術:贖傷】

 

 アシュレイの怒涛の攻撃により防戦一方になるドル=メア、だが強力な呪術によってダメージを回避していく。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

【エアカッター!】【エアスラッシュ!】

 

 アシュレイの怒涛の攻撃が次々にヒットする。

 

 ドル=メアの余裕は完全に無くなり目の前の少年に恐怖し只々呪術を使い攻撃を耐え凌ぎ震えるだけの存在に成り果てていた。

 

「まだまだぁ!」【エアダブルスラッシュ!】

 

「グヌゥゥ!!??神よオオオ!」【呪術:贖傷ー!!】


そして、決着の時が訪れる

 

 【エアカッター!!】…………………………。

 

「グヌっ」【呪術:贖傷】

 

アシュレイの次の攻撃を呪術を準備し嵐が過ぎ去るのを祈る様に目を細めていたドル=メア、


そして攻撃がやみ目を開けた先にいたのは精霊憑依が切れたアシュレイと


そのデメリットとして全ステータスが一時的に半減し魔法が使えなくなりその場に倒れ込んだアシュレイの姿だった。

 

「ハッ!ハハハ!アヒャハハハ!神は!神は我を見捨ててはいなかった!神よ神よ神よ神よ神よー!!!ハーハハハハ!」

 

 ……くそ、体が、動かない……動け、動けよ!

何で何でだ…………嫌だ、死にたくない、イヤダイヤダイヤダ!!!

 

「フゥ、醜い、実に醜い少年よ良くも我にこの様な醜態を…………許さん、必ず天罰を与えてくれん!見よ!天使様より授かった火の上級魔法を!」

 

【ファイアストーム】

 倒れ込んだアシュレイに炎の渦が襲いかかる。

 

——————

————

——。


本来であれば此処でアシュレイの命は尽きただろう。

アシュレイがココに来なければセイルソルトが命を散らしていただろう。

 

しかし!


唯我独尊をゆく冒険者達がジャイアントゴーレムを倒し、レッドヘルホーンミノタウルスを倒した事によりその命が救われ、


未来が変わり第三騎士団ではなく第二騎士団がこの場にきた事によりアシュレイの命は救われる。

 

彼女は…………勘が鋭いのだ!

 

【アクティブスキル:パワースイング!】

 

虎の獣人がその速さを活かしアシュレイの元に駆けつけると豪快に魔斧を振るい炎の竜巻を飛散させる

 

「ハッ!大したことねぇな?もっとデケェ『ファイアストーム』見たことあんぜ?」

 

 ヴィカ ステータス

体力124魔力12力92守70速112技83獣17


「!!?…………フー、また神を愚弄する者が増えましたか(泣)」

 

 再び分身し翻弄しながら攻撃をしようとするドル=メアだったが

 

「あ?何してんだテメェ!」【スラッシュ】

 

 一発で本体を見破り強い一撃をお見舞いする

 

「!!??」【呪術:贖傷】

 

「あん?何だ??攻撃当たったよな?」

 

「グッ、ヴィカさん、多分……呪術で攻撃を、誰かに肩代わりしてるんだと……思います、ただいくら攻撃当てても、肩代わりされてる方がまだ無事見たいで」

 

「………………因みにだが、それは体が自然化して物理攻撃が完全に無効になるようなやつじゃ無いよな?」

 

「…………え?それって、あの御伽話の伝説の?…………ハハハ、まさか」

 

「だっ、だよな!よしなら大丈夫だ、様は攻撃を当て続ければ良いんだろ?余裕」

 

 そう、【呪術:贖傷】は味方にダメージを肩代わりさせるスキルだったのだ、


だがドル=メアの場合盗賊200人分の生命をストックさせた魔法陣に肩代わりさせているため生半可な攻撃では倒せないのは事実だった。

 

「いくぜ!」【アクティブスキル:フィジカルブースト】

 

「愚かなぁぁぁ!!」【幻術:視覚遮断】

 

「効くか!んなもん!!」【パワースイング!】

 

「は???ゴッフッーー!!」【ひ、光魔法:ヒール】

 

 そして一方的な蹂躙が始まった!

 

 アイアンゴーレム戦では不慣れなダガーで戦い、レッドヘルホーンミノタウルスの時は不意をつかれ大ダメージを負ってしまったが、本来ヴィカは強いのだ。

 

 そして幻術に対しては里にあり得ないくらい強い術の使い手がいる為、何度も痛い目を見た経験があり耐性がついていたのだった

 

「な、何故!?何故こんなにも……」

 

「ごちゃごちゃうるせーんだよ!」【トリックラッシュ】

 縦横無尽に駆け回り上下左右あらゆる所から攻撃を振るっていくヴィカ。

 

「ヒッ!ヒィィーー」【呪術:贖傷】

 

「はっ!ちゃんと攻撃が当たってる感覚があるだけ全然マシだな!オラオラオラ!」

 

「ま、マテマテマテマテー!」【呪術:贖傷、贖傷、贖傷!!】

 

 最早ドル=メアに成す術は何も無かった。

 

 ドル=メアが此処で手こずっている内に、山に入った騎士団もセイルソルトの呼び声で脱出し呪面族達も次々と倒されていっていた。


もうこの戦場には誰も助けてくれる存在などいなくなっていたのである。

 

そして蹂躙劇が始まって数分。

 

ついに生命力を集めていた魔法陣もその力を失う。

 

 【呪術:贖傷】「ゴッフッゥゥゥ、な、なな、ななななな!?」

 

「へっ、やっと効いたなぁ?刺青ヤロウ」

 

「ま、待て話し合おう、神は見てくださっておるのだ」

 

「黙れ」【アクティブスキル:砕天サイテン

 

地面をも砕く斧の一撃によりドル=メアはその命を終わらせたのだった。


「…………そん…………な??……神よ」

ドル=メア(天使化)HP0



 

こうして呪面族掃討作戦は騎士団連合軍の勝利で幕を閉じた。

 

 だが、それは誰もが思い描いていた圧勝ではなかった。


本来ならば包囲と同時に終わるはずだった戦い。

数の力で制圧し被害も少なく終結するはずだった戦いのはずだった。

 

しかし…………


偽の勝利宣言から始まった山への誘導からの火攻め。


 一歩間違えば、山へ突入した騎士団主力が火攻めによって壊滅していた。

 

 勝つ事はできた!

 しかしそれは完全勝利というにはあまりにも犠牲が多かった戦いだった。


 そして数日後。

 

防衛都市スケンティアでは、小規模ながら呪面族掃討作戦の勲章式が執り行われていた。


大広間には騎士、傭兵、冒険者達が集められ、壇上では掃討作戦が始まる前から王都から派遣されていた使者が功績を読み上げていく。


「第一武功――貿易都市ヴァラレート第二騎士団長、ヴィカ殿!恩賞金として金貨千枚を授与する」


『団長〜〜!』『お肉奢るニャー!!』『酒だー!』


「第二武功――辺境都市リサナク領主、ソルテジオ・セイルソルト殿!恩賞金として金貨五百枚を授与する」


再び歓声と拍手!

『ウオォオ!!!』

 

「第三武功――辺境都市リサナク三男、ソルテジオ・アシュレイ殿!恩賞金として金貨三百枚を授与する」

 

……………………歓声や称賛や祝福が聞こえてくる気がした

しかしアシュレイの耳にはそのどれも届かなかった。


 ………………………………。


名前を呼ばれ前へ出て褒賞を受け取る、周囲がどれだけ称えても心の奥にはアシュレイの表情は暗かった。

 自分は…………負けていたのだ。


 もしイグニスが違和感を口にしてくれなかったら?

 

 もし敵が後少し早く攻撃を放っていたら?

 

 もしヴィカが間に合わなかったら?

 

 もし兄が自分の言葉を信じてくれなかったら?


 きっと今頃自分は死んでいた

 戦いの結果も変わっていただろう

 ゲームの通りに兄も死んでいたと思う


 自分は英雄などではないんだ……

 多少知識があるだけのただのちっぽけな人なんだと思い知らされたのだった。


 勲章式が終わり広間では酒や肉が振る舞われ軽い宴会が執り行われた、


 しかしアシュレイは一人そこから離れた場所で俯いていた……。

「……はぁ」


「どうしたんです? アシュレイ殿」


振り返ると、イグニスとサフィアが飲み物を片手に歩み寄ってくる。


「第三武功者とは思えない顔ですね?」


「そうですわ? もっと堂々となさっても良いのでは?素晴らしい活躍だったではありませんか」


「……でも負けていたんだ……ヴィカさんが来てくれなかったら、僕は敵に倒されてた」


 アシュレイにしては珍しく仲間の言葉を否定した


「あの時、僕じゃ敵のリーダーを止めきれなかった」


 脳裏に蘇るそして死を覚悟した瞬間の恐怖

 怖くて怖くて今でも思い出すと体が震えた。


「それに……兄さんが協力してくれなかったら、騎士達を説得なんて出来なかった」 

 

自分一人では誰も動かなかった、誰かが支えてくれたから、信じてくれたから、助けてくれたから!

 …………結果的に勝てただけだ。


「結局、僕は……」

 

「ガハハハハッ!!若いな、小僧」

大きな笑い声を上げながらアシュレイ達の元にやってきた人物が1人。

 

さっきまで樽ごと酒を飲んでいた人物……

「「「ゼクト閣下!」」」


 現れたのはオルグレン・ゼクトであった。


「閣下など要らんと言っておろうが!何をそんなに悩む必要がある」


「……でも」


「お主がいたからだ」

 ゼクトがアシュレイを強く見つめ力強く肩に手を置くと


「お主が声を上げたからセイルソルトは動けた」


「お主が異変に気付いたから外を囲んでいた騎士達は生き残れた」


「お主が時間を稼いだからヴィカ団長が間に合った違うか??」


「誰かに助けられた?当然だろうが!

戦とは一人でするものではない!皆で勝利を掴むものだ!ガーハッハッハ!」


「そうだよ、アシュレイ」


ふと聞き慣れた優しい声が聞こえてきて振り向くとそこには今回の遠征で1番守りたかった人が困った顔で笑っていた。


「本来なら勝手な行動をしたって叱るところなんだけどね、でも今回は別だよくやったぞアシュレイ」


 その言葉は誰の称賛よりも重かった。

 ゲームであればここにはもういなかったであろう存在からの言葉、それを聞いた瞬間アシュレイの我慢がはち切れた……。

 

「……っ」


 胸が熱くなり堪えていたものが決壊していく。


「もっと胸を張ってください、アシュレイ殿!」


「私達のリーダーなんですから、堂々としていませんと困りますわ!」


アシュレイは俯いたまま腕で目を覆った。

悔しかった!本当に悔しかったのだ!


 知識はあったのに自分だけでは何一つ届かなかった事が。


 強くなったと思っていたのに自分の命ですら失いかけた事が!


もっと僕が強ければ、もっと早く気付けていれば!もっと力があればとずっと心の中で思っていた事をいつのまにか声にだして叫んでいた……。

 

そして


「……うんありがとう…………もう、僕は負けないから」


この世界に転生し持てる知識を使い必死に努力し続けて神童とまで呼ばれいるアシュレイは子供のように声を上げ、大粒の涙を流し続けた。


悔しさも、恐怖も無力感も全部を吐き出すように。

 

 

 

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