2章:王国と動き出した天使編 1話人々の笑顔の裏で
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とある都市、領主が住まう大きな屋敷。
その一室で同じ顔をしている髭を生やした40歳くらいの男同士が向かい合っていた。
1人は腹部に胸に剣を刺され膝を突き、もう1人は悪どい笑みを浮かべ剣を突き刺している。
「ぐっ、まさか最初からこのつもりで私に近づいたのか良き軍師としての顔は偽物か」
「くっハハハハハ!私は知略にて敵を策に嵌めることが大好きでねクククッその顔、とても美しい」
「おのれ……天使が我等人間を裏切るのか!?」
「裏切る?それは違う、裏切ったのは君達人間の方。
せっかく我等天使が魔王を誘導して魔大陸から炙り出し、人間と戦争させることで討伐出来て不安分子がいなくなったと言うのに、
今度は人間同士で戦争を始めて強さを高め合うんだからね。
余りにも醜い、それなら我等天使が世界を管理した方が皆が笑って過ごせる誰も我等天使に逆らうことを考えられない世界に出来る……そうだろう?クフフ」
「………………グッ」
すまない王よ、娘よ。頼む、誰でもいい気づいてくれ。
「何だ、もうこと切れたのか」
死体を魔法にて片付けると声色、仕草をたった今事切れた人物と同じにしていく
「今日からこの都市はこの私
[5大天使が1柱策略の大天使ヴァルセリオ]
が統治する。記憶は貰っていくぞ元領主様?」
その夜、密かに1人の王国領主がその存在を消した。
だが人々は気づかない、大天使が領主と全く同じ顔、性格、仕草をコピーして都市を統治し始めたからだ。
これからゆっくりと、しかし確実にこの都市は変わっていくこととなる、誰も疑問を抱かないまま。
辺境都市リサナク領主の屋敷の一室にて……
アシュレイはひたすら風魔法でクリームをかき混ぜていた。
「何故だ!何故こんなことに」
それはある日アシュレイが12歳となりあと3年で前世でハマっていた超鬼畜ゲーム
【天空のデフペラソーレ】のメインストーリーが開始かぁ。
と思ったのと同時に何となくケーキが食べたいなぁと思ってしまった事が始まりだった。
元々アシュレイは前世の知識を使い、領主の三男として領地運営に貢献して来た。
いつ攻め込まれてもいい様に防衛力やそれに伴う金策もして来た。
その一部として砂糖の生産も行って来てきており、そしてついにショートケーキを完成させたのだ!
上に乗っているフルーツはイチゴじゃなくブルーベリーだが……。
そしてそのケーキを1人で食べるのもなぁと思い、イグニスとサフィア、そして母親を呼んで一緒に食べたのが悪夢の始まりだった……。
そう、アシュレイは女性が甘味が大好きだと言う事をここ最近の鍛錬の連続でうっかり忘れてしまっていたのだ。
イケメン主人公としてあるまじき失態である、いや成功なのだろうか?
そして母親から他の貴族達へと噂が広がり現在辺境都市リサナクではショートケーキブームが到来していた。
だが問題が此処で発生する。
そのショートケーキを作れるものはアシュレイと料理開発に協力して貰っている屋敷のシェフ数人のみだったのだ。
「アシュレイ坊ちゃん!応援はまだですか?」
「大急ぎで今募集掛けてるから!」
「もう何日も前から言ってますよ!それ」
「信用がある人物しか雇えないんだよ!!僕だってこんな事やりたくないよ!」
「ちょっと!アシュレイ様がやらなかったら風魔法使える人がいなくなって…………全部手でクリーム作る事になりませんか?」
「………………そこはほら、シェフの腕の見せ所みたいな?」
「「絶対応援入っても当分はここにいてくださいね」」
ここでも過労死寸前の人達が領民に気づかれないまま、ショートケーキ革命という名の革命の被害者となって日々悲鳴を上げるのであった。
貿易都市ヴァラレート領主の屋敷にて
領主はとても困っていた。
「ハァァァァ、まだ来ない…………」
そう、ルク達にこのままだと期限切れで冒険者プレート剥奪という知らせを出してからもう1ヶ月、
本当は既に期限切れなのだがヴィカからの要請もあり、領主の裁量という事で何とか誤魔化して来た…………だがそれもそろそろ限界に近かった。
「もしや道中で何かあったのか…………いや、だが騎士団の巡回連絡では異常は無いと報告を受けている。
なら一体なぜ………………」
コンコン!強いノック音が部屋に響く
「入りなさい」
「失礼します!」
「第三騎士団副隊長だね、何かあったのかい?」
「ハッ!現在冒険者ギルドにてルクという少年がギルドプレート更新にいらしております」
「そうか!やっと来たか。
言いたい事はわかった、ギルドプレートは更新して構わない、彼等はミノタウルスのモンスターパレードを攻略した立役者だからね」
「い、いえ……それが」
「ん?どうしたんだい?」
「ここにくる途中でレベル1のダンジョンを見つけたらしくせっかくだから攻略して潰して置いたと…………」
「何とすごい!レベル1とは言え未開拓ダンジョンの攻略を子供だけでする何て凄いじゃないか
……………………でもわざわざそれ私の所に慌ててくる報告じゃないね…………?まだ何か?」
「………………え、ええとその。」
「大丈夫、君に責任はない言ってごらん」
「ハッ!実はそのダンジョン貴重なミスリルが取れるダンジョンだったらしく
…………ミスリルの鉱石は売れるのかと」
「な!それは凄い!ヨシっ!今すぐそのダンジョンを管理下に置く!急いで騎士団の編成……………………を?
待て、ダンジョンを潰したと言ったかい?」
「………………はい。管理下に入ってないダンジョンは潰すもんだと教わったらしく」
「…………………………」
「………………………………」
「最近胃が弱くなったみたいでね………………何かいい薬無いかな?」
「お察しします。」
そうして貿易都市ヴァラレートが王都並みに栄える未来は途絶えたのであった………………。
ルク達が発見しなければ、いや。
このダンジョンはルク達がハイキングがてら山を登り、川で魚をとっていた時たまたま逃げられた魚を追って川に潜って流されたレンカを救出しようとして皆んなで流され滝から落ちた先にあったダンジョンであり、
誰も発見することもなくアシュレイすら知らない完全未開のダンジョンだった。
場所的にも管理できるダンジョンでは無いのだが、
説明が苦手なルク達のおかげ?で詳しい詳細を知らない領主は誰にも相談できないまま1人胃を抑えるのであった。
そうとは知らない領民達は今日も活気に溢れ生きていく、
レベルを下げたとは言え有益なダンジョン2つがあるこの都市はとても栄えているのであった。
「申し上げます、先ほど帝国貴族の次男様が予定通り領内に到着されました、ダンジョンを攻略したいとの事でしたが少し………………」
困った様に領主に使える執事が言うと
「な、何だね?」
「15歳以下のパーティーでダンジョンを攻略したいとの事で……戦闘は自分らでやるから案内をつけろと」
「………………なんと無謀な」
領主は天を仰いだ。
最近気付いた事がある。
胃薬より先に諦めを覚えるべきなのかもしれない。
2章はルク達がいろんな出会いや経験をして大人になっていくを裏テーマとしているので、少しシリアス?な部分があるかもしれません。
が、ルク達の王国を大移動する大冒険が始まりますので楽しんでくれたら嬉しく思います。




