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魔王転生〜転生した世界は魔族が滅ぼされた後の世界でした〜  作者: るる
プロローグ

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2章-66話 VS!?王都商人ギルド幹部

高評価等とても励みになります。

ありがとうございます。

もし良ければ高評価、グッドボタンよろしくお願いします

商人ギルドの本部、その最上階に位置する特別応接室にて

 

本来であれば、国を動かす大貴族や、その名を大陸全土に轟かせるSランク冒険者だけが足を踏み入れることを許された最高級応接室。

 

そこに今、あまりにも異質な一団が鎮座していた。

ただでさえ場違いな少年少女達が、一つ数千金貨は下らない最高級ソファの上でドヤ顔で座り込込んでいるのだ!

 

……なんならピョーンピョーンと跳ねていた!

中々良い物ではないか!……くれないだろうか?

 

そして、テーブルの上に用意されたケーキの数々に

『……おおおー!!』

っとルク達、そして孤児の子供たちが感動の声を上げる!

 

なんと王都で一番人気の高級菓子店から買ってきてくれたのである!

 

雪のように繊細な純白の生クリームに、宝石のごとき真っ赤なイチゴが鎮座するショートケーキ。

しっとりと濃厚な焼き色を付けたベイクドチーズケーキ。

 

 芳醇なバターの香りを漂わせる焼きたてのアップルパイに、職人が一枚一枚焼き上げた金箔入りのクッキーなんかも並べられていた!


できる商人は、人の心を掴む術を知っている物なのだ。

「さあさあ、お好きなだけどうぞ! こちらの最高級ハーブティーもご一緒に!」

 

部長は額の汗をハンカチで拭いながら、これ以上ない満面の笑みでケーキを勧める。


その様子を、トウガイだけが「こいつ、目が完全に獲物を狙う商人のそれだな……」と呆れたように眺めていた。

……まぁ悪いようにはならねぇか?

 

「モグモグパクパク——美味しいデス!」

「この白いフワフワ、フワフワでアマアマね!美味しすぎるわ!?」

 

「これがケーキ!!最高だな! 待った甲斐があったというものだ!ハーハッハッハ!」

「モグモグモグモグモグモグモグ」

 

先ほどまでの不機嫌さが嘘のように、一瞬で上機嫌になるルクたち。

ケーキがあるなら先に出して貰いたい!!

全く困った大人達である!

 

そんな子供たちの様子を見て、部長は心の中でガッツポーズを突き出していた。

 

(よしっ……! 掴みは完璧だ!たかが甘味ごときでここまで喜ぶとは、やはり子供はチョロ……ゲホン!なんとも純朴で可愛らしいお子様方だ。くくく……さて、ここからが本番といこうじゃないか)


「それはそれは、お口に合いましたようで何よりです。……さて、お食事中大変恐縮ではございますが、少々お話を進めさせていただいてもお戯れにはなりませんでしょうか?」

 

「モグモグ……ん? モグモグ……うむ! 苦しゅうないぞ!」

口のまわりに白い生クリームをべったりと付けたまま、ルクが大雑把に頷く。

 

ケーキの美味しさにここにきた目的なんか忘れていた……

……訳ではない!決して!!

ちゃんと思い出したのならそれでいいではないか!


「ありがとうございます。では……先ほどお持ちいただいた数々の品についてですが、皆様の側で『買取希望価格』などはございますでしょうか?」

 

キラン、と部長の瞳が一瞬で「計算機」のそれに切り替わる!まずは相手の相場観を探る。これが交渉の鉄則だ。

 

いくら子供に見えようと、これほどの素材を持ち込んできた以上、裏に熟練の鑑定士がついている可能性もゼロではない。慎重に、かつ探るように……。


だが、返ってきたのは思ってもみない言葉だった。

「相場とは金の事か??」

「お金って難しいのよね〜」

「前にツノ兎の魔石を換金した時は1つ1銅貨でしたっけ?」

「銅貨って肉いくつ分デス??」


「…………ホ……エ??」

部長の口から漏れたのは、王都商人ギルド幹部としてあるまじき、情けない抜け殻のような声だった。


な、何を言っているのだこの子達は…………??

ま、まさかこれだけの成果を上げられる冒険者が金の使い方を知らない……?

ま……まさかそんな?

 

ハッ!!!!

ズピシャーーーン!!!

部長の脳裏に、一つの可能性が電撃のように走った!

真実はいつも一つなのだ!!

 

……わかったぞ!これは試されているのだ!!

もし、ここで相場より安い金額を提示したら即取引は終了……。


ふっ〜、危ない危ない。

子供だともおって舐めてかかると痛い目を見る……。

ソルテジオ家三男の時もそうだった。

 

もう同じ失敗はせんぞ!!

ニッコリと完璧な笑顔を作りルク達に低姿勢で接待を続ける。


「……承知、いたしました。では一点一点、当ギルドの誇りに懸け、公正かつ適正価格にて査定させていただきます!追加のケーキをご用意させますので、どうか食べてお待ちになってくださいませ!」


そう部長が言うとルク達の目がキラっ!と光り、満面の笑みを浮かべた!

 

(……やはりな!私の目に狂いはなかった。試練は突破したのだ! 見ていてくださいお客様……商人ギルドの誇りにかけて、一切のごまかしなく、むしろ我がギルドの利益を極限まで削ってでも査定してみせます……!)

 

部長が狂気すら孕んだ使命感を胸に部屋を飛び出していった後、応接室は歓喜に包まれていた。


「追加のケーキですって!!」

「太っ腹だな!これが商人ギルドか!良いところではないか!」

 

「換金するとケーキくれるデス!後でまたきまショウ!」

「ルナスィラに行って良さそうな宝石出してもらいましょう!確か精霊ダンジョンからいっぱい持ってきてた筈です!」


部長の思惑とはまったく違うベクトルで、ルクたちの商人ギルドに対する評価は、留まることを知らず爆上がりしていくのであった。


その後の帰り道!

ルク達はとてもご満悦だった!!

なんとお土産にとクッキーを沢山貰ったのだ。

 

……え?いくらで換金出来たのかって?

我らにお金の事を聞かないでほしいのである!

 

大金貨は使いづらいのは知っていたので、金貨にしてくれと頼んだら涙目になっていたくらいの金額は手に入った!

きっとこれだけあれば、沢山肉や甘いものを食べても平気だろう!


「今度また来るって言ったら泣いて喜んでたわね!」

「ウム!絶対また行こう、あのケーキは絶品だった」


そして機嫌のいいルク達は今日も孤児達に沢山美味いものでも食べさせてやるか!と旧市街地へ足を進めるのであった。

 

 

————


タウサイド

 

遡る事数十分前、王都旧市街地にて

「…………遅いね?トウガイさん。」


ジーヌが辺りを見回しながら答える。

「商人ギルドに行ったって言ってたけど……まだ帰ってこないのかな?」


レベル1ダンジョンを攻略できなければ何も教わることがないまま退学なのだ……。

そのためには、高ランク冒険者の協力を何としても取り付けなければいけない!


だからこそ、元Aランク冒険者であるトウガイだけが今の希望だった。

「断られたら……どうしよう」

「その時はまた考えよう!」

 

ジーヌは笑ってみせる、話を聞く限りトウガイさんは面倒見のいい人らしい……。

きっと大丈夫と自分に言い聞かせる


「まだ何も始まってないんだから!」

「……そうだよね」


タウが頷いた、その時だった。

「わー!!新魔団だー!」

「またお肉狩ってきたのーー??」


子供達の元気な声が旧市街に響くと、奥に引っ込んでいた住民達も外に出てくる!


「ハーハッハッハ!ふわふわパン買ってきたぞ!」

「クッキーもありますよ」

「クッキー欲しい人は私にリバーシで勝ってからよ!」

「それだとクッキーの数足りないかもデス?」


遠くの方で元気にはしゃぐ子供達の声が聞こえると

住人の人から聞いていた外見と一致する人物が

路地裏に座り葉巻をふかし始めたのだった。

 

————————

トウガイサイド


俺の名はトウガイ。

元Aランクの冒険者だ。


全く何なんだこいつらは?

商人ギルドの場所すら知らないって言うから案内してやったが、まさか金の価値すら知らないとは……。


なんか知らんがギルドのお偉いさんが勘違いしてくれたから上手く売れたものの……。


本当に大丈夫なのか?コイツら……。


「オイ!そんな見つめてないで手伝え!男に見つめられても何も嬉しくないぞ!ハーハッハッハ」

「…………少し一服してくる。」


孤児たちに腹いっぱい飯を食わせてやるのは結構なことだが、一緒にいるととにかく精神が擦り減る。

俺はルクの声を無視して、路地裏の陰に逃げ込んだ。

(スゥ〜……フゥーーッ……)


「あの……トウガイさんですか?」

「…………ん?……違う、帰れ」

見たところ王立学園の学生だな、こんな所に何のようだ?

……いや、関わっても碌なことがない。ここは知らんフリだな。


「トウガイさんですよね!!おねがいがあるんです!このままじゃ退学なんです!」

 

 …………うるさい少女だな。こんな見た目のおっさん相手によく物怖じせずグイグイ来られるものだ。

「……知らん。他を当たれ」


「……やっぱり他を当たるしかないのかな?」

「……少し無茶かも知れないけど、ダンジョンに着いてきてくれそうな低ランクの冒険者さん探してみる?」


「…………おい待て、今ダンジョンと言ったか?」

これまで目を合わせようとしなかったトウガイがタウ達を鋭い眼光で睨みつける


「は、はい。今月までに学園管理のレベル1ダンジョンをクリアしないと退学て」

 

「馬鹿野郎!!ダンジョンを舐めるな!学生がレベル1とはいえダンジョンに潜ること自体が危険な事だと何故わからん!」

元Aランク冒険者の気迫のこもった叫び声が当たり一面に響き渡る。

 

「ッ…………で、でも私達退学になる訳にはいかないんです!!」

「そんな事をさせてくる学園なら辞めた方がマジだ!何を考えているんだ学園は!」


管理されているとはいえダンジョンはダンジョン。

子供が入るような場所ではないのだ!!

 

そんな無茶するやつがいたら叱りつけてやる事が大人の役目なのである!全く学園の教師はここまで腐り果てたのか!


そうトウガイが頭を悩ませ、何とか諦めてもらおうと口を開こうとした時……。

無茶な事しかしてこなかった冒険大好きの子供達が名乗りをあげた!


「おぉ!声がするときてみたらタウではないか!何だ?遠足か?」

「あら!あらあらあら?もう彼女まで作ったの?凄いじゃない!」

 

「タウも男の子ですもんね!」

「ダンジョンって聞こえまシタ!何故ボクたちに話してくれないのか……タウも困った人デス」


「……え?ルクさん。い、いやいやいやジーヌとはそういうのじゃ……ゴニョゴニョ」

「え?……えーと、あなた達は??」

「……おい待て!?お前らはスッこんでろ!絶対話がややこしく…………」


トウガイが長年の勘から本能的に危険を察知し、全力でルクたちの口を塞ごうとするが……すでに遅い!

名前を聞かれたからには、新魔団にはやるべき事があるのだ!

 

「よくぞ聞いてくれた!」

ルクが不敵に指を鳴らした瞬間!周囲を覆い込む闇の大結界が展開!

 

タウとジーヌが「ひぇっ!?」と身をすくめる中、結界の上空には巨大な満月が魔力によって創造される!

 

「そこよッ!」

サキが夜空(結界)に向かって炎と爆発魔法を融合させた火球が撃ち上げられた。

 

もちろんそれは火球ではなく……。

空中で緻密に魔力制御され大輪の花となり「新・魔・団」の文字へと姿を変えて炸裂する!

 

かつて、アシュレイから聞いた花火を見た事もないまま再現した結果、何故か本家を超えていると言う謎の超技術である!

 

勿論それだけではない!新魔団と決めポーズは常にアップグレードされているのだ!

 

「ライトアップ、いきます!」

「足場を固めるデス!」

 

暗転した空間を、リリの光魔法によりピンポイントで照らし出し、同時にレンカが足元の土を盛り上がらせ特設ステージを作り出す!

 

爆風、光、そして闇の大結界!

あまりにも完璧なステージが完成し高らかに声をあげる!

 

『ダンジョン攻略なら任せておけ!我ら最強パーティー新魔団!』

バーン! ババババーーン!!(花火の爆発音)

 

国家魔導士もびっくりの大魔法を、ただの自己紹介のためだけに120%の出力で行使し開いた口が塞がらない周囲の人たちを置き去りに


ルク達はドヤ顔を決めた!

(因みにケーキをお腹いっぱい食べた事で、リリもとてもご機嫌だった!)

 

「何なんだコイツらは……」

トウガイの呟きは、ルク達の勢いにのまれ消えていくのであった……。

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