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魔王転生〜転生した世界は魔族が滅ぼされた後の世界でした〜  作者: るる(カイルルイ)
1章 辺境ダンジョン編 1〜33話

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1章-5話 ホントだよ??

高評価等とても励みになります。

もし良ければ高評価等よろしくお願いします


2026年7月7日

内容を分かりやすくしながら少し変更しました。

「「……ぐすっ。」」

 数分後。

 

 先ほどまで泣きじゃくっていた二人は、何事もなかったかのように肩を並べ、焼き肉を頬張っていた。

 

「なんだ!食べるではないか!」

 ルクは、口一杯に肉を詰め込む少女の姿を見て満足げに笑う。

 

「ハッハッハ! 焦らすな焦らすな! もっと食え食え!」


 少女は小さく首を縦に振り、焼きたての肉を夢中にもぐもぐと食べ進める。時折思い出したように小さな手でリンゴをかじり、また肉へと手を伸ばす。

 その必死な様は、何日もまともな食事をしていなかったんだなとルクに思わせるには十分だった。

 

 やがて肉もリンゴも食べ終え、少女は深々と頭を下げた。

「……ご馳走様でした。」

 

 そして、おずおずと口を開く。

「あ、あの……マンティコア様」

 

「む?」

(……そういえばマンティコアだと言ったんだったな)


(ふむ……)

 見たところ大した力もなさそうだし、何より肉とリンゴをあれほど美味そうに食った奴に悪いやつはいない!!

 ならば、我がマンティコアでないと明かしても大丈夫そうだな。

 

 そんな、実によく分からない自分ルールの分析を終えると、胸を張って宣言する。

 

「さっきからマンティコアと言っておるが……我はあんな醜い化け物ではないぞ?」


「……え?」

「マンティコアに用があったのか?」

(まずは情報だ! 念の為マンティコアを美味しくいただきましたとは言わずに、この娘がマンティコアとどういう関係なのか探らねば)


 すると少女の顔から血の気が引いた。

「に、逃げてください!」

 

「ん?」

「このままじゃ……君まで、生贄に……!」

 

「ぷくぅ〜!!」

 ルクの頬が分かりやすく膨らんでいく、完全にご機嫌斜めである!


(君……だと!? 天下の魔王に向かって『君』とは何事か!)

 ……いや待て。ルクはハッと我に返った。

 

(そういえば今は八歳ほどの子供の姿なのだった!)

 外見の年齢に引っ張られ、中身まで思考が幼稚化しているのである。

 

(ハーハッハッハ! うっかりうっかり!)

 ……些細な勘違いは許して欲しい!


 それにしても、どうやら少女にとってマンティコアは憎き敵だったらしい。

(それならば話は早い! つまり我がマンティコアを倒したと伝えれば、全て解決ではないか!)


「ご、ごほん……安心せよ!」

 ルクは仁王立ちになり、誇らしげにドヤ顔を決めた。

 

「マンティコアなら、我がとっくに捻り潰してやった!」

 ババーン! と効果音が聞こえそうな勢いで宣言する。

(フッ、今の決め台詞はなかなか格好良く決まったな!)


 しかし少女は、意味不明な発言を繰り出す目の前の少年を前に、ぽかんと口を開けるばかりだった。


 数秒もの間、時が止まったかのように沈黙が場を支配する。

「…………。」

「…………。」

 

「マンティコアを倒したいという、お気持ちは分かります」

「……ん?? いや、だから倒したと……」

 

「でも駄目なんです! あの魔獣に勝てる人なんていません!」

「……ん……うむ?」

(だから勝ったと言ったんだが……)

 

「村の大人達もみんな……逆らって……もう」

 少女は悲しげに目を伏せ、自嘲気味に笑った。

 

「今月は私一人で何とかしてみますから。……最後に、こんなに美味しいご飯を食べられて本当に嬉しかったです」

 

 少女は瞳に涙を浮かべ、深く頭を下げる。

「本当に、ありがとうございました。君は早く逃げてください」

 

(なぜだ! なぜ倒したことが伝わらないのだ!?)

「だから!」

 ルクは地面をジタバタと踏みつけ、子供のように叫んだ。

 

「倒したと言っておるではないか! ま、まあ肉とリンゴが最高だったことには同意するがな!」

 

だが、少女は年下の子供を温かく見守るような眼差をルクに向けている。

「えっと……。君、一人なんだよね?」


(……その目はなんだ!? 我は本気で言っているのだぞ!?)

「……無論だとも!」

「どうしてこんな森に?」

 

「それは……。」

 ルクは長考する。元魔王の転生者だとか、自分でもいまいち把握していないダンジョンマスターだとか、そんな現実離れした真相を話せるはずもない。

 

 考えた末、素晴らしいアイデアが閃いた。

「修行だ!!」

(完璧な回答だ! とりあえずは難を逃れたか)

 

 しかし少女は、そんなルクを慈しむような笑顔で見つめた。

「……そっか。かっこいいね。この道を真っ直ぐ行けば私の村があるから、そこまで行けるかな?」

 

 その笑顔を見た瞬間、ルクの中にモヤッとした悔しさが芽生えた。

(……なんか、絶妙に馬鹿にされている気がする。いや、これは子供扱いされてる気がする。)

 

 ……どうすれば信じてもらえる? マンティコアの肉は綺麗に切り分けてしまったし、頭も爪も邪魔だしと食べてしまった。

(証拠がない……! くっ、こんなことなら少しくらい残しておけばよかった。)

 

「そうだ!」

 ルクはポンと手を打つと、跳ね起きるように立ち上がった。

「ならば!我の力を見せてやろう!少し待っておれ!」

 

「……え!?」

 少女が止める間もなく。

【アクティブスキル:エリアサーチ】

【スペルマジック:ハイジャンプ】

 周囲を索敵すると、空を跳び跳ねるように高い木の上をピョンピョンと移動していく。

 

「えっ……。」

 呆然と空を見上げ、あり得ないものをみる少女を置き去りに森の奥深くへと消えたルクは。悠々と木の実を漁っていた巨大な熊に向かい、空中から一直線に落下する。

 

【アクティブスキル:旋回破!!】

 重力と回転を乗せた一撃を叩き込むと、巨熊は断末魔をあげる隙すら与えられず絶命した。

 

「おお!このスキル中々強いな!」

 SP消費は十と少々重いが、申し分ない威力だ。素手で発動できる点も評価が高い。

 うむうむ……と、一人で評価を済ませると次の魔法を発動する。

 

【スペルマジック:シザークロウ】魔力の爪でテキパキと熊を解体し、【ダンジョンウィンドウ】の中に切り分けた肉を収納!

 そして仕上げに——。

 

【ハイジャンプ】で再び風を切って少女の前へと舞い戻った。移動から狩り、解体に至るまで、所要時間はなんと十分足らずである。

 

「シュタッ!待たせたな娘よ!」

 満面の笑みで着地したルクは、空間から現れた黒い渦に手を突っ込み、解体されたばかりの熊肉をどさりと取り出してみせた。

 

「ほれ! これを見ても我が弱者に見えるか!」

「…………え?」

 少女は目を見開いた。

 

「い、今……数分で熊を……?」

「それにその黒いのは一体??」

 

「…………あ?」

(まずい……! なにも考ずスキルを使ってしまった!)

 ルクは内心で冷や汗を流した。ダンジョンウィンドウなんて我でもよく分かってない力を見せびらかしても、良いことなんて絶対にないに決まってる……。


(どうする!? どう説明する!? ……いや、もう勢いで押し切るしかない!)

「こ、これはアイテムボックスだ!」

 

 時空魔法が得意な者なら作れる。部下がそんなことを言っていた気がする! きっとありふれたアイテムのはず。

 

「ア、アイテムボックス……?」

 少女は不思議そうに首を傾げた。生まれてから村が一歩も出たことのない彼女は、その概念すら聞いたことがなかったのだ。

 

(あれ? その反応、もしかしてアイテムボックスって激レアなのか……?)

だが、もう言ってしまったからには引き返せない。

 

「……そうなのだ!」

 最早、謎の迫力で押し切ることにした!

 

「は、はい!そうなんですね!」

「うむ!そうなのだ!」

 

 少女の反応をみてルクは満足そうに頷いた。

(よし! 押し切った! ……たぶん!)

「これでマンティコアを我が倒したことも信じてくれるな?」

 

「えっ……その……。」

「は、はい?」

 半ば雰囲気に押し切られる形で、少女はおずおずと頷いた。

(よし! ようやく伝わったか!)


(……それにしても、この娘の話を聞く限り……どうやら村全体がマンティコアに困っているらしいな)

 少女がマンティコアのせいで生贄にされようとしているのなら、村の者たちも同じように困っているはずだ。


(ならば、この熊肉を持って行ってやれば、きっと喜ばれるのではないか?)

 せっかく手に入れた新鮮な熊肉だ。これを村へ持って行けば、マンティコアを倒した証拠にもなるし、何より腹を空かせた村人たちにも食べさせてやれる


(……これはもしや、我が村を救った英雄として歓迎される流れでは!?)

 そう考えた瞬間、ルクの口元がニヤリと緩んだ。


(ムフフ……!)

 魔王だった頃は部下が口うるさくて、なかなか遊びにも行けなかった。

 

 たまにはチヤホヤされても罰は当たるまい!

 今こそ、チヤホヤ大作戦決行である!

 

「よし!! 娘!!」

「は、はいっ!」

「村へ案内せよ、マンティコアは我が倒した。よって我にはムフフなお姉さん達にチヤホヤされる権利がある!」


「……は、はい?」

「我が英雄譚、とくと聞かせてやろうではないか! ハーハッハッハッハ!!」

 

「は、はい……。」

 ……少女は押しに弱かった。

誤字報告、感想ありがとうございます。

本当にありがたいです

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