2章-58話 護衛依頼と激闘の後のお肉!
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天使の魂が光の玉となり天へと昇っていくのを見つめながら3人が呟く。
「…………記憶だっけ?とんでいったわね」
「あの速さは追えないデス……」
「自爆とは、そこまでやるのですね」
「「「…………まぁ勝ったし??(デス)」」」
新魔団は前向きだった!
勝ちはしたのだ!それでいいのである。
記憶が引き継がれたらどうなるのか、とかよく分かってないだけとも言える!
「…………助かったのか?」
馬車を囲んでいた煙幕もはれ、ブブやタウといった学園入学生達も顔を覗かせる。
「そうですね、危機はさったと思います。」
「ゴルドさんとリンドウさんは大丈夫ですか??」
「ギリギリな?助かったぜ嬢ちゃん達、強ぇんだな」
「金貨2枚もするハイポーション使っちまったがな?ハハハ!」
「ブブって言ったわね?中々やるじゃない!斥候でもちゃんと戦えるのよ!やっぱり」
…ブブはBランク冒険者である、低ランクの斥候職と一緒にしてはいけない!決して!!!!
ノクトは今頃元気でやっているだろうか?
「不意打ちを決めただけだがな……あんな突拍子もない作戦よく思いつくな?」
「そんな事よりお肉焼かないとルク絶対起きないわよ?これ、焼肉しましょ!」
「そうデスネ!お腹空きました」
「お肉はルクじゃないと取り出せないんですよね……何処かにいませんかね?お肉」
緊迫した戦場から一転、あまりに平和な食べ物の話題に緊張が和らぎ、入学生たちもようやく口を開き始めた
「なぁ……あれって本当に天使様だったのかな?」
「天使様って……人間を守る存在じゃなかったのか?」
「教会でもそう教わったぞ……」
【…………イスピード】
……今誰か何か言っただろうか?
「俺もだ…………」
「勇者様と一緒に魔王を倒した人類の守護者だって…………」
一度疑念が芽生えると、子供たちの不安は一気に膨れ上がり、軽い混乱が広がり始める。
「天使は敵なのよ?よく覚えておきなさい!」
「そうデス!何回も襲われてきたデス!」
「そ、そんな……」
「俺達は何を信じたら…………」
((————!!!))
サッ!
【ファイア】
何故レンカとサキで完璧な連携を見せ焚き火を開始するのだろうか?
色々な意味で戸惑いを隠せない子供達を前に、Bランク冒険者サンヘッドパーティーのゴルドは立ち上がった。
いつだったか……アシュレイに何故そんなにガムシャラに頑張るんだ?と聞いた時に返ってきた言葉を思い出す。
「いいかお前達、昔あるガキに聞いた事があるんだ……『何でそんなに頑張るんだ?』ってな」
入学生たちが静まり返りゴルドを見上げると。手応えを感じたゴルドは熱を込めて続けていく。
「そしたらそいつはこう言ったんだ、『僕にはやらなければならない事がある。それに向かってガムシャラになってるだけですよ』ってな?」
ゴルドは学園のある方角を見るをみてカッコよく決めようと胸を張る!
遥か後方で、巨大なイノシシを仕留めたリリが「運ぶのめんどくさいな?」と座標演算をルナスィラに任せ風魔法の準備をしていることなど、決め台詞を考えてるゴルドは一切気がつけなかった!
「お前達の目標は何だ?学園にいって立派な魔法使いになる、故郷の為に頑張る、英雄になる!夢を叶える為に学園に行くんだろ??……天使が敵だった、それだけの事でお前らの夢は潰えるのか?違うだろ!!」
ゴォォォー!! ピューーーンッッ!
何やら後方で凄まじい突風が吹き、巨大な何かが打ち上げられた気がするが……。
(ええい、これからが良いところなんだ! 邪魔をするな突風!)
ゴルドは渾身の決め顔で語りかける!!
「いいかお前たち!今日の出来事にどんな意味があるのか、答えを知りたいなら進め!!」
(おーい!危ないわよーー??)
(そこどくデーース)
(ええい!さっきから後ろが騒がしいな!見ろ、子供たちの顔を!唖然とした表情で空を見上げて……きっと感動で涙を堪えてるに違いないんだ!見てろよ、完璧に決めてやるからな!?)
「幸い、お前達には学べる場所があるだろう?だったら行ってこい!そして自分の目で世界を見てこい!!これからはお前達が主役だというこ—————」
そして遂に巨大な影がゴルドに迫り!
ドゴォォォォォン!!!
「ボゲブゥラアァァァァーーー!!?????」
空から降ってきた巨大イノシシがゴルドを直撃!
そのまま彼は地面へと深く深くめり込んでいった……。
「…………」「………………」
「……………………」「……えぇ?」
入学生たちは学んだ。
『自分の目でよく周りを見て動くこと。それが何より大事なのだ』と。
「ゴルド、お前…………」
「はぁぁ……」
ブブとリンドウは痛感した。
『身の丈に合わないカッコつけた真似など、するものではない』と……。
「ヒュ、ヒュー」
「…………ギュ」
サキは吹けない口笛を吹き、レンカは耳を塞ぎながら確信した。
『話を聞かない人は、物理的に潰れるのだ』と。
「………あれ?」
そして元凶のリリは首をかしげた。
『折角パスしたんだから、綺麗に受け取ってくれればいいのに……』と。
しかし!!
……些細な事故はあったが肉は手に入った!
肉があるならみんな幸せになれる!それが世の中の常識なのである!!
肉料理なら新魔団にお任せあれである!
ジュゥゥゥゥゥ……と
香ばしい匂いと共に巨大イノシシの肉が焼かれ始める。
脂が落ちる音、そして肉の焼ける独特な音色が辺りを包み込む。
『さぁ本日のお料理はこちら!天使討伐記念・巨大イノシシの丸焼き!!』
(え?それだけなのって?チッチッチ、こんなにデカい肉があるのだから、それ以外に何がいるというのか!)
ではここで新魔団クッキングの見所を振り返ってみましょう!美味しく(?)作るための3つの重要ポイントはこちらです!
まずは新鮮な巨大イノシシをご用意します。
※新鮮さを保つため空輸がおすすめ!できるだけ早い方がいいですよ。
……と言うわけで今回は私リリによる超高速空輸を採用しました!
(決して手で運ぶのが面倒だった訳ではありません!決して!)
何故か着地地点のゴルドがキャッチをしくじったため、一部使えない部位が出来てしまいました。……全くもっとしっかりしてほしいものですね!?
『続いて適度な大きさに切り分けます!』
(丸焼きの予定ではって??中まで火が通るのに時間がかかりそうだと瞬時に切り替えたデス!料理長の適切な判断に口出しは許しまセン!)
そして切り分け担当はボク。レンカかやるデス!風の刃でスパスパっときりマス!巨大な骨?もちろん一緒に切りマスガなにか??
え?なんで槍でそんなに切れるデスカって?料理とは気合いデス!気合いがあればなんとかなるデス!
さらにここで味付け担当の私サキ最高の仕上げをしてあげるわ!まずは塩を華麗なステップで振りかける所からね
分量?何よそれ?料理は考えないて感じるものなのよ!それが料理の極意よ、わかった?
コツッ……ドバァァァ………………。
「「『………………。』」」
……少しくらい塩味が強くてもいいじゃない!
何か文句あるやつがいたら爆発魔法に耐えてから言ってみなさい!
……よしっ、文句なし!続行ね。
後は強火で一気に焼き上げるのみ!
サキが火力を上げると猪が炎に包まれる!
ジュワァァァァァ!!
「「「おおおーーー!!」」」
入学生達大盛り上がりである!!
料理にではなく、大道芸にであるがそれは決して口にはしない!空気を読む事をしっかりと学んだ子供達なのだ!
そして、ついに奴が動き出す!新魔団の親玉である奴が!!
ピクリ
肉の焼ける匂いに、ルクの眉根が跳ねると。
ピクピク……ズリ……ズリズリ……。
意識を失っているはずのルクが、まるでゾンビのように地を這い、肉に向かって這い進んでいく。
「やっと反応しましたね!」
「でもまだ寝てマスネ?」
「うわぁ!?」
「目閉じたまま動いてるぞ!?」
深夜に見てはいけないタイプのホラー映像である。
そして肉の前に到達したルクは、生気のない顔のまま肉へと豪快にかぶりつくと……。
「ショッパァァァァァァーーーー!!」
カッと目を見開き、あまりの塩辛さに肉を吐き出しながら完全覚醒した!
「キャー!!ちょっと!汚いじゃない!」
「何だこの塩漬けの肉は!殺す気か!」
「……ちょっと足が滑ったのよ!文句あるの??」
「足??そんなものあるに決まって……」
ボンッ!っとルクの足元が突然爆発した。
「…………わぁお」
「何か言ったかしら??」
「スープにするか……ウムそうしよう!」
結局、マイダンジョンの畑から新鮮な野菜を取り出し、塩分を調整して具だくさんの絶品スープにして美味しくいただいた。
思った以上に美味しく仕上がったスープに、過酷な馬車旅で保存食ばかりだった入学生たちも夢中になり、一食で巨大イノシシを綺麗に完食してしまったのだった。
……なお。
ゴルドが本当は何を伝えたかったのか。
途中から空飛ぶイノシシに夢中で話を聞いていなかった子供たちが、その真意を知る機会は永遠に訪れなかったという。
祝!100話達成!
ここまでお読みいただきありがとうございます。
100話記念もして今日のお昼頃に短編作品を新しく投稿予定です。
これからも魔王転生をよろしくお願いします。




