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兄弟だって  作者: 千沙都
3/8

3話

「碧李俺は本気だ」

「だとしても、言えないよ。 結城だってわかってるでしょ?」

だからこそなのかもしれないけど……

いくら口では否定していようと、心はそれに従わない。

僕が女ならば、楽に受け入れていたのかな?

でも今、好きだと言ってくれている。 たとえ、嘘だとしても……

それを信じてみるのも悪くないかな、とか思ってしまう。

「一度好きになったら、どうしようもねぇんだよ。

いくら碧李が否定しようと、俺は諦めねぇ」

だったら僕にどうしろっていうんだよ?

受け入れろ、これが現実だから、って?

今まで何度そうしてきたことかわかったもんじゃない。

自分でさえわからないくらいなのに……



「じゃあもし、それで何か変わるとして、これから先どうするの?

どうにかできなくなるくらいにまでいってしまったら、

どうするの?」

そう、その後はどうするの?

ただ気持ちを伝えて、付き合い始めたとして、それだけ?

絶対にそれだけじゃすまなくなるのは目に見えることだ。

僕の選択肢は絞られてくるというのに。

「その後は、付き合う。 そんで、絶対に別れない。

って言っても未来のことなんかわかんねぇけど……」

未来なんて誰にもわからない。 現に僕はその状況に陥っている。

好きだよって言ってあげたい。 そう望んでいるから、僕自身。

一度言ったら、止まらなくなるだろうな。

もうどうでもよくなってきた。

考えれば考えるほどに、わからなくなる。

なら、もういっそのこと、言ってしまったほうがいい……

そう、思ったから言った。

「好きだよ……結城」

「えっ……」



驚かなくてもいいのに。 せっかく言ってあげたのに。

僕は座っていた体の向きを結城の方に向けた。

そして、改めて結城の目を見つめて言った。

「好きだよ。 ずっとずっと前から、好きだった。

でも本当は言いたくなかった……」

言葉を重ねるにつれて、合わせていた目を逸らしてしまった。

どう思っているのだろう……

馬鹿だ? それとも、嬉しい? それとももっと別のこと?

しばらくの沈黙が続いた。

それを結城が破った。

「……最初から素直になれよ」

そう言って僕を抱きしめた。

優しく、包み込んで。 だから思わず泣きそうになった。

小さい子みたいに声をあげて、縋り付きそうになった。

でも、しなかった。 高校にもなってそんなことできるわけないから。



「素直になれてたら、どうなったと思う?

酷いことになってたと思うよ」

「そうかもな。 でも、これからは俺がお前の恋人だ。

誰も近づけねぇから、覚悟しろよ?」

「それは、逆に怪しまれるからだめだよ」

少しの間だけでもいい。 幸せな夢でもいい。

もう少しこうしていられるなら、それで……

結城の背中に腕を回すと、抱きしめる力が強くなった。

だから僕も強く抱きしめ返した。

温もりを互いに求めるように、しばらくの間抱きしめあっていた。

「碧李、こっち向いて」

結城の声音が優しかった。 だから何をされるかわかった。

その上で指示に従い顔を上げた。

そうしたら、嬉しそうに微笑んだ。 僕もつられて微笑んでいた。

結城の顔がゆっくりと近づいてきた。

僕はそれに従い目を瞑った。

少しの間を待てば、すぐに唇に同じそれが重なった。

もう後戻りはできなくなった。

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