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19.12月24日②

 雪原がどれでも選んでいいと言うので、俺はスパイダーマンを選んだ。テレビで放送していたのを途中までしか見たことがなくて気になっていたのだ。

 雪原とケーキを食べながらくっついて携帯の画面で映画を見た。

 この状況は何なんだろう。

 友達同士って、こんな感じなのだろうか。俺の乏しい知識では、これは恋人同士に近いのではないか。

 体の奥がジンジンして、映画の中身が入ってこない。

 けれど映画を見ていると段々と眠気が襲ってきた。さすがに今日のバイトはきつかった……。

 あくびをしていると雪原にもうつってしまった。

 俺はエンドロールまで持たずに眠りに落ちてしまったのだった。


 翌朝、台所からの物音で俺は目を覚ました。瞼を開くと、ばーちゃんが味噌汁を作っているのが見えた。

 俺は昨夜こたつで寝落ちたらしい。こたつの電源はいつの間にか切られ、こたつ布団の上から毛布がかけられていた。背中がすごく暖かく、お腹の上に何か乗っている。振り返ってみると雪原の整った寝顔がすぐそこにあった。お腹にあったのは雪原の腕だ。俺は一瞬動きを止めた後声にならない叫びを上げ、こたつから飛び退いた。

「あら緑ちゃん、おはよう」

 ばーちゃんがお玉を持ってのんびりと言った。

「その子たかやくんよねぇ? ばーちゃん朝起きてびっくりしたよ。こたつは切ってたみたいだけど、毛布かけといたからね」

 ばーちゃんが起きるのは四時頃だ。そのときこの状況を見てどう思ったのか……。

「仲良く寝てて、ほんと可愛かったわよー」

 どうやら変に思われていないようで、俺は胸を撫で下ろした。

 雪原はまだぐっすり眠っている。俺はその顔をじっくりと眺めた。

 一晩密着していたことを思うと、体の芯がビリッと痺れるような恥ずかしさと興奮に襲われた。慌てて頭を振ると俺は洗面所に駆け込んで顔を洗い歯を磨いた。

 洗面所から戻ると、雪原が目を覚ましたようだった。目を開けたままボーッとしている。

「お、おはよ……」

 俺が話しかけるが反応がない。

「雪原?」

「……夢?」

「いや、もう朝だって。寝落ちしたんだよ俺ら」

 どういう状況で寝ていたかは触れなかった。

「マジか……」

 雪原はまだぼんやりとしているようだ。

「起きた? おはよう、朝ごはんよ」

 ばーちゃんがお盆に乗せた朝食を運んできた。雪原はのそりと起き上がると、「歯ブラシある……?」と聞いてきた。

 買い置きしていた歯ブラシを雪原に渡すと洗面所で歯を磨いていた。このボロいアパートに雪原は本当に不釣り合いだ。俺は現実感のないその光景を見つめていた。

 その後雪原は家でご飯と味噌汁を食べ、帰宅した。

 こたつに入ると密着して一晩過ごした事を思い出してしまい、俺は終日ジタバタと暴れ回っていた。


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