第38音 「走る」
茜も練習に戻って、数日。
「きゃー、あ、あと3キロ!!」
「ミスコンまでに、あと3キロ落とさないと!!」
「…大丈夫、今のままでも綺麗!」
「ひ、ひろし〜♡」
「きゃー、あ、あと3キロ!!」
「ミスコンまでに、あと3キロ落とさないと!!」
「…大丈夫、今のままでも逞しい!」
「ひ、ひろし〜!!」
「斗真さん、私書道部に顔出してきますね」
「え、佳代部活入ってたっけ?」
「私、師範の資格持ってまして、学長にお願いされたんです!」
「…あ、あぁ。行ってらっしゃい」
「岬、僕は出店管理委員の仕事でしばらく抜けるぞ」
「に、西田!!」
「偶然試食した時の、僕の分析が認められてな」
「ふふ、まぁ、仕方ない。少し面倒を見てやらねば!!」
「…あ、あぁ。行ってらっしゃい」
「私もそろそろ行ってきまーす!!」
「ま、マリア!!」
「マリアは何を?」
「私、電車の写真の個展ありまーす」
「今年始めたのにフォロワーめっちゃ増えまーした♬サブスクもありまーす!!」
「…あぁ。行ってらっしゃい…」
「斗真くん!」
「こ、今度は何!!」
「え、あ、教授が、曲提出しろって…」
「あぁ、まどか。ごめん!!!!」
「うん、後で持っていくよ…」
み、みんな忙しいな…
…
オケは…??泣
「い、一心は…」
「お、俺か!!俺は…坂下のばあちゃんのとこでも行こうかな…はっは」
「あら、一心くん。
坂下さんの所へ行くなら…コレ。
お茶っ葉持っていって。お願いね!!」
「…」
「…あぁ、分かったぜ。…佳代…」
「それじゃ」
「…」
「い、行ってきます…」
「いってらっしゃい!!!!!」
「あ、はは。みんな忙しそうだね。笑」
「ぞゔだね…」
茜とルーは、いの一番に出て行きやがった。
「「ふぉーー、祭りだーー!!」
って。
…
…まだだよ!!
◇
コンコン
「失礼しま〜す」
「おう…おぅ?」
「ど、どうした斗真?」
「いや、それがですね教授」
「皆んな委員会や個展だってお忙しそうで…」
「ふ〜ん、それでお前は腐っている…と」
「別に、腐ってなんかないっすよ!
はい、コレ曲っす!!」
「お、おいおい。そんなに乱暴に置くなよ。笑」
「…」
「コーヒー飲むか」
「いただきます!!!!」
…
「ふぅ、まっいいじゃねえか。
お前らまだ、学生だぞ?」
「遊べる時は遊べ。なっ!!」
「だけど、オケが!!」
「学祭の演奏会だぞ?
お前は気負いすぎなんだよ」
「こんな時くらい、羽伸ばしてこい」
「はぁ…」
…
「俺はやる事あるから、そろそろ行ってくれ」
「失礼しました…」
「今年の学祭は、今年だけだぞ〜♬」
……
まぁ、教授の言う事も一理あるな。
演奏会っても学祭だし
コンクールのリハだと思えば…
…
…
よし、皆んなを見に行くか!!笑
……
「せ、せんぱ〜い、頼まれた楽譜、も、持ってきました〜!!」
「…」
「あ、あれ?」
「ま、まどか先輩、皆んなは?」
「さぁ?笑」
「さってと、仁美を手伝いに行かないと。笑」
「じゃね!!笑」
「…」
「お、置いていかないでくださ〜い!!」
…
パラッ
……
「…ん?」
◇
さてと、どうすっか!?
「おっ。あれは西田!
いい匂いさせてんなぁ♬」
「本番前の試食会…無料!!」
「…」
…茜、ルーカス…
「やば、クレープウマ!!」
「待って。何コレ!チョコ飴?
チョコを水飴で!!ウッソ、バカなの!!
こんなの、こんなのって…泣」
「バク、バク、バク!!
ヘイ、お好みおかわりで!!」
「おっと、たこ焼きもマヨダクで頼むぜ!!」
カシュッ
「ング、ング、ング…ぷあぁ〜!!
サイコーだぜ♬」
「こ、コラぁ!!酒まで飲むやつがいるか!!」
「試食だ、試食!!」
「おぉ、岬!頼む、こいつらをどこかにやってくれ!!試食が、なくなる!!!」
「…」
「ん、何処へ行くんだ?」
「お、おい」
「ま、待て。待ってくれ、岬ぃ〜〜!!」
◇
佳代いるかなぁ?
おっ、いたいた。
…忙しそうだな
「!」
おぉ、和服の佳代!
子振袖なのがまた可愛い!!
いや綺麗だ、いや可憐だ。
う〜ん、迷うな。
大人な魅力の佳代、
ちょっと子供っぽい佳代、
2つが混ざり合う子振袖の佳代…
…可憐だな!!笑
俺は書を見る事無く、書道部を後にした。
◇
マリア、マリアっと。
いたいた!!
…
「ハァイ、皆んなありがとね!!」
「オォウ、我音鉄也さん、スパチャありがとうございま〜す!!」
「駅弁大王さん、ハァイ、こんにちは!!」
「展示が終わったら写真をどうするのか?でーすか?」
「この写真は、終わった後に私のファンページで購入できるようになりま〜す!!」
「オォウ、スパチャありがとね!
鉄道魂さん、絶対買う、全部買う!笑」
「写真は一点物ね、デジタルではないのでごめんなさいでーす」
「私、最初の一枚以外は印刷したくないでぇす」
「思い出を何枚も印刷出来るって、
私は好きじゃないでーす!!」
「尊い?私は神じゃないですよ〜!笑」
「わ、わ、追いつかないよ!
皆んなありがとうネ!!」
「あとで、コメ必ず返すよ♡」
…
俺は見なかった事にして、立ち去った。
◇
マリアの所から立ち去ると、
何故かどっと疲れてきた。
どっかで休憩でもするかなぁ〜
「…!!」
「!!…」
「ん?由希子と…ヒロミか?」
…
「ちょっと、なんでアンタがミスコンなのよ!!」
「何よ『ミスコン』で間違いないでしょ!!」
「アンタは『ミスターコンテスト』でしょ?」
「あぁ、またね。またなのね」
「アンタはそうやって
オカマという人権を無視し迫害するのね」
「友達だと思っていた、あたしがバカだったわ…」
「だぁ、もう!!『ミスコン』は『ミス』なの!!
アンタは生物学的に『ミスター』!!」
「コンテストがあるだけ喜びなさいよ!!」
「アンタ、間違いなくぶっちぎりで優勝よ!!」
「…」
「ゆ、由希子…アンタあたしの事を…そんなに」
「男でね」
「…」
「ぶっ殺す!!」
あわわわわ!!
…
あっ、まどかが来た。
じゃあ大丈夫か
別の所行こ…
◇
さて、色々回ってみたけど…
改めて、皆んな色々あるんだなぁ…
「…」
俺は校外に出てすぐの
坂下さんの家へ向かった。
…
「おぉ、一心」
「あッ、こんにちは坂下さん。笑」
「あら、岬君も!いらっしゃい♬」
「今お茶出すわね。お茶っ葉頂いたの♬」
「ニャー」
「あっ、お構いなく〜」
「…」
「ど、どうしたんだ兄弟?」
「ん〜??」
「い、いや、さっきとだいぶ雰囲気が違うが…?」
「ウニャァ〜」
「あぁ…うん」
「なんか皆んな、それぞれだなぁって」
「ん?」
「はい、お茶」
「あっ、ありがとうございます」
ずずずー
「はぁ、お茶が美味いな。一心」
「あぁ…?」
「ニャー」
◇
その頃構内を走り回る小さな影が一つ…
「せ、せんぱ〜い、みんな〜!!」
「ど、どこ行っちゃったんですかぁ〜グスッ」
「せんぱ〜い!!グスッ」
◇
パタン
「…ふう、面白かった…」
…
「…帰ろ…」
…
……
………
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次回 第39音
「百花斉放」




