第18音「大会」
まだまだあちぃな
残暑っていつまでの事を言うんだ…
俺はガ○ガ○君、「梨味」を食べながら音楽堂へ向かっていた。
「トーマっち♬」
「おう、茜」
「これから?」
ガ○ガ○君、「ソーダ味」を食べながら茜が小走りに近づいてきた。
こいつ、ベタ派か!?
「まだまだ、暑いねぇ、ウチ溶けちゃうよ。笑」
パタパタと胸元を仰ぐ茜にドキッとしてしまった…
「あぁ、トーマっち、何見てんのよ〜??」
「へ、ん、た、い♡」
「ば、ばか、何言ってんだ、これはだな」
「いやぁ、良かった良かった。」
「ヒロミっちが『斗真には同じ匂いを感じるわ♡』って言ってたから興味ないのかと思ってた!!笑」
な、何言ってんだヒロミのやつ!!
「い、いや、そりゃ俺だって健全な男だから」
「うっ、わぁ〜、引くわぁ〜」
「ヒロミっちとみっちゃんにも教えてあげよ〜っと」
「よ、よせ、ヒロミは特に!!殺される!!」
「ヤバっ!!笑」
そんな馬鹿話をしながら、音楽堂へと向かった。
道中、由希子と合流し茜がさっきの話を暴露した所、本気の軽蔑の目を向けられたことはここだけの話だ。
ーーーー
最近物足りない…
サッカー部の頃には感じた事のない感覚だ。
あの日の歓声と拍手が忘れられない。
観客とオケ。
みんなと一体になったあのゾクゾクした感覚。
「あぁ、オケふりてぇなぁ」
「何言ってのよ、ほぼ毎日振ってるじゃない?」
「あ、いや、コンサート。
観客の前でまたやりてぇなって。」
「確かに楽しかったわね、あたし小さい頃何度か経験あったんだけど、あれは別物だったわね。笑」
「お前、ちょーかっこよかったぜ!!笑」
俺は親指を立てて茶化してやった。
グーで殴られた…
なんか今日散々じゃないか!?
……
「せ、先輩、あ、あの、ここの入り方なんですけど。」
「ん〜、どこ〜?」
木下さんが楽譜を持って来た。
「ブラームスかぁ、え〜っとハンガリー舞曲の第5番ね。ん〜、そうだなぁ」
俺はなんか気合いが入らずダラダラと答えていた。
「斗真、あんた完全に燃え尽きてるわね」
突然聞こえたヒロミの声にビクッとして
背筋が伸びた!!
「ヒ、ヒロミさん、ど、どうした急に?」
「何よ、声裏返ってるわよ」
「…あんた、なんかやましい事でもあるんじゃねぇだろうな?」
漢モードだ!!
「ば、バカ言ってんじゃないよ、
急だったからびっくりしただけだよ、
それより、男、出てるって」
「あらやだ!!」
「まぁあんたの気持ちちょっとわかるわ。
楽しかったのよね、あの大会♡」
「み〜んな頑張っちゃって。青春してた♡」
「それであの舞台じゃない?
日常が物足りないのよ〜♡」
乙女モードに戻ったヒロミが身悶えている。
木下さんも「うんうん」頷いてる。
「だよなぁ」
「俺達、別に正式な部活とかでもないし
特に目標もないしなぁ…」
木下さんも「うんうん」頷いてる。
唐突に教授の声が聞こえた。
「出るか、大会?」
「…はい?」
「だから大会、出たいんだろ?」
「俺、天才で有名人だからな」
とかなんとか言ってチラシを見せてきた。
「推薦枠持ってるんだな」
やっぱこの人すげぇわ。
……
出たいな、みんなで。
でも、それを決めるのは俺じゃない!!
大丈夫…
……
「で、出たいです!!み、みん、なで」
…木下先生
「あたしも、やりたいわ。みんなにあたしのこの美貌と『音』を再び届けるの♡」
「誰のどこに美貌があんのよ…」
「何よ、あたしがブサイクなゴミ虫だって言うのね!!」
「いや、そこまでは」
「でも、あたしも賛成!!もっとやりたいな私」
ヒロミと由希子も賛成のようだ。
「他のヤツらは斗真お前確認しとけ」
「何心配してんだよ、俺はお前らをそんなやわに育てた覚えはねぇぞ」
教授はニヤっと笑って俺の頭にチョップした。
「あぁ、でも茜はな、なんて言うかな」
「?」
「まぁ、とにかく全員の参加意思が確認できたら俺んトコに来い」
教授は「じゃぁな」と言って立ち去った。
なんで茜???
こんなの一番でノリノリになるやつじゃん。
教授も何も言ってんだか…
ーーーー
茜は見つからなかったけど、
他のメンバーは参加したいと言ってくれた。
一心は、
「おぉ、祭りだな!!一丁やってやろうぜ!!」
西田は、
「愚問だな、チャンスがあればやるべきだ」
マリアは、
「良いですねぇ、私もやりたいでーす。
それよりトーマ、こんな写真が…」
俺が茜の胸元で、鼻の下を伸ばしてる写真だ。
…一応、没収しておく。
ルーカスは、
「ん?出ないなんて選択肢あるのかヨウ」
佳代は、
「やりましょう。私達に足りない物は経験です」
弘は、
「…みんながやるなら、僕もやりたい…」
まどかは、
「ん〜、みんなは?
私はやりたいけど、誰かやりたくないなら無理強いはいやだなぁ」
分かってたけど、ワクワクしてきた。
……
茜どこに行ったんだろう?
◇
あ〜ぁ、コンクールだって。
みんなでやるのは楽しいんだけど、
コンクールかぁ…
ウチそういうのが嫌で逃げたんだよなぁ。
さっき教授が話してたの聞いて、すぐ逃げちゃった。
みんな出たいと思うし、トーマっちなんて目が輝いてたし。
なんて、考えながらコンビニ寄った。
「オゥ、アカネ!暑いカラハヤク終わりカ?」
「オゥ、タナ!元気?」
「タナ、イツモ元気ね」
う〜ん、とか、どーしよ、とか、考えながらプリンを物色してた。
「アカネ、新作キタヨ!!」
「何、何〜!!」
「ジャーン、ガ○ガ○君『大人のプリン』アジね」
「ひゃーーーー!!」
「コレ品薄で販売店限られてるヤツじゃん!!」
「調田じゃどこにもなかったのに!!」
「ウチ都内迄買いに行ったのに、どこも売り切れで…泣」
タナに後光が差し込む。
「タナ、ガンバッタね。店長にイッタよ」
「コノお店、プリン良くウレルね。ガ○ガ○君もヨクウレテルね。コレナラ大丈夫ねッテ」
「ナンカアカネ、チョット元気ナイネ」
「コレ食って元気ダセ」
ウチは気付けば、平伏していた。
「ソウイエバトーマガ、アカネサガシテタゾ」
「ナンカタノシソウダッタ。マタオマエラ何かヤルノカ?」
……
「まぁね、そんなとこ!
タナありがと、ウチ行くね!!」
「オゥ、トケル前に食エ!!」
ーーーー
ウチはなんかモヤモヤしたまま
多摩川の土手まで来た
ガ○ガ○君は溶けてた。
「あぁ、やっちゃった。
ウチ考え出すとダメだなぁ」
勿体ないから持って帰って凍らそうとか考えてたら
「おぉ〜い、茜ぇ〜!!」
トーマっちがめっちゃ自転車漕いでた。
あちゃー、見つかった。
「探したぜ、はぁはぁ」
「どした、そんな全力で」
ウチは知ってる
この後、大会出ようぜ?って言ってくる。
「大会、嫌なのか?」
…
違った!!
…
「なんで?」
ウチは嬉しいのと申し訳ないのと半分半分。
「だってよ、一緒に音楽堂入ったのに
あの話聞いてないなんて事ないと思って」
「それに、お前なら1番にやるって言うと思ったから…」
ナニこいつ…
ガチムチのくせに…笑
「嫌って訳じゃないんだ、
ただコンクールってのが苦手なの」
「トーマっちには言ってなかったっけ?ウチ採点とか評価されるの嫌で、一回ピアノから逃げたんだ」
「ふ〜ん、そっか」
薄っ!
反応薄くない!!
ウチの扱い酷いし!!!
「なら、辞めるか」
えっ!?
「いや、みんなさ、あぁもちろん俺もだぜ。
全員でやりたいって、1人でも嫌ならやらないって」
「そりゃ、そうなんだよ。
俺達は俺達全員で『イディモニ』だから。
誰か欠けたら俺達の『音』じゃなくなるから」
「ヒロミがさぁ、」
「あの子…大会とか苦手なんじゃない?」
「木下先生も」
「い、以前、こ、コンクールとか、で、出られないですか?って、き、聞いたら。『ウチは、あんま興味ないかな』」
「って」
……
バレてた…
恥ずっ…
……
「だからさっ、さっき教授に言って来た」
「今回は辞めときますって」
…
説得しに来たんじゃないの!?
…
「また、市の大会みたいのでも出ようぜ!!」
「そんで、ガキども巻き込んでさ。
先に勧誘しちゃっていきなり歌い出すとか面白そうじゃねぇか?」
「あぁ、やべぇ面白そう♬」
…
なんで?
…
「なぁ、何やる?」
……
出たいくせに
……
「最初は佳代の落ちついたソロにしてさ、途中からいきなりマリアに変わって情熱的なソロにするとか?」
……
面白そう…笑
……
「まっ、とにかく気にすんな!!
俺達には俺達の『音』が必要なんだから。笑」
「ごめん…ありがと…」
「しおらしくて怖いんですけど?笑」
「行こうぜ、タナが何か新作入ったって言ってたぞ!!」
……
「んっ、」
「なんだよコレ?うわ、ドロドロじゃねぇか!」
「あげる」
「いや、いらねぇよ」
「コレが新作」
「溶けてんじゃん」
「「笑」」
……
「ねぇ、乗っけてよ!!」
「はぁ、捕まるぞ!?」
「いいからぁ〜、それ!!」
「おぁぁ、お、おま、こける」
「あははは…」
……
みんな…大好き♡
……
パラッ
「ねぇ、トーマっち。ポッケからなんか落ちたよ」
「!!あ、そ、それは」
「ウチ、拾ったげる」
ウチは自転車から降りた。写真かな?
ガタン
「!!!!!」
トーマっちが逃げた。
ウチのブラ見て鼻の下伸ばしてる。
…
「まぁ〜て〜!!!!」
…
久しぶりに全力で走ったら
めっちゃスッキリした!!笑
ーーーー
「コンコン」
「せんせー、いる〜??」
「いませ〜ん」
「いるじゃん!ウケる!!」
せんせーがソファで寝てた。
「どうした、茜。なんかようか?」
…
「ウチ、決めた!!」
…
「コンクール出るよ!!」
…
ウチ、「そうか」って言って
寝直そうとしたせんせーの顔が
めっちゃ笑ってたの見逃さなかった♬
照れ屋め…
ーーーー
「っとゆーわけで、コンクールに出ます!!」
「はぁ?お、お前、だって昨日」
翌日みんなに集合してもらって
ウチは宣言した!!
「出るからには、優勝狙っていくよ〜!!」
「イディモニ〜〜、ファイト〜〜!!」
…
「なんで誰もやってくれないの〜泣」
…
「「いや、聞いてないし」」
……
ーーーー
次回 第19音
「バケーション」




