第15音「休日」
それは大会が終わり
数日が経ったある日の夕方
「いやぁ〜儲かった儲かった♬」
「誰がお前らに金かけるかってんだよ!!」
「大穴は狙わない派なんだよ~っと」
「新しいサングラスでも買うか!!」
「まだ余る…だぁ、はっはっ!!」
教授の私室から怪しい声が聞こえる。
声の主は気付いていない、
扉の隙間から中を覗き込む
怪しく微笑む
ギャルの瞳に…
……
ーーーー
大会当日
AM 10:12
教授の私室
はぁ、
めんどくせぇけどあいつらの為だ。
俺は何年ぶりかにスーツに袖を通した。
行くかぁ〜。
覚悟を決めて、タクシーに乗り込んだ。
……
AM 10:38
市役所前
少し早く着いたな。
約束の時間まで20分くらい…
さて、どうすっかな。
完全に手持ち無沙汰な俺はとりあえず喉が渇いたので自販機へ向かった。
タバコはまずいよな…
あいつ、嗅覚が犬並みだからな…
ガチャン
俺は缶コーヒーを買い日陰へ移動した。
ふと、市役所の壁を見た…
「ぶっふぅーーー!!!」
思い切りコーヒー吹き出してしまった。
な、何でこれが!!
壁にはポスターが貼られている。
ポスターの右上には俺の写真が貼られている。
そう、俺の写真だ。
……
15年前の。
しかも最後のオケの写真じゃねえか!!
一体どこから???
「大城先生、すみません。遅れましたか?」
市役所の職員が、声をかけてきた。
「い、いや、私が早く到着しただけですのでお気遣いなく」
俺は名刺交換を済ませ、職員に尋ねてみた。
「あの、この写真ですが」
「あぁ、学長さんにお話したら提供して頂けました」
ポスターと俺を見比べて苦笑してる。
「いや、お恥ずかしい」
苦笑いしかできん…
学長のやろう、
なんでわざわざこの写真を…
新しいホルン経費で買ってやる。
ーーーー
11:05 市役所控室
写真は文句言ってもしょうがないし、
無理言って参加させてもらったからな、
仕事はちゃんとやらねぇとな。
「本日はよろしくお願い致します」
「無理を言って参加させてもらいありがとうございました」
あいつらの為にも、ちゃんとしとかねーとな。
一通り名刺交換と挨拶、写真撮影を済ませた。
会場へ移動だなと思っていたら、
一人の男が声をかけてきた。
まだ、挨拶してなかったか。
ん?
なんかどこかで??
「よっ!!」
「あれ、山ちゃん?市役所職員だったのか!!」
行きつけのスナックの常連の山ちゃんだ。
「一応、公務員だって言ったけどな」
「それより、やっさん。
あんたこそ指揮者だったんだな」
「写真と全然違うから、なんでいるんだって思って挨拶遅れちゃったよ、はっは」
俺は偶然の再会に喜んでいた。
「ところで、やっさん…ちょっといいか?」
「なんだよ山ちゃん??」
「面白い話あるんだけど…」
他の職員のいなくなった控室で、山ちゃんの面白い話は会場の入り時間ギリギリまで続いた。
ーーーー
14:10
会場演者控室
はぁはぁ、間に合ったか。
一応、ハッパかけてやらねぇとな。
「あれ、イディアハルモニアじゃないのか??」
おっ、この部屋だな
「俺が変えておいたぞ」
……
「そんじゃまた後でな」
そう言って俺は部屋を後にした。
あいつらにバレたのは…
まぁ、別にいいか。
あれで、やる気出してくれんなら。
それに予想しやすくなるしな♬
ピッピッピッ
「あ、山ちゃん?」
「うん、のるのる♬」
……
ーーーー
18:07
数日後 音楽堂
教授が正座させられてる。
取り囲む女性陣。
「こりゃ、いったい?」
「お、おい、西田あれどうしたんだ」
今きたばかりの俺と一心は先に来ていた西田に聞いた。
「うむ、それがな…」
……
どうやらあの大会で裏で
賭け事が行われていたらしい。
「第一回 ラブさやかママ杯」
教授行きつけのスナックの
常連連中が行っていたらしい。
あの野郎大儲けしたらしい。
しかも俺達にかけないで。
茜が立ち聞きしたらしいのだが、
「知らん、証拠は!?」
とはぐらかそうとした所
こんな事もあろうかと
しっかりと動画撮影していたらしい。
俺、茜に優しくしよう…
教授曰く。
「だって、俺世界的に有名じゃん」
「そんな俺の教え子じゃん、お前ら」
「優勝濃厚じゃん」
「しかも、俺審査員じゃん」
「そんなこんなで、
俺がお前らにかけたらずるいじゃん」
「だから、俺他の出場者にかけたんだよ!!
そしたらまさかの優勝!」
「笑っちゃったよ、はっはっはっ」
「はっはっ」
……
「すいませんでした」
教授は土下座した。
それはもう綺麗に。
……
その後、波多野さんも参加し
儲けたお金は全額没収。
女子はホテルでビュッフェとエステに。
男はもんじゃ屋に…
……
男女差別だ!!
ーーーー
「あぁ、癒されるわねぇ。
あたし、また綺麗になっちゃうわ♡」
「人の金ってのがまた、最高よね♬
…ってかヒロミあんたこっちなのね」
「何よ、由希子、
あんたオカマ差別する気ね、地獄に堕ちるわよ」
「わ、私、こ、こんなの初めてで」
「分かる、私も実は初めてなんだ。笑」
「ま、まどかさんも初めてなんですか?
よ、良かったです、一人じゃなくて」
「あはは、緊張する事はないんじゃない?
リラックスするところだし。笑」
…
「マリアちゃん、スタイルいいのね。羨ましいわ」
「グラッツェ!!
佳代の胸もおっきくてセクシーでーす」
「ちょ、ちょっと、ダメよ触っちゃ」
「ワ、ワォ、Venere!!」
「zzz…ウチのプリン…zzz」
……
◇
「なぁ、俺やっぱり納得いかないんだけど」
「言うな、兄弟」
「だけどさぁ、あいつらのエステ一人分で
俺達全員の会計足りるぞ」
「まぁまぁ、もんじゃもいいじゃねぇか。
焼きは俺に任せとけ!」
「てか、ヒロミはどうした!!」
「…」
「まさか、あいつ」
「オカマって、ずるいな一心」
…
「これがもんじゃ焼きか…興味深いな」
「明太子?チーズ?もち?ま、混ぜるのか!?」
「フォー、バイブスの上がる匂いだぜぇー!!」
「...」
ジューッ
「...」
「すまんな弘、なにぶん初めてでな。
お前がいてくれて助かったぞ」
「…ウッス」
「おばちゃん~肉追加」
「誰がおばちゃんやっ!!」
「ヘイ、穂乃果ノリ悪いぜ!
関西スピリッツはどうした!?」
「うっさいわ、変人が!」
「あんた、出禁にしても良いんやで…」
「弘を見習え!よーけ静かに飯食ってるやん」
「えらいなぁ弘、飴ちゃんあげよな〜」
「…穂乃果…うるさい」
「ひろし〜ぃ」
ピロン
茜からメール…
ビュッフェで笑顔の集合写真…
「う、うぜえ」
心の声が漏れ出たよ。
その日のもんじゃ焼きは
ちょっとしょっぱい気がした
弘、ソース入れすぎだよ…
「…そんなにいれてない…」
……
ーーーー
次回 第16音
「陰で陽」




