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職人の都ファキオと三日間の猶予

更新できました!

門をくぐった瞬間、肌を焼くような熱気と、大地から突き上げるような重い槌音が俺たちを歓迎した。


 職人の都、ファキオ。空を覆う灰色の煙は、この街が休むことなく何かを産み出し続けている証だ。

 俺はガレンの歩調に合わせながら、無意識に周囲を観察していた。石畳の摩耗具合、行き交う職人たちの前垂れの汚れ、そして荷馬車の車輪から漏れる油の匂い。この街の活気と、その裏にある確かな規律を読み取っていく。


「……悪くない街ですね。少なくとも、金さえ払えば相応の礼儀は期待できそうだ」

「ふん、職人気質の偏屈者ばかりだぞ。貴様のその、客を値踏みするような目は隠しておけ」

 ガレンに釘を刺され、俺は苦笑いしながらを姿勢を直した。


 俺たちはまず、その喧騒を一本外れた通りに、煤けた看板を掲げる一軒の宿に向かった。

 『黒鉄の休らぎ亭』。かつて「不倒の盾」と呼ばれた男が、現役時代に定宿にしていた場所だ。

 重い扉を開けると、不機嫌そうな鉄の音が響き、カウンターの奥から白髪の混じった恰幅の良い男と、顔を拭いながら出てきたおかみさんが顔を出した。

「……おい、婆さん。見ろ。幽霊が来やがったぞ」

「あらまあ! ガレンじゃないの! まだ生きてたのかい、この偏屈親父!」

 宿の主人のロルフと、妻のマーサ。二人の遠慮のない歓迎に、ガレンは不敵な笑みを浮かべ、松葉杖を一つ突いた。

「ふん、死神に門前払いされたんでな。マーサ、こいつは俺の『杖』だ。名はエイド。少しの間、世話になる」


「お初にお目にかかります。エイドと申します。主がお世話になります」

 一瞬、ロルフとマーサが呆気に取られたように俺を見た。職人の街ファキオでは、丁寧すぎる礼儀は珍しいのだろう。だが、マーサはすぐに破顔して俺の肩を叩いた。

「とても丁寧な人じゃないか! どこかの野蛮な騎士様とは大違いだ。……で、ガレン。いつまで泊まるんだい?」

 ガレンが視線を俺に投げる。俺は懐にある、残り少ない路銀を素早く計算した。

「……三日間。今の持ち合わせでは、それが限界です」

 ロルフがふん、と鼻を鳴らして帳面を閉じた。

「三日か。いいかガレン、昔の馴染みだろうが、うちは慈善事業じゃねえ。四日目の朝までに次の宿代が払えなきゃ、その自慢の革袋ごと叩き出すからな」

 ガレンは「わかっている」と短く返し、俺たちは部屋へと通された。

 部屋に入り、ガレンをベッドへ座らせると、俺は改めて2日間の強行軍による鈍い痛みが、腰に響いていた

「三日間、ですか。ガレンさん、なかなかに厳しいスケジュールですね」

「ふん、ファキオで稼ぐなら、手よりも先に知恵を回せ。ロルフの奴は口は悪いが、この街の情報には詳しい。……エイド、貴様のその『手』。三日で金に変えてみせろ」

 俺は右手を握りしめた。そこには、看取った男から受け継いだ料理の記憶が、熱を持って疼いている。


「エイド、どちらにしろここには少し長くいるつもりだ。やらなければならないこともあるがそれ以上に身体も休まなければいけない。まずはこれからの旅のことを話しておこう」


 ガレンがマジックバッグから、古びた羊皮紙の地図を取り出した。そこに記されていたのは、気の遠くなるような北への道程だった。


「俺の故郷へ行くには、この『北嶺の峻険』を越えねばならん。そこから先は、魔物共が跋扈する未開の荒野だ。今の貴様と俺では、三日と持たずに野垂れ死ぬだろうよ」


 ガレンの言葉は重く、冷たかった。彼は続けて、俺に三つの課題を突きつけた。

「留まる理由はわかったな。

まずは盾の修復だなこのバッグの底で眠っている相棒を、この街の最高峰の火で浄化し、叩き直す必要がある。

そしてエイド、お前を貴様の剣術は悪くないが、正面から来る魔物を防ぐ術を知らん。そして防ぐだけではだめだ、倒す術を知れ。今のままでは俺を守る『杖』にはなれん。

最後に資金と食料だ。それら全てを可能にするための莫大な金と、長旅に耐えうる保存食が必要だ」


 俺は、地図を見つめながら考え込んだ。

 ガレンの故郷へ行く。それは単なる旅ではなく、一人の騎士の誇りを取り戻すための遠征なのだ。

「……分かりました。まずは仕事を探して金を集めましょう。幸い、俺にはこの『手』があります」


 俺は、死者の記憶から引き出した料理の技術を再現した右手を握りしめた。この「作る」街ファキオで、俺が何を「作る」ことができるのか。

だが、ほんとにやれるのか人から盗んだ能力で俺は俺を許せるのか。


「エイド。杖に徹するのもいいが、この街では何かを成す者が敬意を得る。貴様も少しは、自分を『作る(ファキオ)』努力をすることだな」


 ガレンの皮肉混じりの激励を受け、俺は密かに闘志を燃やした。

 

「どちらにしろ。行動は明日からだ。

明日はギルドにいくぞ、仕事をするにも手続きがひつようだ。それに自分のステータスをみることができる。もしかしたら本当の名前もわかるかもな。

良い仕事があれば、そのまま仕事をしてもいいし、なければ剣術を鍛えれば良い」


夜勤明けで死にながら書いたので、

あまりにひどい誤字脱字あれば教えてください

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