第27話:バーサーカー初任給で大人買い。
【木島のボロアパート】
「ただいまー。……あ、洗濯物畳んでくれたの? サンキュ……って、俺のTシャツ全部引きちぎれてタンクトップになってるじゃん!」
「■■、■■!(オレと、オソロイ!)」
「うん、ありがとう。じゃなくって、バーさん、もう帰ってきてたの? 本当に今日の配達、全部行ったんだよね? ちょっと配達履歴見せてみ」
「…■■ッ」
「……また画面割れてるじゃん。お前、タップの圧が強すぎるんだよ……どれどれ。85件!? 半日で!? お前これ全部、足で回ったの!?」
「■■ッ!!」
「いやドヤ顔すな! ええっと、お客さんの評価は……『配達員が全速力でマンションの外壁をよじ登ってきました。★×5です』って……お前、何やってんの!? パルクールが得意なのはわかったけど、そのうち通報されて連れてかれんよ、日本の警察舐めたらアカンよ」
「■■?」
「はぁ……まあ、コイツを捕まえるなんて無理か……って、そんで、またミサキさんの配信見てんの? お前ほんとミサキさん好きな」
「■■(m9)」
◼️【お料理枠】【ミサキのグダグダ・クッキング】地底湖で釣った巨大サーモンでツナマヨおにぎり作るよ!
《ランキング入り: カテゴリ:クッキングで1位にランクインしました》
【コメント欄】
:美味そうすぎる
:ツナマヨ最強!
:飯テロやめろwww
:ダンジョンマヨネーズ万能説
:コンビニ行きたくなってきた
:深夜のツナマヨは犯罪
『今日のお昼ご飯は、昨日の地底湖で釣った巨大サーモンの余りで、、特製ダンジョン・マヨネーズと——あえて! 次に、これを熱々のご飯でギュッと握れば——ミサキ特製、ツナマヨ〔鮭だけど〕おにぎりの完成でーす!』
「ッ…■■ヨ……!」バーさんは、ミサキの放送を食い入る様に観ていた。
「バーさん、、これ、今週のバイト代。初任給だね。それと……バーさん、この前、俺が腰やった時、代わりに配達回ってくれて……ありがとね」
「■■……?」
「いや食えないっよ! これはお金! それで好きなもん買えるんだよ!」
◇
【地上のコンビニ】
「ストーップ!!! 棚ごと買うな! 業者か!! ツナマヨどんだけ好きなんだよ」
「■■ッ!?」
「だから! 全部買ってどうすんの? こんなに要らないでしょ! オカカやイクラも食ってみたら?…… てか、バーさん、貯金しよ? な? もしもの時のために、蓄えとくんだよ、残しとくの」
「……■■ッ?」
バーさんは不思議そうに首を傾げた。そして、おにぎりを一つを取り出し木島に差し出した。
「……■■、ウーバー」
「なに? そのオニギリ、俺にくれるの? バ、バーさん……ありがとう……」
木島はそのオニギリを食べるとホロリと涙した。……ツナマヨだった。
◇
【有明・そなエリア東京 執務室】
薄暗い会議室の片隅、京極と甲田がモニタを覗き込んでいた。
(株)荒井注テクノロジー
開発部長・甲田(51)。
一見、ただの“ハンコ押し”に見えるこの中年こそが『イージス』の全容を築き上げた生粋の技術屋。嘗ては盟友猿渡と共に IT黎明期の死線を駆け抜けた過去を持つ叩き上げの怪物。だがしかし彼の真の姿はダークサイドに闇堕ちした破壊工作員だった。
【コメント欄】
: ☆・゜・。・゜ ☆・゜・。・゜ ☆・゜・。・゜ ☆・゜・。・゜ ☆・゜
:ウーバー呼ぶか
: ▁▂▃▅▆▇█LOVE█▇▆▅▃▁▂▃▅▆▇█LOVE█▇▆▅▃▁
: (´ε`*)おちゅ♡
:ミサキ様、ツナマヨ、LOVE
: ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡
:飯テロやめろwww
: ⊂(゜Д゜⊂⌒`つ≡ズザー㋻≡(´⌒;;;≡㋙≡(´⌒;;;≡㋡≡(´⌒;;;≡!!!!
:コンビニ、レッゴー
:ツナマヨ地獄
:飯テロ規制中█░█░█░█░█░█░█░█░█░ █░█░█░█░█░█░
……チッ。運営が動きやがったか……
「甲田! どうなってる! 弾幕薄いぞ!」
「あー、まあ所詮IPロンダリングですからねぇ。。イタチごっこっすね」
「もっと賢いBotを作れ! 金なら払うと言っているだろう!」
「……まあ、とっておきの方法があるっちゃありますよ。最強の分散型攻撃が。ただし、京極さんに覚悟があればの話ですけど」
「ほう。そのとっておきの方法とは何だ?」
「やります? やります? やっちゃいます? ……イージスアプリをインストールしてる国民のスマホ、これ全部、踏み台にしちゃいます!? w」
「……なっ!?」京極は一瞬、息を呑んだ。
「……構わん。やれ」
「いいっすね! 京極さん、流石です! やりましょう! じゃあ、細かい仕様は猿渡さんと詰めるってことで?」
「いや、猿渡には内密にだ。これは俺とお前だけで進めるプロジェクトだ。いいな」
「はぁ……ま別に構いませんけど。ただ、京極さん、一応、発注したっていう記録だけは残させてもらっていいですかね? ウチも商売なんで」
「わかった。発注書だな」
「ああ……面倒くさいっすよね、そういうの。今日の日付が入ってる新聞持って、口頭で注文してくれれば、それでいいですよ、スマホで撮りますから」
「……フッ、よかろう。ほら撮れよ」
(第27話 完/第28話へ続く)




