第25話:新キャラ・泥ちゃん登場
【ミサキのログハウス前】
「ちわーっす! 木島です! ご注文の『英国風ビクトリアン・ドールハウス作成キット(総額15万円)』、お届けに上がりましたー! 毎度あり!」
「おー、来たわね。ご苦労さん」
「ミサキさんも女の子らしい遊びするんすね……って、あ、あのデカいの、なんすか?」
「あー、あれ?『泥ちゃん』。新キャラ」
「新キャラ? ……あ、もう第3章すからね。
細かい設定は省略ってことで」
「察しがいいじゃない」
泥ちゃん:(ズオォォォ……ペコリ)
「うっす。じゃ、俺、次の配達あるんで!」木島は細かいことを考えるのを放棄し、爽やかに去っていった。彼もまた、こちらの世界に順応しつつあるようだ。
◇
「さてと。やりますか」
「——配信開始」
【コメント欄】
:きたあああああ
:わこつ
:今日は何? 解体?
:今北枠乙
:後ろになんかデカいのいるwww
:新キャラ?
:泥人形ワロタ
「みてみて♡ 買っちゃったぁー じゃーん 〜英国風ビクトリアン・ドールハウス〜 そういうわけで、今日は私がこれで遊ぶ。ただそれだけの放送です」
【コメント欄】
:ファッ!?
:高そうなオモチャだなオイ
:総額いくらだよこれ
:ミサキちゃんが人形遊びだと…?
:槍とか斧じゃなくて?
:意外と乙女で草
:後ろ泥人形が気になって話が入ってん件
:↑あれ「泥ちゃん」らしいぞ
:泥ちゃんwww
:エプロン似合ってて草
:またとんでもないもん召喚したな
:泥ちゃんも作りたそうに見てるぞ
:シルバニアファミリーかな?
:ここに住みたい
:家賃いくらですか?
:ガミの家より立派で草
:↑それな☜(゜∀゜☜)
:細かすぎて目が潰れるわ
:完成度高えええええ
:泥ちゃんがガン見してて可愛い
「はい、じゃあ次はお風呂場ね。皆んなはさ、お風呂なんだけど、ヒノキと大理石だったらどっちが好きかな? あ、そうだ。アンケ取ってみよ」
〜アンケート機能を使用します 〜
《Q. どっちがいい?》
① 総ヒノキ
② 大理石
③ 両方
【コメント欄】
: ①
: マジックミラー号仕様
: ②
: ③
: ガラス張り
: シースルー
: 露天
《投票終了》
【結果発表】
① 総ヒノキ(2%)
② 大理石(3%)
③ 両方(95%)
「……ふーん。みんな優柔不断だね。
両方って何よ」
【コメント欄】
:いや、そうでない
:シースルー
:ガラス張りだ
:両方あれば最強
:マジックミラー号仕様
:和洋折衷
:泥ちゃんも頷いてるぞ
:泥ちゃんに投票権はないのか
:泥ちゃんかわよ
ふと……気配を感じて顔を上げると、泥ちゃんが私の手元をジッと見つめていた。
「……ん? あんたもやりたいの?
いいよ、真似して作ってみな」
泥ちゃんは「ズオォ!」と嬉しそうな声を上げ、廃材置き場へと走っていった。
◇
【コメント欄】
:!?
:デカすぎんだろwwwwww
:ドールハウス(人間サイズ)
:実寸大wwwwww
:仕事はええええええ
:これもう離れじゃん
:建築確認申請いらないレベルの家きた
:泥ちゃん有能すぎない?
:俺の家(1K)より広くて泣いた
:誰か住めそう
:ガミの新居これにしようぜ
:完成度たけーなオイ
:これ3時間で作ったんか?
:ミサキ工務店爆誕
:泥ちゃん社員第一号
:これいくらで貸してくれますか?
:敷金礼金なしでお願いします
「……あんた、器用ね。
ま、物置にでもするか」
◇
【有明・そなエリア東京 執務室】
一方その頃。京極は、スマホの画面に向かって鬼の形相を浮かべていた。
……ふざけるな。なんだこの平和ボケした映像は……!
「許さん……!」
>こ、い、つ、は、だ、つ、ぜ、い……しゃ、で、あ、り……
——必死にコメントを打つ京極。
[送信]
だが、コメントの流れは早すぎた。
【コメント欄】
:8888888
:[♪]o【才×〒゛├♪】 ☆.。.:*・゜☆
:すげええええ
:( ゜∀゜)ノ
:◀︎▫️ ▫️ ▫️ ▫️ ▫️ ▫️=€
:泥ちゃん天才かよwww
:建築スキル持ちか
:.•*¨*•.•*¨*•.¸.•*¨*•.•*¨
:wwwwwwwww
:神回
:♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥
: ★═━┈ ☆═━┈ ★═━┈ ☆═━┈ ★═━┈ ☆═━┈
:ガンバ━━○(・ω・`)o━o(´・ω・)○━━!!!
:草
:ミサキもえ
:w
……は……はやすぎる……流れが早すぎて……システムが拾ってくれない……
……チッ
「猿渡さぁ。ベンダー呼んで!なるはやぁ」
「はぁ…甲田さんですか?で、ご用件は?」
「自動書き込みツール(bot)を作らせる」
「Botってw」思わず笑ってしまう猿渡。
「何がおかしい?
お前は言われたことやりゃいんだよ」
「お言葉ですが、開発部長に直発注なんてしたら後で請求どうするんです。完全に業務外ですよ」
「金なら払う」
「いえ、しかし……あの人、ただの技術屋じゃないですよ。容赦なく、本当に請求書回してきますよ」
「チッ……もういい、
俺が電話する。番号回せ」
☎︎あ、もしもし、わたくし内閣府・政策統括官付・防災担当のキョウゴクと申します……いつも大変お世話になっております……
開発部長の甲田様をお願いしたいのですが……
=i= =i= =i= =i=
あ、甲田さん……その節はどうもです……ご苦労さまです……でですね! ちょっとお願いがあるんですけども!
お電話じゃなんなんで、今からそちらにお伺いしても……
え? なに? あ、そうですか、いえいえ、それではお待ちしておりますので!!! ……で、いつぐらいに?
はいぃ?
あ、ちょっとそれだと遅くなっちゃう感じですよね……えぇ、
なるはやで!……待ってるんで!!
(第25話 完/第26話へ続く)




