72 結局こうなります。
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「リンダ、リンダ……」
あれ?映像??壁の一面がスクリーンになっているようで、悪魔さんがウロウロしている。
イライラしているというより、ひどく不安そうで大魔王のくせに迷子の子供みたいに見える。
「ああ、何かがおかしい。だが、何がおかしいんだ?ああ、リンダ、リンダ。」
連呼されても……
「ベルゼ様、お呼びですか?」
そこには着飾った私が居た。いや、元私の体と言うべきかしら。
「あ、ああ、リンダ……」
悪魔さんは、深々とお辞儀をする私を抱き寄せる。
「きゃ!」
可愛らしく驚いた声をあげて、私は嬉々として悪魔さんの胸に頬ずりをする。そして、そのまま、ベッドに倒れ込んで……
待って、私、何を見せられてるの?ルナが私の体に入ってるのよね?アスタロト姉様があんな風にノリノリで受け入れるとは思わない。
姉様は、悪魔さんを見るのも嫌がっていた。
だから、私の代わりにルナを使っているんだと思う。ルナが姉様の魅力が分からずに当初の目的通り悪魔さんを攻略してるのかもしれないけど、多分ルナは姉様に忠誠を誓ったんじゃない?姉様にかかれば、小悪魔をメロメロにするなんて簡単だと思うわ。あの柔らかさに包まれたら、ああ、羨ましい。
ちらっと視線を移すと、ロード君はまだ寝ている。
スクリーンに目を戻すと、悪魔同士がハートを飛ばしてSMを楽しんでいた。ちょっとしか目を離してなかったんだけど、まあ、楽しそうで何よりです。
こっちは愛し合ってくれる動物がいないか探しましょうか。今回は2匹探さなきゃ。あ、愛し合えだから、愛を誓うとか、ハグとかで良いのかしら?
ロード君にハグしてみる。起きない。とびらも開かない。人間にもなれない。
うーん。頭を使うと眠くなってきた。今日は頑張ったわ。思うんだけど、頭だけ、体だけより、両方使った時が一番良く眠れるわね。最奥には来れたみたいだし、時間の感覚はないけど、少し休んでも良いかしら……
……あ、結構寝てた?あら?私の体inルナが気絶してる。治癒魔法をかけ、抱き上げてベッドに運ぶ悪魔さん。そのまま部屋を出て……扉が開いた。
!!な、なぜ、此処に出るの!!もしかして映ってたの、隣の部屋?!
「うん?お前、ここになぜいる?水の精霊か?」
まずいわ。ルナと楽しんだ後の割に機嫌が悪そう。
悪魔さんは首を少し傾げた後、
「ああ、そうか。名前は?」
勝手に納得した。自分がミニゲーム再現したの思い出したのね。それから、名前、ええっと、名前はリンダ??いや、下手にリンダなんて言ったら何をされるか。逃げられたのに戻ることになるかもしれないし、と長考していると悪魔さんは不快そうな顔になってしまった。
「口を聞け!名は?」
「な、名前はありません。」
キレないでよ。怖いよー。だからモテないのよ。
「名を覚えていないか……まあ、よい。此処にきたからには、死んで蛇がムカデにでもなったのだな。そこまで人間に近くなり、最奥に辿り着いたのなら、構ってやろう。信じるかはおまえ次第だが、私はこの世界の神だ。お前を人間にする事もできる。人間に戻りたいのか?」
「は、はい。」
「名も覚えていなくても、人間にはなりたいか。人間の執着は興味深い。では、最後の試練を越えるが良い。そうすれば、人間の体をやる。そうだな、辺境の貴族にしてやろうか。」
それは嬉しいわ。辺境なら戦争が起こらないように頑張って外交しましょう。平和なら貿易都市だろうし、悠々自適に貴族生活ができそう。
「ありがとうございます。頑張って試練を……」
ああ!お約束のエロ試練だったのよ!悪魔さん、楽しそうに笑ってるわ。このエロ親父!!
「あの、この試練はこの辺にいる小動物でもよろしいのでしょうか?」
「構わないが、この部屋に小動物は居ない。」
ガーン!
「この部屋には私とお前と、その男だけだ。」
つまり、ロード君を起こして、悪魔さんとロード君に!!私ひどいかしら?でも、私を殺し続けた悪魔と深き者の血の呪いとか究極すぎない??
「青い顔だな。私はこの世界の神、その男は仲間だろう?お前が望むなら私が抱いてやるぞ。」
えー!この人、隣の部屋に婚約者がいるのに浮気宣言!
「ロード君!ロード君!起きて!!」
「起きないようだな。どうする?眠ったまま襲うか?」
ハードル高い!!それに、魚介は苦手なの!自分の子供が深き者で愛せるかしら?……あれ、意外といけそう。地母神マインドってすごいわ。そうよ。ここで完全遊びの悪魔さんより、私のこと好きって言ってくれた深き者の方が地母神的にはありなのよ。
私は意を決して寝ている。ロード君の唇を奪った。愛し合うがどこまでの意味か、ちょっとずつ試して、できれば子供が出来る前に止めたい。
首筋に唇を当てて、スーッと下ろす。ロード君が身じろぎをする。わー、見られて、こんな事するの羞恥プレイだわ。私が変態じゃない!
ロード君の服に手をかける鎧を外して、汗をかいているシャツの留め具を外す。ロード君の引き締まった筋肉が見えて恥ずかしい。顔から火が出そう。手がぶるぶる震える。
「待て……」
悪魔さんが突然私の手を握った。
「気が変わった。伽をせよ。」
「え、あの、でも……」
ええ?遊びの相手しないといけないの?!
「怖がるな。私は神だ。可愛い娘よ。お前は私に仕える聖女になるのだ。」
「せ、聖女は確かルナ姫様が……」
「ルナはただの候補だ。お前には美しい体をやる。聖女となって祈りを捧げ、私を愛する事で、私はお前とこの国の民を愛し、守るのだ。」
えー?つまり、アスタロト姉様は王妃にして、私を聖女にして両方ゲットなの??私が元アスタロト姉様の人格の一つとは気づいてないのよね?貴方に私の何が刺さったの?って、いやーーーー!!!
「この感覚を覚えると良い。私の力をその身に受ける快感を……」
はいはい。こんな小娘、目をつけられたら一巻の終わり。籠絡するって意味では力注ぐの最強よね。
「良い子だ……」
満足ですか?もう、逆らえない。私はまた、この悪魔に支配されてしまう。
「ああ……」
指が、唇が、まるで飢えていたように、ワタシを弄る。どうして?ルナとヨロシクやってたじゃない。
「何故だろう?あんなにリンダを愛していたのに、最近、愛しく思えない。何故お前はこんなに愛しいのだろう?恥ずかしがるあの姿、まるで以前のリンダのようだ……私にの愛に応えておくれ。お前に愛されたい。」
それって、あの、私じゃなきゃダメって事?アスタロト姉様じゃなくて?あの体じゃなくて、ルナでもレア様でもなくて??私を見る愛おしそうな顔にカッと胸が熱くなった。
体が蠢く。人間に戻っていく。えーっと、まだ入ってないわよね?愛し合えって精神的なこと?私、絆された?その疑問は解ける事なく、熱い口付けに流されてしまった。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
初めてオリジナルを書いて完結させることができました。また、お会いできる日まで皆さま、ごきげんよう。




