表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/72

70 ダンジョン攻略

70

 人魚のリンダです。ダンジョンに行く前に修行中です。とりあえず、歩いてみよう!!


 蛇女みたいに歩けないかしら?私はググッと腰に力を入れて上半身を起こしてみた。おお!行けるじゃない。そのまま進んでみる。へびの時ほど滑らかではないけど、歩けるわ!!……でも、かなり遅いわね。他の歩き方も試してみましょう。尾ビレで立ち上がれるかな?


 うっ!うっ!きつい!出来なくはないのね。


 でも、きついわ。このまま前後に動かして、おお!動ける。でも、3歩くらいで限界、これは現実的じゃないわね。蛇女の動きを練習して早く動けるようになろう。


「リンダ、お茶にしよう。あ、歩けるんだね。」


「ええ、歩き方が分かったわ。だいぶ遅いけど。」


「まあ、魔法の絨毯もあるから、無理しないで。」


 ロード君はいい香りのするお茶を入れてくれた。それから一口サイズの四角いもの。


「ええ、ありがとう。その、虹色の四角いのは何?」


 それはキラキラ光っていてシャーベットのようにもみえる。


「クッキーだよ。今までにない可愛いお菓子を開発中なんだ。これはその試作品。食べてみてよ。」


 見た目的にはすごく良いわ。見つけたら絶対食べてみたいもの。私はきらめくクッキーを口に入れた。


 お!美味しい!洞窟で最初に食べたお花に似た味!


「美味しいわ。どうやって作ったの?」


「良かった。それなら販売しよう。あの洞窟に咲いている黄色い花を砂糖や甘い樹液と一緒に煮詰めると溶けて、こんな色になるんだよ。それでクッキーを作ったんだ。」


「絶対に売れるわ。でも、花はそんなにたくさん咲いていなかったけど、大丈夫なの?」


「ああ、大丈夫。栽培して増やしたからね。花畑としても綺麗なんだ。今度一緒に行こうよ。」


「ええ。行きたいわ。その前に人間に戻らなくちゃ。」


「うん。そうだね。でも、あの、僕は人間でも人魚でも君が好きだよ。」


 わ、突然言わないでよ。緑の綺麗な目で反則よ!うーん、お付き合いしても良いかな。綺麗だし、でも、なぜか早まってはいけない気がするのよね。野生の勘?


「あ、ありがとう。」


 私はそれから7日ほど歩行練習や、冒険の基礎知識の勉強をした。


 その1 信頼できる仲間を持つべし。

 その2 命あっての物種、逃げる事も必要。

 その3 毒消し、薬草は持ちすぎ程度に持つべし。

 などなど。


 装備は短剣とそんなに大きくない盾をもらった。あと、水着の上とマント。短剣は刺すと抜けなくなるから切るのがおすすめ。刺す時は急所に刺す。体の中心線は急所が多いので構える時は斜めに。盾で押しつぶすのも有効。


「まあ、蛇とかトカゲとか蜘蛛が相手だから僕が戦えば大丈夫だと思うけどね。君は盾で防いでいれば良いよ。」


 私にだって岩をちょっと砕く、ウォーターカッターがあるんだけどね。蛇とかトカゲとかに当たるか分からないけど。他にもウォーターブレスとか言ってみたら霧が出たわよ。前の体の時、使えていた魔法は使えなくなっていた。前の体の時も強い効果の魔法なんて使えなかったし、そこそこの魔法も準備をたくさんしてなんとかだったから、ダンジョンでは使い物にならないし、良いけどね。


「ロードは何で戦うの?」


「僕は魔法と槍だよ。今回はこれを持っていくんだ。」


 槍使いなんだ。ロード君は短めの槍を見せてくれた。うん、あまり長いと天井に当たったりするものね。


 というわけで、いよいよ今日はダンジョンに出発だ。ロード君の別荘からダンジョンは10分くらいで行ける。お父様とお母様が会っていたのが、ダンジョンの近くの浜辺だったんだって。


 ロード君は良くこの別荘に来てお母様を探しているんだって。うん。分かるわ。私もお母様に会いたいな。もう、公爵令嬢のリンダじゃないから、公爵夫人には会えないだろうけど。わ、泣きそう。ダメダメ、今から冒険するのよ!


 私達はダンジョンの入り口にたどり着いた。私は魔法の絨毯に乗ってふわふわと浮いている。それをロード君が引っ張ってくれている。習熟すれば絨毯は操縦できるらしいけど、年単位の修行が必要とか。まあ、いざとなれば蛇女状態で動けば良いわ。


「入るよ。」


 ダンジョンに入ると声が聞こえた。


「リンダ様!リンダ様!私、とても反省しましたの。ああ、これじゃなかった。ああ、もっと大きい蛇にすれば良かったわ。ちっこくて分からないのよ!!面倒くさいわね!い、いえ、いえ、あの、リンダ様〜どちらですか?」


 わわわ!!な、何?とどめでも刺しにきたの?!それとも何か起こって私を使おうとしてるの?


「ロード、あの人は敵なの。見つかったら何をされるか。」


 ロード君は頷いて、何かを投げた。それはふわふわと飛んでいった。


「蛇の餌だよ。適当なところまで飛んだら落ちるから、蛇が集まるはず。下に降りる階段は反対側だから、急ごう。」


 私達はほとんど音を立てずに、階段にたどり着いた。地下1階へGO!!


 地下10階まではギルドの地図があるから迷わないで済む。というか、思ったより小さいわ。私が蛇だったから大きく感じてたのね。私達は2時間ほどで地下10階にたどり着いた。敵も本当に蛇とか蜘蛛なんだけど、私達を見て襲ってきたりしなかった。蛇のときは小さかったから餌認定されたのね。


「ここからは地図がないから、一度休もう。」


 ロード君がお弁当を広げ始めたので、私も絨毯から降りて手伝う。サンドイッチにスープにデザートまである。美味しい〜


「まともな食事はこれだけなんだ。次からは保存食と現地調達になるよ。」


「了解!保存食も好きだし、現地調達も頑張るわ。」


「良かった。魚を獲ったりもできるから、川があるのは大きいね。飲み水にも困らないし。」


「そうね。」


 ご飯を食べ終えて、私達は冒険を再開した。階段はすぐ見つかり、そこを降りると広いめの空間の後、一本道になった。しばらく進むと急にバタンと音がして、振り返ると扉が閉まっていた。一本道が塞がったら戻れない!!


「え!!扉?ただの道だったのに?」


 ロード君は扉を調べている。


「魔法だね。開きそうにない。」


 ロード君は扉から離れて手をかざした。


「ウォーターカッター!」


 わ!私と同じ技!!


 私よりかなり強い水流が激突しても扉はびくともしなかった。水は跳ね返されて川に流れ込んだ。


「川が流れてるんだから隙間はあると思うんだけど。」


 ロード君は槍で扉の下を突いてから、おもむろに頭を川に突っ込んだ。


「だめだ。手は通るけど体は通らないね。」


「進むしかないわね。」


 塞がれたのは後ろ。前には道が続いている。私達は頷きあって前に進んだ。


 しばらくすると立て札があった。

 

 『神の言葉に従えば扉は開かれる。神は言われた、扉を押せ』


「神……」


 悪魔さんですか……。嫌な予感しかしないわ。


「押せば良いのか。リンダ、盾で頭を守って。」


「りょ、了解。」


 ロード君、崩れる想定なの?


「あれ?普通に開いた。」


 神の言葉、押し戸なことを教えてくれただけ?


 ロード君は警戒しつつも入っていく。遅れて私も絨毯ごと引っ張られていく。


 私達が入った後、バンと扉が閉まる。押しても引いても動かない。


「これも魔法だね。やれやれ。前の冒険者は良いところで引き返したな。」


 確かに。でも、最奥地に行くには進むしかない。進むとまた立て札がある。


『神は言われた。共に進む者を讃えよ』


「えーっと、じゃあ、リンダはとっても綺麗で、可愛くて、前向きで、とても素敵な人だ。」


 あ、ありがとう。何これ?


「じゃ、じゃあ、ロード君は頭が良いし、綺麗だし、親切で、冒険も、商売もできて凄いと思う。」


「ありがとう。照れるな。」


 ギギギッと扉が軋み開いた。私達は先に進む。咄嗟に缶詰を置いてみたけど、扉は止まらず、缶詰が弾き飛ばされただけだった。


「うん。開かないね。じゃあ進もうか。」


 なんだか慣れてきたわ。暫く歩くとまた、立て札。


『神は言われた。愛する人に口付けよ』


 間髪入れず、ロード君にキスされた!!


「わわわ!!」


「ごめん。でも、愛する人がいるのは僕の方だし……」


「う、いえ、良いです。キスくらい。でも、これ、次は何が来るの?」


「えーっと、でも、進まないと、戻れないし。」


 ロード君、なぜ嬉しそうなのかな?とは言え、その通りよ。ああ、ベタな展開が来るわ。悪魔さんの作った世界だもの。しかも、ミニゲームだったダンジョンだもの。ベタベタでおかしくないわ。


「行こう。」


「……はい。」


 私は諦めの境地で扉をくぐった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ