表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/72

63 精霊は覚えていなかった

マデリーン目線です。

63

 本当に、本当に役に立たないわ。


 私は力を入れて、目の前の見てくれは良いけれど、ちっともお役に立たない王子様の体を揉んでいた。


 私が、北極点とか、ジュブ・ニグラスとか二人でやっていた呪詛の言葉とか、色々なキーワードを囁いてみても反応はなく、


「あの、さっきから何か言っているのはマッサージの掛け声かい?」


 とか、言われる始末。貴方、リンダ様に仕える偉大なる精霊とか言っていなかった?もう少し、使えても良さそうなものじゃない?


「ええ、そうですわ。レナ様のことご心配なのでしょう?とても背中がこっておられるわ。」


「え、ああ、そうだな。でも、ただの風邪だろうし。」


 心配していないわね。私も一切心配なんてしていないけれど。アルス様から情報が貰えるので、あの二人がベルゼの部下だと言うことは知っている。そして、今寝ている理由も。


 なんでも、ベルゼの寵愛を巡る悪魔同士の争いがあってその戦いでやられたらしい。


 巻き戻る前に王妃だったレアは、昔からのベルゼのお手つきで、最近手がついたルナの態度が悪くて言い合いになり、そばにいたレナも巻き込まれ、レアとベルゼの息子のクリストファーがキレて派手にドカンとなり、ルナとレナはそれなりの深手を負ったらしい。ベルゼは特に関心がないようだとか。


「面倒臭そうにしてらっしゃいましたね。閣下はリンダ嬢命ですから。」


 とのこと。レアでもルナでもレナでも良いから、そちらに行ってくれれば良いのに。なぜ私の大切なリンダ様に執着するのかしら。


 リンダ様に二度と悪魔の子を産ませないと誓ったけれど、とても難しい。巻き戻されたこの世界では、もともとベルゼが皇太子で、リンダ様は子供の頃からの婚約者。二人の仲も特に悪いようには見えない。


 ああ!ジオルも役に立たないし、アルス様もベルゼには勝てないと言うし、この学園生活が終われば二人は正式に結婚してしまう。


 仕方がないわ。血を吐くほど悔しいけれど、二人の結婚は仕方ないと諦めて、子供ができない呪いをかけましょう。


 そして、私はリンダ様の愛人になるの。そして、折を見て魂をロストしたと思わせてリンダ様と逃げるのよ!もしくは副王神にベルゼを殺させて、この世界を守ることができれば……どちらにしても、ジオルには早く思い出して貰らって戦力に加えたい。


「ジオル様、今日のお茶会は……」


「ふう、仕方ないな。」


 突然ベルゼが立ち上がった。リンダ様に揉まれた後、いやらしい顔をしてリンダ様を口説いていたのにどうしたのかしら。


「リンダ、もっとこうしていたいけど、仕事があるんだ。お茶会も出られないから楽しんでおいで。」


「はい。いってらっしゃいませ。」


「また、マッサージしてね。君の愛が感じられてとても幸せだったよ。」


「はあ、はい。」


 愛はない!リンダ様の顔を見て確信する。良かったわ。リンダ様は悪魔に誑かされていないのね。それに、お茶会に来ないなんてチャンスだわ。なんとかリンダ様、私、ジオルで関係を構築しなくては!


「では、そろそろお茶会に移ってもよろしいですか?」


 先生に確認すると、ニコニコしながら私達の出来栄えを褒めて許可してくれた。


「では城に移りましょう。」


 私達はひさしぶりに、学園を出てお城に向かった。馬車の中でリンダ様が眠くなったと言って眠られてしまい、私はジオルと二人に近い状況になった。


「ジオル様、率直にお伺いします。リンダ様のことはどう思っておいでですか?」


「どうと言うと?」


「愛しておられるのですか?」


「あの、何故そんな風に?ほとんど会ったこともなく、お茶を頭からいただいた記憶しかないんだが……」


「そう、ですか。おかしなことを申し上げますが、私は貴方が以前、いえ、前世、リンダ様を愛しておられたことを知っています。少しも覚えておられないのですね。」


 かなり斬りこむ。これでダメなら仕方がない。記憶を曖昧にする薬があるので、今日のこと全て、一服盛って忘れてもらおう。お茶会にブランデーを持ち込むのは良くあること。泥酔したと思わせれば大丈夫。失敗したら、少し面倒だけれど魔女の呪術の類で忘れてもらう事もできる。


「前世?前世……私もおかしな事を言おうか。ほとんど会ったことがなかったのに、焦がれている方がいた。婚約の話も出ていたが、結局叶わなかった。」


「諦められたのですか?」


「兄の婚約者。どうにもならない。」


「もし、その方が貴方の兄上に何世にも渡って苦しめられているとしてもですか?」


「さすがに、例え話が過ぎる。私はもうレナと婚約している。この話は兄上にはしないからもうよしてくれ。」


「失礼致しました。」


 私はそこで話すのをやめた。忘れてはいる。でも、思い出す可能性はありそう。急いでも仕方がない。今回は保留にしよう。


 リンダ様のこと語る時に感じた熱量。ジオルはリンダ様を諦められてはいない。思い出さなくても、リンダ様の味方にはなってくれるはず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ