60 入学してしまいました
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ああ、ついにこの日が来てしまった。
「皆さま、素敵な宿舎で良かったですわね。」
ルナ姫、レナ、マデリーン、私はとうとう淑女学園に入学した。魔法学園の隣に建てられた校舎は半分が寮になっている。校舎というより小さな宮殿という感じの建物だ。国王陛下が校長なので、歓迎のお言葉を下さった。それから、宿舎に案内されたけど、とっても豪華で本当に城にいるよう。まあ、全員王族とその婚約者なんだから当たり前なのかしら。それなら、城に集めてやれば良いのに。何故魔法学園の隣で晒し者にする必要があるの?
「お部屋割りはお任せということですから、お茶を飲みながら決めましょう。」
仕切るのは身分的に一番上のルナ姫だ。お茶が用意されて、丸テーブルに着席する。
「お部屋は、ブルー、ローズ、トパーズ、クリスタルの4つ。ご希望はあるかしら?」
宿舎の部屋は四つのドアからそれぞれ、客間、寝室2つ、トイレ、お風呂、リビングダイニング、小さなキッチンが続くプライベート空間、ドアから出ると4人共有のリビングと客間があり、教室スペースや、使用人の宿舎へと続く扉がある。
ブルーもローズもトパーズもクリスタルも造りは同じで備え付けの家具の色が違う。壁紙は全部白。
できれば角部屋のブルーかクリスタルが良いなあ。それから隣は……ああ、私の死を願うルナ、私をペットにしたいレナ、私の子供を殺そうとしたマデリーン、どれも碌なもんじゃないわね。いやいや、マデリーンは子供だって知らなかったかも。悪魔さんが魔術で悪いものを私のお腹に入れたと思ったのかも……いや、本当にそうなんじゃない?してないのに子供って……。でも、でも、やっぱり、気になる。あの子どうなったのかな?もともと居なかったの?やり直しで消えちゃったの?それともどこかで育ってる?
「ルナ様、私はローズが良いですわ。ピンク色のテーブルが可愛いもの。」
「では、レナ様がローズ、私はトパーズ、リンダ様がクリスタル、マデリーン様がブルーで良いかしら。」
「ええ、構いませんわ。」
「は、はい。」
マデリーンは少し不満そうだけど何言わず、部屋割りは決定した。これから荷物を入れてもらうけど、その前に制服に着替えて1回目の授業がある。
部屋に用意されていた制服は白いセーラー服だった。
そして、居間に集合した時判明した。白いセーラー服に使われている刺繍の色は部屋のカラーだ。
ブルーの刺繍で爽やかなマデリーン、可愛いローズのレナ、元気いっぱいビタミンカラーなルナ、一人だけ刺繍部分がシースルーな私。ああ、泣きたい。いや、この世界の服にしては、これでもおとなしいわ。元気を出すのよ!
最初の授業は自分を知ろうというテーマだった。担当の先生はニコニコしながら私たちの美貌を大いに誉めた。
「皆様はとてもお美しい。自信を持って下さい。そして、夫婦の営みは素晴らしい行為であり……」
延々と続く営み讃歌。だんだん眠くなってきた。ほとんど瞑想状態で聞き流していると
「では、それぞれ個室へ。」
と言われて焦る。え?なに?なに?
「リンダ様、マッサージだそうですわ。旦那さまの体をほぐす事で夫婦円満を図るとか。」
マデリーンがこっそり教えてくれた。ああ、ありがとう。やっぱり親友だわ。あ、本人は覚えていないかしら。これから仲良くしましょう。優しいマデリーンは、きっと子供のことも悪意はなかったのよ。子供とは思わなかったに違いないわ。
個室に通された私は、人形相手にマッサージの指導を受けた。肩、背中、腰、足、腕、首のマッサージを優しくする。人形を仰向けにデコルテ、お腹、足をさする。肩や腰には力を入れて、首やデコルテやお腹は優しく優しく。うん、なかなか気持ち良さそうなマッサージだわ。
「では、リンダ様にもご体験いただきましょう。お着替えいただいた後うつ伏せになって下さい。気持ちよければお休みになって構いませんよ。」
私は、用意されていた浴衣着を着て寝転んだ。マッサージの先生がマッサージを始める。あー効く効く。気持ち良い。しばらくされていると眠くなり、うとうとしていた。
「次はオイルマッサージです。」
うとうとしていたら、いつのまにかオイルマッサージになっていた。まあ、先生は女性だし構わない。オイルマッサージもとっても気持ちよくて幸せ。
「如何ですか?続けますか?」
「はい、気持ち良いです。もっとお願いします。」
「はい、喜んで。」
本当に至福。凄いわ。この先生、専属になってくれないかしら。疲れやこりが解けていく。そう言えば、悪魔さんの言ってた学園の練習ってこれのこと?練習なんて要らないわね。とっても気持ち良いもの。ん?何か流れ込んでくる。気持ち良い。とっても、気持ち良い。え?これ、悪魔さんの力??ああ、マッサージでとろとろの時に入れられたら、本当に蕩けちゃう。




