47 姉と妹
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「ようこそリンダ嬢。」
「王妃様、お招きいただき光栄でございます。」
私はレア様のサロンに来やってきた。レア様はにっこり笑っている。
レア様は悪魔さんと同じで、黒髪と黒い瞳。薄い水色のドレスは儚げで妖精のみたいだ。豊満だったフローラ前王妃様と対極と言われる清楚なガーリー系。見た目は10代よね。この人が悪魔さんに打たれて気持ちよさそうに啼くの、背徳感がすごいわ。
席を勧められて着席する。すでに席にはお茶とお菓子があり、人払いされているのか侍女はいない。
「リンダ嬢。正妻として召されたのに、こんな事を聞かされて驚いたでしょう?ごめんなさいね。」
驚きましたけど、前世の記憶が戻ってから色々ありすぎて、今回の事がそこまでショックかと言われると微妙だわ。
「驚きはいたしましたが、真実をお教えいただいて感謝しております。これからは王妃様のお役に立てればと思っておりますわ。」
「ありがとう。私のことは姉と思って頂戴。私は貴方を妹と思うわ。だから、良ければレアと呼んで頂戴。」
「はい。レア様。」
考えてみれば、王妃は、つまり悪魔さんの母なわけで、レア様としてはそう呼ばれるのは嬉しくないのかも。
「ありがとう。まず説明するわね。私は魔界ではレアゼラという名の悪魔なの。この子は息子のクリストファー。ベールゼブブ様の子よ。ベールゼブブ様はこの世界の体を得るために、私と王との間で産まれているけれど、私達2人はそのまま悪魔の体なの。ベールゼブブ様の乳母や家族は実の親子と思っているけれどね。ゲームでも悪魔の力が使える方が良いでしょう?」
レア様は少し得意げだ。美少女が得意げなの、なんか可愛いわ。
「そうですわね。それに、人間の体でベルゼ様のお相手は難しいと思いますわ。」
レア様は我が意を得たりと強く頷く。
「そうなのよ。だから貴方が可哀想で。せめて、お相手は魔女でもと思ったのだけれど、このゲームは我が君から権限を与えられたアルスが仕切って、貴方に決まってしまったの。」
「まあ。」
「アルスは貴方を気に入っているのかしらね?でも、アルスの相手も人間には辛いと思うわ。貴方のお相手は私が責任を持って探してあげる。」
「ありがとうございます。是非、子供を可愛がってくれるような優しい方をお願いいたします。」
「任せておいて。優しくてハンサムで地位も名誉も経済力もある素敵な人間を探すわね。純愛系か、お互い愛人もいる奔放系はどちらか好みかしら??」
「あの、母上本題からズレていますよ。」
2人で盛り上がっているのにクリストファー伯が水を差す。ジオルのことがあるから奔放系かしら?そのうちお願いしておこう。あ、でも、ジオルって妊娠してる私にお酒を勧めたから、子供と仲良くは無理かしらね。困ったわ。
「ああ、そうね。ごめんなさい。妹ができたようで嬉しくって。」
「それは良かった。続きは私からお話ししましょう。このゲームはアルス様から父に提案したもので、父の無聊を慰めるものです。1番の目的は随分昔に結ばれているのに、未だ距離のある父と母の絆を強めること。そこには数多くの障害がありますが、それを乗り越え親子でありながら結ばれる事がクリア条件です。ただ、他にもルートがあり、本命と結ばれない場合、父が飽きてしまわない限りループする予定とのこと。」
「我が君にとってはただのゲームだとは思うけれど、私との恋愛ゲームを企画してくれるなんて胸がいっぱいになったわ。私が我が君と結ばれたのは随分前、臣下の者達は私を正夫人と扱ってくれるけれど、正式な婚姻はしていないの。クリストファーのことも息子と呼んでくれるのに、正式な場では臣下の扱い。このゲームを通して愛情が深まれば、私とクリストファーの運命が変わるはずなのよ。」
レア様、幸せそう。悪魔さん、ちゃんとクリストファー伯を息子と呼んでたのね。父親が誰か分からない割に。
「リンダ嬢はある程度、嫉妬などで、面倒臭い女性を演じていただきます。そして、情報の提供もお願いします。」
「情報ですか?どんな?」
「父の事です。予定とか、機嫌や、その時必要としているものなど、有益な情報を教えて欲しいのです。」
「分かりましたわ。」
「では、情報を教えていただくために、毎日レア様へご機嫌伺いにおいで下さい。来れない日や体調が悪いときは言っていただければ結構ですので。」
これから毎日、姑の元に通うのか。レア様は可愛いし、別に構わないけど、嫁が毎日ご機嫌伺いなんて、評判良くなっちゃいそうだけど良いのかな?




