41 逃げられないみたいです
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マデリーンが訪ねてきた。
「リンダ様……」
2人きりで話したいと言われていつものサロンから私の部屋に付いている小さな談話スペースに入ると、マデリーンが泣き出してしまった。なんなの?!最近みんなおかしいわ。何があったの??
「マデリーン、何故泣いてるの?訳を教えて頂戴。最近、皆の様子がおかしいのよ。何かあるなら教えて。」
マデリーンは、それでも嗚咽が止まらず、しばらく泣いていたが、ガバッと顔を上げた。
「リンダ様のお腹に不吉な影があります。」
「はい?」
私のお腹に影?何か変なもの食べたかしら?
ま、まさかサナダムシとか??だから、ジオルはお酒を飲めって言ったのかしら?サナダムシを駆除する民間療法はアルコールで出すって聞いたことあるわ。
でも、駆除しきれないから病院に行くべきらしいけど……。
「リンダ様、排除してもよろしいですか?」
マデリーン、虫下でもくれるの?なんだか怖い顔してるけど。
「良いわけがないだろう!!」
突然の怒鳴り声、と思ったら悪魔さん??急に振って湧かないで!!
「くっ!」
なんか、マデリーンが戦士の顔をしてる気が……何と戦ってるの?悪魔さん??
「リンダ、ここは危険だ。移動しよう。」
私は悪魔さんに腕を捕まれた。
危険て何?!ここ私の家で、私の部屋よ。マデリーンにサナダムシ用の薬を貰うところよ。と言うまもなく、転移させられた。何?ここ?
私は花の蕾をモチーフにしたやや赤みがかったガラス細工のような物の中にいる。ガラスの向こうには悪魔さん。
「リンダ、しばらくここに居て。外は余りにも危険だ。」
「??しばらくって、いつまでですの?」
「その、十月十日くらい。」
悪魔さんが何か恥じらっているが、それどころじゃない。
「そんな、酷いわ。私を一年近く閉じ込めるの?」
悪魔さんはモジモジしながらも
「怒らないで。君が急にお酒を飲み出したと聞いて心配して来てみたら、私達の子が殺されそうになっていたんだ。父親として当然、対応するだろう?」
「わ、訳の分からない事を言って。私をいたぶるのね。」
「君をいたぶる気なんて無いよ。そうだ、ちゃんと説明する。君は私の子供を妊娠しているんだ。」
「は?あ!何か術をかけたのですか??」
「いや、そうじゃない。本当に奇跡なんだよ。」
うっとりとした瞳で見つめられても困りますが。
「あの、人間の子供がどうやってできるかご存知ですか?」
「……知らないって言ったら実地で教えてくれる??」
エロ親父がいる。どこかに通報したい。
「実地というか、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるので、お腹にはいないんですよ?」
悪魔さんの顔色が変わる。
「リ、リンダとりあえず、本気で言っているのかだけ教えて!!」
「まあ、違うのですか?」
「うん、たっぷり実地で教えてあげるね。」
戻った。
悪魔さんはごほんと咳払いをした。
「ともかく、君は私の子供を妊娠している。魔術で確認したから間違いない。そして、その子を殺そうとする奴らがすでに2人いて、君の屋敷に出入りしている。だから、君を屋敷には置いておけない。この中で出産を終えるまで眠っていて。苦しい思いはさせないから。」
「もし、万が一、私がベルゼ様の子供を妊娠しているとして、ずっと眠っていては母親には成れませんわ。お腹の中でしっかり育てた実感が女を母にするのですわ。」
訳の分からない理由でこんなガラス瓶に閉じ込められてなるものか!適当なことでもなんでも言ってやるわ!
「そ、そうか、むむむ、私としたことが考えが及ばなかったよ。それなら城だ。君は城に住んでもらう。父の病で即位が決まり、急遽君と結婚しよう。あ、父上はその後、元気にするから大丈夫だよ。妊娠中の君は葬儀に出るか出ないかで難しい立場になるものね。」
国王陛下もそんな扱いなの?ああ、陛下おいたわしい。
そして、いよいよ逃げられないのね。悪魔で、私の力を奪った奴で、SM、拷問大好きなこの人と結婚するのね。儚い青春だったわ。




