39 お酒は二十歳になってから
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「リンダ、酒でも飲まないか?」
ジオルが突然お酒を持ってきた。私が飲むのはりんご酒やワインをソーダやジュースで割ったようなもの。それも、お祭りの時とか特別な時に少し飲むくらい。この世界ではお酒の年齢制限は特にないけど、未婚の令嬢があまり飲むのは推奨されない。それなのに、持ってきたお酒はウォッカとジン。
「あの、今日は平日よ?それに、そんな強いお酒飲んだことないわ。ジオルだってそんなに好きじゃなかったでしょ?」
「いや、最近目覚めたんだ。ウォッカはジュースで割ると飲みやすい。嫌なことを忘れられる。お前もグッと行ってみろよ。」
霊体で陽気に笑いながら、目が全く笑ってない。何かあったの?
「ジオル?何かあって話に来たの?」
「ああ、シラフじゃ話しにくくてな。りんご酒も持ってきたら飲めよ。」
ジオルはどこに隠していたのか、りんご酒の瓶も取り出してグラスに注ぐと恭しくひざまづいて差し出した。
「我が君。」
こんなことされると弱いのよ。私は受け取って飲み干した。りんご酒だから弱いとも限らない。これは割と強めだ。すぐにほろ酔い感がくる。
「飲んだわよ。で、どうしたの?」
ジオルはサファイア色の目から涙を流した。どうしたのよ!!
「リンダ。この世界は辛すぎる。日本に帰ろう。一緒に生まれ変わるんだ。」
「え?」
「日本じゃなくても、もちろん良い。魂がロストしたように見せかけて、2人で生まれ変わるんだ。もう追いかけられないように。」
「そ、そんなこと出来るの??」
出来るとも思えないし、誘いに乗ったら私死ぬってことよね。
「この世界に比べたら、この理不尽さに比べたら!!」
「え、えーっと、やっぱり平民なのが耐えられないのよね?もう少し待って。なんとか爵位を貰えるように動くから。」
ジオルは激しく首を振った。
「違う!俺の主を好きにする男に耐えられないんだ!お前はあの男の手の中で生きるのか?それで幸せになってしまうのか?お前は力があろうが無かろうが気高い女王だ!間違っている。この世界は間違っている!!」
ジオルはそのまま消えてしまった。酒を残して。ウォッカとかジンとかどうしよう。
悪魔さんと言い、なんなのかしらね。
「リンダ様?え?このお酒は!!」
わ、ランに見つかった。
「え、ええっと、前に貰ったの。忘れていたんだけど、さっき出てきたのよ。りんご酒だけ飲んでみたけど。」
「まあ、気付きませんでしたわ。あまり召し上がるのはお勧めしませんが、気分転換にはなりますものね。最近、お熱が少し高いですし、飲まれたのなら、このまま少しお休みくださいませ。」
「ええ、そうするわ。」
私は勧められるまま、寝巻きに着替えて横になった。




