33 もうやだ。寝ます。
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「ごめん!リンダ本当にごめん!怒らないで……」
子犬のようにうなだれて謝る悪魔さんは、本当に悪魔だ。い、今なの?散々、散々煽って置いて、今正気に戻るの??
「あ、あああ。」
生殺しとはこの事。ううう。いっそ殺して。
「だってだって、君があんなドレス着てくれて、君の愛人になりたいなんて奴らがこそこそ集まったりしてて……でも、私が悪いね。ちゃんと結婚まで待つって誓ったのに、もう少しで誓いを破る所だった。」
この悪魔!この悪魔!!もうちょっと前に正気に返りなさいよ!!
「ふ、ふく。」
「え?何??」
「服を下さい!!」
私は苛立ち紛れに叫んだ。
「う、うん、うん。」
湯煙の中、さっきまでのビキニもどきとは違う、ロングドレスのような入浴着が現れる。
「こっち見ないで。しばらく向こうを見ててください!!」
「う、うんうん。あ、あの、あっちに水があるから、ちょっと浴びてくるよ。」
え?私も浴びたい。
「わ、私が先に浴びますから。」
立ち上がろうとするが、力が入らない。湯当たりだということにしたい……
「じゃ、じゃあ連れて行ってあげる。」
私は抱き抱えられ二人で冷たい水を浴びた。随分、浴びてからやっと落ち着いてくる。
「はあ、君との約束を破らずに済んでよかったよ。嘘つきだと嫌われてしまうから。」
今ので嫌っちゃダメですか?ああ、もう、もう!!
入浴着の上から丁寧に体を拭かれる。入浴着自体は魔法がかけてあるのだろう。すでに乾いている。
「もう、こんなことしないで下さい。」
「う、うん。結婚まで我慢する……」
そう言いながら唇が近づく。ああ、避けられない。だって、まだ体が熱いのよ。
優しいキスのあと、逞しい胸板に包まれる。夜空のような黒い瞳が愛していると囁く。本当に心臓が持たないわ。
甘い疼きと疲労感に包まれ私はそのまま眠むってしまった。




