31 チェリーのココアケーキをメモメモ
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私は愛しい女神を幸せにするため、最大限の努力をしている。彼女の寿命を待たず、転生させるのも彼女の望みがその生では達成不可能だったからだ。可愛いあの人は、例えば、歳の差だとか、外国人だからとか、家の格が違うとか、生涯結婚しない事を宗教的に誓っただとか、その時からでは修正が難しいことばかり言ってくれるので、いつも困ってしまう。仕方がないから苦しめないように一瞬で終わらせて、次の幸せな人生をプレゼントしていた。
そして、今生ようやく、私は彼女と婚約した。半年もすれば結婚できるだろう。こんなに幸せなのは久しぶりだ。もちろん、私が幸せな分、彼女もうんと幸せにする。そう決めている。
「四六時中監視されるのは嫌だ。」
まだ、転生させる前、保管してある始まりの肉体にいた頃、彼女が泣きながら言った言葉だ。だから、私は彼女を監視しないようにしている。彼女の全てを知りたいが、それで彼女が息苦しい思いをするのも嫌だった。私が生きていけないから逃しはしない。だが、出来るだけ快適にしてあげたい。
彼女のことを考えていると、知らず、ため息が漏れる。愛しくて愛しくて堪らない。彼女こそ私の全て。私は彼女の愛を得るために存在しているのだ。
「皆さん、王妃様に愛人は必要とのこと。また、愛人同士は助け合うべきという結論ですね。結論が出たところで、お茶を入れ直しましょう。リンダ嬢がお好きだという、チェリーのココアケーキをご用意していますよ。」
リンダは監視しないが、勝手に集まってリンダの話をしていて、さらに愛人などという言葉が出る集会を見つけないほど間抜けではない。そうか、チェリーのココアケーキが好きなのか。それは良い事を聞いた。
で、この4人はリンダに邪心があるというわけだな。
殺すか?
しかし、ジオルとマデリーンはリンダのお気に入りだし、後の2人もすでに知り合いだ。あまり、派手にやると泣かれてしまいそうだし、いっそ、舞台はこのままでやり直すか?
いや、それではまたしばらくお預けになってしまう。もう半年後にはリンダを正式に、彼女も同意の上で妻にできるのだ。
では、捨ておく?認める?
……血の涙がでるわ!なぜ、婚約期間中に愛人を認めねばならんのだ!
しかし、しかし、彼女は地母神の系統を持つ女神アスタルテであり、悪魔アスタロトだ。こちらの宇宙でも、信仰されていて、ジュブ=ニグラスと呼ばれている。ある程度、目溢しができない男が夫として相応しくないのも事実……
ドゴッ!
壁に穴が開いた。殴るのは堪えたのだが、それでもエネルギーが暴走したか……いっそ、私の力を半分渡すのはどうだろう?溢れる想いに愛人どころでは無くなるはずだが……いや、そうすると、魔界を支配できなくなる。彼女と私の力を合わせることで、サタンにも勝てるはずなのだ。
「ベルゼ様、リンダ様がお着きになりました。」
ああ、私の女神が来てくれた。彼女と話し合って決めよう。なんでも話し合える夫婦になりたい。とりあえず、あの4人をどう思っているか確認しよう。今日のメインテーマは城の彼女の部屋についてだから丁度いいだろう。




