29 愛する気持ちに嘘がつけません
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貴方は何故私のものではないの?婚約するのがどうして私ではないの?
強い薬を煽る。ああ、魔女の秘薬よどうか私の力を呼び起こして。ニャルラトホテプの力を頂戴。いえ、なんの力でも良いわ。私に力を!呪われた力でも、罪深い力でも構わない!呪文を唱える。助力を、誰か助力をと。
「おやあ?」
ここは?強い薬は幻覚を作ることがある。これもそうだろうか?アルスがいる。かつて愛した人。もう霞のように記憶から消えそうだけれど。そして、私と同じニャルラトホテプ神の化身だと言う。
「マデリーン、どうしたんですか?そんな姿で。」
話しかけてきた。もし、これが現実だとすれば、私は霊体で彷徨っているのだろう。今試したのは助力を求める呪文だ。この人に相談しろと言うこのなのか?あり得ない気もするが、私と同一人物ならば、協力してくれるのか?
「アルス様、どうかご教授ください。力を力を探しています。ニャルラトホテプの力を……いいえ、何でも良いのです。私の望みを叶える力を……」
「ふん。ふん。なるほど。なるほど。残念ですが、貴方がニャルラトホテプの化身だと自覚したのに力がないのであれば、そう言う個体です。ほぼ力は扱えません。命の危機にでもなれば、何か発動するかも知れませんがね。」
「そんな……」
「まあまあ、ニャルラトホテプの力が全てではありませんよ。地道に魔術師を目指せばその辺の人間なんて相手にならないくらいの魔術師にはなれるでしょう。ちなみに貴方の願いってなんです?」
「リンダ様を自由に……いえ……私の、物に……」
敵かもしれない相手に私は本心を洩らしてしまう。
「ほう。なかなか来ましたね。なるほどなるほど。リンダ嬢がジュブ=ニグラスなら、貴方だけのものにはなりませんが、貴方も恋人の1人にはなれるでしょうね。」
恋人の1人?私がリンダ様の恋人に?
「それは愛人ということですか?」
心が踊った。今までそういう事を考えられなかった。そうだわ。そうなれれば、私だって……
「そうですね。まあ、愛人なんて言わずに、巫女で良いと思いますけどね。ジュブ=ニグラスは豊穣の女神。地母神ですから、沢山の愛に応えるんですよ。じゃあ、それで解決ですかね?」
「いいえ。やはり力が欲しいのです。私の力がないのなら、リンダ様の力はどこにあるのでしょう?」
「うーん?つまり、リンダ嬢の力が封印されていると言うことですかね?うーん、あの、私から漏らしたとか告げ口しないでくださいね。リンダ嬢の力に関係あるのかは知りませんが、いやに閣下が気にしている場所が地球にありましてね。今夜のサロンに来てください。その時お話ししましょう。」
私は頷いた。可能性があるならどこにでも行こう。




