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25 血縁関係は重要です

25

 「愛しいリンダへ。


 今日は君に会えないので手紙を書くことにする。

 

 あの首飾りは付けてくれているかな?何か嫌なことや不足なことは無いかな?


 もしかして、あの首飾りのこと怒ってるなんて事無いよね?何故か私が良かれと思ってすることで君が怒ることが多いから少し心配になっている。そんな事ないと思うんだけど、地震や雨が収まって、君との婚約パーティーも近づいて心配性になってしまったかな。


 ああ、爽やかな水色のドレスで皆の前にお披露目するのが待ち遠しいよ。


 そうそう、ジオルと浮気はしていないよね?いや、もちろん君を信じているよ。あの男は君よりマデリーンを愛した男だと言うことを聡明な君が忘れるわけがない。


 もし、間違いがあったとしても安心して。もちろん制裁はジオルにするからね。包み隠さず言うんだよ。


 ああ、心配で堪らなくなってきた。この手紙が着いたらすぐにおいで。愛しているよ。


君の愛の奴隷 ベルゼ・アルフロード」


 こいつは何がしたいんだ?

 それが届いた手紙を読んだ率直な感想だ。間違えただけか?それとも俺への牽制か?


 いや、現実から目を逸らすな。目の前でニタニタしている奴が噛んでいない訳がない。


「いやー、お久しぶりですね。兄上。」


 第3王子アルス・アルフロード。血縁上は今でも俺の弟か?俺は王族の資格を剥奪された平民なので、法的には他人になったはずだが。


「これはこれは。アルス王子に、似た方ですか?多分届け先が間違っていますよ。まあ、本宅のお嬢様宛ですので、こちらで届け直しておきますが。」


 長いこと俺を慕う同母の弟を演じていた邪神ニャルラトホテプの化身の一人。


 だが、俺の中では、もうどうでも良くなっている。紆余曲折あったが、今の俺にはリンダがいる。リンダを守る為にある時間を過去の恨みつらみに割くのは馬鹿馬鹿しい。


 それに、リンダの側にいて思う事は、彼女は身分的に下の者との方が相性が良い。良い意味で女王様なのだ。下の者を守る、愛するのが性に合っていて、上から守られるとか、操られるとか、自分の意思を無視して事が進むことを望まない。ある意味、あのまま結婚するより、今のような関係の方が愛がある。俺は形式的な関係より実があれば良い。


「兄上、そんな他人行儀な。私もあのベルゼの力には敵わず、逆らえないのです。貴方を蔑ろにする事は本意ではなかったのですよ。長いこと仲良くしてきたではありませんか。それに、何でもリンダ嬢は私の姪かも知れないと言う話を本体から聞いたのです。そして貴方は私の姪に仕える忠臣とか。ここは俄然貴方達を応援したくなりまして。」


「ほう、それはそれは。」


 忠臣か……まんまと敵の術に嵌って一度裏切っているがな……


 申し出は怪しすぎるが、こいつが味方になればメリットもあるだろう。ここで感情的になって拒否すれば主の不利益になるかも知れない。


「で、この手紙を俺に見せてどうなる?」


「閣下はお二人の仲を気にしておられる。取り敢えずそれをお知らせしたかったのです。そして貴方がどう考えられるか、何か手助けができるかと言うことでして。」


「それはどうも。では、リンダと相談する。何か頼むならリンダを通す。」


「いえいえ。貴方も王宮に出入りできるように致しますよ。私のサロンの会員にさせていただきますので、是非おいで下さい。亡き母も私達が仲違いしているのを悲しんで居られるはず。折を見て何か爵位もご用意致します。では、今日はこれで。」


 母ときたか。心を抉るのが上手いな。何故か弟に優しくできない俺が狭量な気がしてくる。


 しかし、本当に姪だからリンダに気を遣ってるのか?兄を嬉々として破滅させたのに?人間側は違うと言うことか?


 まあ、良い。忠臣としては早く主に報告しなくては。俺は手紙を届けてくれるよう侍女に託し、肉体を置いてリンダの元に急いだ。


「リンダ、話がある。」


 眠っていたのかリンダが、少し機嫌が悪そうに起き上がる。


「ジオル、貴方タイミング悪くなるように呪いでも掛けられてるの?」


「いや、多分ないと思うが……」


「まあ、良いわ。また、記憶が戻ったの。どうも、私は人間の女性の心が知りたくて、力まで別の場所に封じて人間になってみたようなの。究極の時の魔法を習得するのに必要だと聞いて。そして直後に力を奪われて捕らえられてしまったの。」


「究極の時の魔法に何故人間の女の心が関係あるんだ?それ、誰が言ってたんだ。」


「ベールゼブブが言ってるのを盗み聞きできたから試してみたのよ。嵌められたわ。」


「俺も今、お前が結構馬鹿だったこと思い出したよ。」


 力を全部体外に出すなんて、狂気の沙汰だ。よく、そんな話に嵌ったものだ。ベールゼブブにしても簡単に行きすぎて、何かの罠かと困惑したんじゃないだろうか?


 どうしたものか。こいつにアルスの扱いなんて相談して良いものか。俺がちゃんと考えてやらないと、とんでもない方向に行きそうな気がする。


「何よ?」


 俺は無意識にリンダの頭を撫ぜていた。頭を胸に抱いてぎゅーっとする。


「お前が出来ないことは俺がする。恋人同士の主従ってそういうもんだよな。」


 リンダは首を傾げて


「そうかも。」


 と、可愛い声で言った。

ブックマークが増えてました。ありがとうございます。皆さんはジオルとベルゼどっちが好きですかね??ちょっと気になる。今日このごろ。

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