20 記憶を辿ると人外でした
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私は促されるまま目を閉じた。精霊ジオルに色々聞きたいけど、私に仕えるんなら後からでも聴けるだろう。こうなったらはやく記憶を戻そう。
目を閉じると輝く白い世界だった。私は下降していて、景色は眩い光が落ち着き、だんだん暗くなり出した。夕暮れくらいの明るさになった頃、ようやく地面に足がついた。なんかある。
降り立った地面はなんだかデコボコしていて扉のようなものがあった。引っ張ってみるが動かない。するとジオルが隣に立っていた。
「手を。」
言われるままに手を出す。すると、何かが流れ込んできた。
「我が力を君に。君の思うままに使ってくれ。」
ドキドキする。今までと全然違う。体に力が満ち、それをしてくれたジオルが愛しい。
私はジオルに口付けた。
「ありがとう。私、私、貴方のこと……」
ジオルは私の指を唇に当て微笑んだ。
「俺も君を愛している。今、俺たちは一つだ。俺の力は君のもの。それを君が受け入れた。だが、あくまで俺の力。だから俺と君は今離れがたく、ひとつなんだ。」
な、なるほど、人の力を受け取るとこんな感じなのね。なんて言うか運命の恋だわ。
「ああ、胸がドキドキするわ。」
私はジオルに抱きついた。狂おしい想いが駆け巡る。
「リンダ、続きは後でたっぷり頼む。今はこの扉を開けよう。」
「え、ええ、そうね。あ、マデリーンのお母様は?」
「有らざるものはこの道を維持している。力が切れては俺が出られなくなる。あとはベールゼブブに気づかれないように結界も張っている。」
そ、それは急がないと。ジオルが戻れなくなったら大変。
私は再び扉に手をかける。重い。硬い。でも、それはギシギシと動き、記憶の道は開かれた。
私はそこにダイブする。すると、さっきまでのジオルへの狂おしい気持ちはすーっと収まった。ジオルがくれた力を使い切ったのかしら?
それにしても、なんだかもう分かった気がする。あの悪魔さんの溺愛はこれなんじゃない?多分、私の力を奪ったのよ。
降りていくと、いろいろな映像が入った球が浮いている。手に取ってみると、頭の中に映像が流れた。つまり、これを持てば記憶が戻るのね。
ちなみにはじめに手に取った記憶は、あれ?あの、あれ?マデリーンのお母様に襲われてる……
「ああ、旦那様。私の旦那様。お力をなくされたなんてなんとおいたわしい。私に貴方様のお子を下さいませ。私と子供達で軍団を作り、お力を取り戻しましょう!」
「えっと、あのマイノーグラ、私は女でそう言う趣味は……」
「まあ、男か女かなんて私たちには関係がありませんわ。お任せください。貴方を男にして差し上げます!」
わー!!私は記憶の球をぶん投げた。あれ以上、見てはいけない気がするわ。えーっと悪魔さんが出てきそうなやつは……これ!
選んだ球を掴む。
「騙していたのだな。リンダなどという名をつけて。私の力を奪い、こんなママゴトをさせて!!」
「そんな。君を愛しているんだ。それに、リンダは君が名乗ったんだよ。君の力は私に宿り、私の心は君の奴隷となった。そんなに怒らないで。君は何も無くしていない。君の地位も、部下も私が守ろう。今まであんなに幸せだったじゃないか。」
「私の力を返せ!」
「それはできない。返したら君は行ってしまうだろう?ああ、泣かないで。君を幸せにしたいだけなのに……」
ビンゴ!!やっぱり、そうだった。
「命じる!命じる!我が声を聞くものよ!出よ。我が力となれ!」
「……誰も来ないよ。今の君では……ん、ああ、困ったな。ねえ、泣かないで。これからの事を考えよう。君の願いを叶えるのは私だよ。私から離れること以外ならこのベールゼブブがなんだって叶えてあげる。」
息を吹きかけるな!!キスするな!!うざい!!うざいわ!!私の力を奪っておいて!!わ!!
私は急に目が覚めた。マデリーンのお母様が必死に揺すぶっている。
「リンダ様、ベルゼ様が来られますわ。バレてはいないはず。別件ですわ。何もなかったかのように、マデリーンの実家に遊びに来て動物のミイラに驚いたとでも言ってください。」
何しに来た!!まだ、私が誰なのか分かってないのよ!!でも、あの感じだと私も悪魔??少なくとも人外!!ああ、ああ、ああ!!常識が根底から崩れる!!
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