16 救世主は音楽隊
今回アルス視点です。
16
雨が降り続いている。雷鳴が鳴り、地震が何度も起きる。
ベルー国は閣下と私の加護により、これまでほとんど自然災害を経験していなかった。それが今はあちこちで洪水が起こっている。
「雨が止まない。」
閣下が不快げに吐き捨てる。
「私が力を使っているのにだ!!この雨は私より強いと言うのか!?」
強いでしょうね。なんと言ってもこの宇宙を作った父の力ですから。この宇宙は地球の神が干渉しない。何故なら地球の神が作ったのとは別の宇宙だから。閣下は宇宙の創造なんてできないでしょう?我が父の圧勝ですね、と言ったら怒るだろうなあ。
「知性無き力の暴走ですので、閣下とどちらがと言うものでもありますまい。」
「ふん。しかし、何故今なのだ。せっかく、うまく行っている時に。」
それは閣下が過去に行ってこの星の調整をしたからじゃないですかね。時間旅行は色々狂うんですよ。まあ、偶然かも知れませんが。
「目覚めるのか?」
「まだ何とも。ただ、目覚めてしまうと終わりですので、目覚めないよう手を尽くします。」
父が目覚めるとその夢であるこの宇宙は消えるらしいです。まあ、多分嘘ですが、以前、半覚醒でむずがって暴れたら、銀河が一つ消し飛んでましたからね。夢が浅くなっただけの今でも洪水に地震とはた迷惑なことばかりが起きますから、本格的に目覚めれば、宇宙が消えてもおかしくない気はします。
父の作った宇宙と地球の創造神が作ったもう一つの宇宙がぶつかり、一部が融合してくれたおかげで、私は地球人との遊びを大いに楽しめましたからね。できれば宇宙の状態はこのままでお願いしたいところです。
さてさて、どうしましょうか。まあ、父は音楽を聴きながら寝るのが大好きですから、新しい楽士の調達ですかね。それでダメなら諦めて別の宇宙にでも行きましょう。閣下はどうせ愛しのリンダを連れて別宇宙に避難するでしょうし、ついていけば私も死なないで済むでしょう。こういう時のためにわざわざ閣下と繋がりを持ったんですよ。




