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第九話 それからの諸々です!

 アクセーン男爵家は終わりを告げました。


 いまある土地は、暫定的に国へと移管され、いずれは辺境伯領に連なる誰かへと――或いは私へと下賜(かし)されるそうです。

 もちろん、それだけの功績を積めば、ですが。


 さて、お父様たちは爵位を捨てることとなりました。

 いろいろな事情から平民になるしかなかった方々が収容される村で、見張りと、偏見の眼差しを向けられながら過ごしているそうです。


 お母様はしばらくは泣きわめいていたそうですが、いまではどこか、(ほう)けてしまったようだとも言います。

 お辛いでしょうが、落ち着かれることを切に願います。


 一方でお父様は憑き物が落ちたようで、薪割りに畑に家の修理にと、毎日忙しくしているようです。

 暴力や暴言をふるう機会もなくなったらしく、目先のことをこなすことが、案外精神の平穏には一番貢献するのやもしれません。


 ビタはといえば、いまだに村からの脱走を計画しているらしく、どうやら何も諦めてはいないようです。

 毎度も捕らえられては見張りのかたから長いお説教をされて、それでも同じことを繰り返しているそうなので、本当にめげないなという気持ちになります。


 いつか家族に差し入れなどをしたいと思いつつも、それはいまではないと感じるのでした。


 ところで社交界なのですが、ちょっと困惑する状態になっています。

 私こと、アンリ・ユングバリをモデルにした〝物語〟が流行してしまったのです。


 幼い頃から虐げられて育てられてきた、古い時代に栄えた異国の王族の血を引く娘。

 それが政略結婚に出された結果、持ち前の活発さから次々に結果を出し、立身出世を重ねていき一躍時の人と成る……などという演劇がどこぞで上演されて、語り草になっているのです。


 意味がわかりません。私はそこまで大仰な冒険も陰謀劇も経験していないのです。

 しかし、実情はもっと大変です。

 これが国外にも輸出された物語だったらしく、ガリューン帝国やアジフ国と交易を行うたび、ユングバリ領にはそんなお姫様がいるのかと話題になっているらしく……ああ、もう、穴があったら入りたい気分です!


 これを広めたのが、どうやらレクターさん。

 無駄に広いと讃えられる顔を利用して、あちこちに売り込みに行ったのだとか……。

 もちろんありがたい話です。

 なにせ、おかげで三角貿易はつつがなく行われていますし、社交界を通じてたくさんの援助金が辺境伯領には流れ込んできています。

 当然、復興と治水工事のための資金として活用しています。


 アズラッドさんもこれに一枚噛んでいたらしく、とうとうアジフ国での足場を整えることに成功したとのこと。

 つまり、諜報機関員として、立身出世を果たして、政治的にも盤石の影響力を持ったと言うことでしょう。

 そこに、私の生い立ちが噛んでいるというのは、大変複雑な気分ですが、一端忘れることにします。

 というのも、アジフ国と辺境伯家が、本格的に休戦状態に入ったからです。

 優先的な取り引きも約束されており、あちらとしても今回の暗殺騒ぎはなかったことにしたいという意図が見え隠れするので、できるだけ好条件を引き出しましょうというのが、辺境伯領の総意です。


 では、私たちはどうなったかと言えば――


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