第十七章 第八節
こちらが予想した通り、翌日からノクティア領邦のヘルヒンに対する攻撃が一斉に始まった。私はそれでも我々が守る西側の城門に対しての攻撃が一番厳しいと思っていた。だが、どの方面にも同じように攻撃が始まった。いやむしろ、ここに対しての攻撃は少ない。相手がこの西門を攻撃するのは難しいと思ったのか・・・・敵全体の数からすると五百名以上の敵兵がこちらに向かってくると思ったが、手前の森がそのことを阻んでいるのか、散発的に弓兵やなどが攻撃を仕掛けてくることが多い。よくよく考えれば攻城兵器がなかなか持ち込めないので、こちらの方は守備側の有利となっている。
わあああああああ
がごん!
ががん!!
遠くで南門、東門の方での攻防が激しくなっている。目線はなかなか向けられないものの、地響きのようにこちらに聞こえてくる。
「ピル隊長、ほかのところはもつんすかね?」
敵の矢が降り注ぐ中、城壁の陰に隠れている副隊長のリオが私に言ってくる。ほかのところを考えている余裕があるということは、ここの門は概ね大丈夫だろう。
「まだ敵が総攻撃始めて3日目です。しかも梯子を使って城壁を乗り上げる、肉弾を用いた攻城攻撃は初めてません。確実に彼らはこの後来るであろう、本体を待ちながら、少しでも司令部に対して最低限必要な成果を上げようとしています」
「これでも本気じゃないっすか?」
「そうですね。本格的な戦いが始まれば、もう見境も無く目の前での殺し合いです。まだそれでもお互いの距離を取っている状態ですから・・・・ただ確実に防衛力は削られていますし、兵はもちろん、住民も疲弊し、神経がやられ、食料が手に入らず飢餓状態になっているはずです」
現にこの西方面では、脱走兵はほぼゼロに等しいのに、別の各方面ではかなり出ていると報告で聞いている。それが普通である。圧倒的な兵力の差があり、彼らはこの後確実にヴァルドリス王国の主要都市、もしくは首都を目指して行進するはずである。つまり、途中ついでで小さな町を一つ落とす感じで、ここに攻撃を仕掛けている。極論無視しても構わない程度の場所なのである。その力学から考えれば、この街は早急に降伏して、彼ら軍隊の養分となるのが通常である。むしろ西方面の部隊の逃走兵が少ない理由は、『最後に逃げればいい』という、どのような形であれ肝が据わっている状態になっているからである。
「隊長!」
兵の一人が敵兵の方を指さす。何本かの梯子が城壁に迫る。
「油を使うぞ!」
私は既に準備がしてあった、城壁上にある大きな釜を指さす。その中には高温で煮えたぎって油が、敵にダメージを与えるためにグツグツ音を立てている。
ばあしゃあ!!
ぎゃあああ ぐああああ!!
これも時間のある時に用意をしていた、柄の長い杓で、わが兵が次々と敵に城壁の上から油を落とす。こちら側がダメージを受けないよう、多少油を入れる容量が少なくなっても、柄の長さを優先させた杓を使っている。
「主に梯子を持ってる連中をねらえ!弓は援護しろ!」
私は全体を見ながら指示していたが、奥からさらに敵兵が次々と現れた。
「!・・・・」
その状態を見て、我々の兵が少し動揺した。とても彼らが城壁を落とせるような状態ではないが、連日の戦に加え、敵の数が増えてきても減ってはいかない状況に、どこかで心が折れそうになっているのはわかる。
どうする—————
もちろん幾つか手を考えてはいるが、この後戦がどこまで続くかわからないゆえ、作戦のカードを切りすぎるのはあまり良くない。この戦において何か突破口はないかと、ここ最近では夜も町中をかけすぎ周り、少しでも有利になるためのきっかけを探し続けている。だがまだ、次の道が見える展望台までたどり着けていない・・・・
「ビル隊長、見るっす!」
今度はリオが私に声をかけ、ある方を指さした。白い影(影が白いというのもおかしな話だが)城壁の上からは少し距離が遠く、見えにくいが、何か蜃気楼のようなものが自分たちの見ているところから、左手の方に流れていく。この戦いが行われている場所より距離はあるが、誰にもみえる。
なんだ・・・
あれは・・・・
高い位置にいる我々だけでなく、敵兵のいくらかもそちらに目線を向けた。その蜃気楼はまるで風の流れのようにゆっくりと・・・しかしよく見ると、早く奥の方へと抜けていく。それは水路を辿っていっている。
「!・・・・」
私は正確さと細かさではわからないが、 大きな幅の力学として、そこで何が起きているのかは直感的にわかった。
「中心から右側を主に攻撃しろ!こちらから左は開けておけ!今日の戦いは明らかにここが勝負だ、投石も含めて一気にいけ!!」
私がそういうと、大量の弓と大量の油と、大量の石が一斉に敵に降り注ぐ。
うがああ!!
ああ!!
があああうあああ!!!
突然数倍に及ぶ上空からの攻撃に、敵の攻城に対する矛先が鈍った。その直後、敵兵はまるで先ほどの蜃気楼に吸い込まれるように、武器を捨て水路を駆け出した。その奇妙な動きに、わが兵も思わず手が止まりそうになるぐらいだった。
「緩めるな!!」
私の大声で皆我に返ると、逃げ惑う敵兵に追い討ちをかけるように、激しい攻撃を繰り返した。後方から来ていた敵も逃げ出した。目の前から敵兵が一掃された。遠くの方では、まだまだ続く攻防の叫びが聞こえている。
ハーハーハー
周囲で激しく息を整える声が漂う。ゆっくりと、ゆっくりとリオが近づく。
「ビル隊長・・・・あいつらなんで、急に向こうの方に逃げ出したんっすかね・・・・」
ビルは、先ほど敵兵が逃げていった水路の方を指さした。
「・・・・・・・・」
どこから答えればいいのか・・・・今言う必要があるのか・・・・・果たして説明をして信じてもらえるのか・・・・・・
私は途中で分かった。
法図だ—————
セドリックがこの門の地面に描いた法図・・・・・
彼の説明だと、敵の方から流れてきたエネルギーを水路に通して戻す。この門に敵のエネルギーを正面からぶつけるのではなく、逃がし口を作っていくことで、まるで風や水が自然と流れ吹き抜けていくように、その道を通って彼らの陣地に戻す。地面の高さから見れば、ちょうど水路を通して敵の元いた陣営が遠くに見える。彼はその流れを利用するといった。
「・・・・・・・」
私は黙っている。リオはまだ私の答えを待っている。
そうだとして、あれはなんだ・・・・あの白い影は・・・・・
不思議な揺らめきが水路へと皆の視線を導いた。しかもここぞというタイミングで・・・・セドリックはずっとこの戦を見ているのか?そして最善のタイミングで何らかの指示をし、何かの奇術を使ってこのような結果を導き出したのか・・・・
ハーハーハーハー
自らが静かに肩で息をしていることに、今気づく。
「確認してみる・・・・」
私はリオに対して、返事とも返事でないともとれない言葉を伝えると、ゆっくり階段を下りる。周囲を見渡しながら自分の兵の状態を見る。何名か負傷し手当てを受けている。
「隊長⁈」
私が門まで来ると、門を守備していた兵が『外に出るのですか?』という表情で私を見ている。私は静かに頷く。
「開門!」
ぎぎぎぎぎぎぎ
当然のごとく、目の前に立っている敵兵は一人もいない。だが地面には身動きをしない敵兵と、地面に突き刺さった矢と石、肉が油で焼けた悪臭が漂っていた。ゆっくりと水路のほうに歩いていく。以前そうだったように、遠く戦いの煙が流れる中、敵陣が見える。まだ数名が、この場で戦っていたであろう、たなびく布を引っ張りながら、敵陣の方に逃げ去っている。足元を見る。やはりよく見ないとわからないが、確実に、セドリックの描いた法図見て取れる。私はどうしても、まじないのようなことを素直に受け取ることができない。受け取るのが怖いと思ってるかと言われれば、それは少し違う・・・・・この世界には人というフェイズでは理解を仕切ることのできない(少なくとも現時点では解明されていない)ことがたくさんあるのは、理論上自分の中では落ちている。しかしそこに手を突っ込むということが、この先の自分にどのような未来が待っているのか、そのことがあまりにも不明瞭でありすぎる。ここで己の決意表明とも言える『そのようなものに惑わされず、使いこなしてみせる』というのは、どこかでうぬぼれ以外何者でもないと思っている。そのことで必ず、よい方向には結果は導かれないと、どこかで確信を持っている。
「!・・・・・」
遠くに・・・・水路のずっと遠くにセドリックが見えた。模様が描かれた厚手の服。体中に飾られたアクセサリー。私と目があったかと思うと、短くもあり、永遠でもあるやり取りを繰り返した後、彼はすーと路地の中に消えていった。まさしくその直後であるにもかかわらず・・・・・彼が立っていたのは現実か夢か、もうすでにわからない・・・・
夜になる。ここのところずっと『なにか』を探して、ヘルヒンの街の中を私は走り回る。『なにか』を探して・・・・・少なくともどの城壁も、現時点では敵兵に越えられた様子はない。だが馬を走らせて状況を見ると、もう一日も持たないではないかという空気感だ。
ざざざざざ
遠くの方で2,3名の兵が隠れながら走っているのが見えた。武器は持ってない。おそらく脱走兵であろう。脱走はもちろん重罪である。しかし、彼らを止めたところで何になろう。エリアール上官は、あれからほとんど私のところに姿を見せない。もちろんほかのところが忙しく、私のところはほっておいてもどうにかなると思っているのであろう。特に何か言って欲しいわけではないが、一つだけ聞きたいことがあった。
『援軍は来るのか』——————
いや、今来てない時点でそれはもうないと思ってよいだろう。本来であればこのヘルヒンから南のバラクローナから援軍が来るはずだった。だがおそらく彼らは、この街を見捨てたのであろう。戦においてはあまりにも、あまりのもよくあることだ。みんな自分の身を守る。他人はその後の後だ。
「!」
戦になって街の灯はほとんど消えている。だが珍しく飲み屋〈カッパー・マグ〉の建物に小さな明かりがついていた。柄にもなく・・・私は少し嬉しくなった。馬をそちらに近づけようとした時、建物の中から3,4人の兵が出てきた。私は思わず身を隠した。男たちはつらい今を忘れるための陽気さで、建物を去っていく。だが雰囲気、お酒を飲んでいる様子はない。違和感と違和感と違和感が重なる。だが私は、ここで〈カッパー・マグ〉の扉を叩かない強さは、まだ持ち合わせてなかった。
ぎぎぎぎ・・・
「マーヤさん・・・リュミナさん、ティナさん」
「!!・・・」
1階のテーブルがある所で誰かが大きく、びくり!と動いた。思わずわたしもピクッとした。
「あ・・・ビルかい・・・」
ほとんど明かりのない暗がりの中で、つかれたように椅子に座っているのはマーヤだった。
「あ・・・はい・・・」
「顔合わせのもずいぶん久しぶりだね・・・・たしか・・・一度偉い人に呼ばれてここの個室で・・・」
「あ・・・はい・・・」
同じ返事をしてしまう。どこか息が切れたようなしゃべり方。体の芯から疲れて切っている感じ・・・いや、エネルギーのない感じ・・・・
「・・・・・・」
マーヤは私を見つめるが、何も言葉も発しない。口元は、以前絶やすことのなかった笑顔のかけらも無い。
「灯りが見えたんで・・・それで」
どれだけ沈黙があったか分からないが、このまま出て行くのもおかしいと思い、私は言葉を絞り出した。
「・・・・あ・・・そうね・・・・」
彼女は一言返事をしたが、また沈黙が続く。そして、最後の力を振り絞るように愛想笑いを塗った言葉を私にかけた。
「ねえ・・・・この戦いつ終わるの?」
「・・・・・・」
彼女の言葉の意味が、理屈上で分かる。どの民衆も疲弊しきっているように、彼女もその一人である。だが私の持っている感覚とそれらは、おそらく果てしなく乖離しているであろう。どちらが良いとか悪いでは無い。そのような事実だけである。
「・・・・・分かりません」
「フンッ・・・・・」
彼女は明確に、故意的に、攻撃的に私に向かって鼻で笑った。彼女は千分の一でも、万分の一でも「もう終わる」という言葉が欲しかったのだろう。すべてが『乖離』と『乖離』の中にある。現実と思考、実景と妄想、他人と自分、敵と味方・・・・・
「出てった男達、見たんだろ?」
私は何も言わない。
「そうだよ、あいつらの相手をしてたんだよ。娘たちもそうさ・・・リュミナもティナも、今2階で死んだような目をしてベッドの上で倒れてるよ・・・・・・」
私は何も言わない。
「なんでか分かる・・・? 食べ物がないからよ・・・・・ 敵兵がこの街を囲んでからすぐに、どのお店もヴァルドリス正規軍に食べ物を徴集された。商売の物ももちろん、私たちが生きるために必要な物も一緒くたに・・・・・」
私は何も言わない。
「その前に散々軍に協力したのに・・・・店も改装して・・・割の合わない料理も出して・・・・・散々協力してきたのに・・・・・」
分かっている。人は常に、その瞬間自分の有利にすべてを働かそうとする。当然多くの場合が、短周期、狭範囲で・・・・・みんな知っている。一つでも相手ものを奪うことが自分に有利になることを。彼女達から奪えば、彼女たちは必ず困窮する。その上でさらに彼女達に別の要求をする。
「見てよこれ・・・」
マーヤは、隣のテーブルにあった豆と干し肉を見つめる。
「私たち、こんだけのために、こんなことしてんの・・・・・」
分かっている。余裕がある時、人々は分け合う気持ちを持てる。しかし非常事態になれば、いつ自分たちの食べ物がなくなるかと思うと、多くを囲い込む。己の倉庫に物があっても、ないフリをして他人から得ようとする。私が軍に所属していなくて、一民衆であれば、同じことをしないのはほぼ不可能だろう。「分かち合えば余り、抱え込めば足りず」このような言葉は、アカデミーにいかなくても習っている。だが現実には、いつもこのような状態になる。
そして、弱いものから・・・弱っているものから順に叩かれ、苦み
死んでいく—————
「この間なんかさあ・・・うちの前を偉そうな軍人にへばり付いてるノワは通ってさあ・・・いつの間にかどこかに消えたと思ってたら、なんかうまくやってるみたいでさ・・・・私たちの痩せた姿見て、『哀れね』って干し肉を投げてきたの・・・・私たちは地面に落ちたそれを拾ったわ・・・・あの子前よりも色艶良くなって・・・アクセサリーなんか身に着けてて・・・・・」
ノアはこの店で奴隷のような扱いを受けていた。ほかの人から見れば、当然の報いという人もいるかもしれない。私はあまりにも暗くて気づかなかったが、確かに以前のマーヤからすれば信じられないくらい痩せていた。
「ねえ、ビル!軍の食料を横流ししてくれない?ねえ、お願い、じゃないと私たち死んじゃう!少しでいいの、お礼もするから!私たちだけこんな目にあうのはおかしいじゃない」
言葉が乱れ、溶けている。既に彼女は自分が何を言っているのか、どんな言葉を使っているのかが分かっていない。ひたすら口が動くままに懇願を繰り返すしかない。
「ねえ!ビル!助けて、私たちがノアに食べ物の恵まれるなんておかしいでしょ!第一あなたたちの軍の食料も私達から奪ったものなのよ、本当は私たちのものなのよ!」
半狂乱で叫んでくる。私は何の言葉をつなげようか、そのように思考している目が、彼女には気にくわなかったかもしれない。彼女は一つだけ『君のためにすべてを行ない、全てを捧げる』と言って欲しかったのかも知れない。
パリ!!
マーヤは近くにあった皿を手に取ると、私の方に投げつけてきた。それは壁に当たり砕け散る。
「なによ!アンタも私達から全部奪うんでしょ!!」
パリ!!
パリ!!
大きさの違いがあったとしても、おそらくこの街の中で、同じようなことが起きている。戦が始まってティモの家には当然帰っていないが、おそらくその方が正解であろう。
「うあああ!!ああああ!!!」
パリ!!
パリ!!
パリ!!
パリ!!
奇跡的に違いが、私の部下にはまだ死者が出てない。しかしそれに値する怪我をしている者もいるし、ほかの部隊では大量の死者が出ている。彼らからすれば『我々は日々死と隣り合わせで戦っている』『文句があるならいつでも代わってやるぞ』と言うだろう。すべての人に余裕がなくなり、すべての人が傷つけ罵り合い、弱い者を見つければ徹底的に叩き落とす。そして戦が終われば、それらのすべてを『戦』の・・・・もしくは戦犯の誰かのせいにして、何事もなかったような顔をする・・・・しかしその影は、いつまでも残り続ける・・・・・
皆これを覚悟して戦をしなければならない—————
私のような一部の戦好きを除いて——————
私は黙ってその場を後にした。今の彼女はおそらく敵軍が勝つことを望んでいるだろう。その方が悲惨になるにもかかわらず、目の前の惨状がなくなるのであればと、その一点だけを願い・・・・・
「あ・・・ビルさん」
「厳しい状況ですね」
「はい・・・・」
私は南門の城壁に登った。周囲の偵察をするようになって、顔見知りが増えた。すでにあちらこちらに死体が転がったままである。衛生上すぐに片付けたほうがよいが、周囲の兵にもその気力がなかったのであろう。私はいつものように城壁に登らせてもらい『何か』を探す。いつもよりも頭がさえている。先ほどのことがあったからだろう。あまり良くない覚醒の仕方だ・・・・『自軍に帰ったら少しでも寝よう』そう思っていると、遠く軍が明らかに数を増していることがわかった。
「本体が来たのか?」
「はい・・・少し前に」
「夜進軍したのか・・・・・?」
「おそらく近くまで来ていたみたいです。夜が明けたら、いつの間にか大群が来てたように印象付けるため、このような手段をとったと思います」
確かに・・・どんなに情報を伝達したとしても、この夜にみんなに伝わることは不可能であろう。つまり、住人、街を守る兵たちは朝になれば絶望の淵に追いやられる。小さなトリックで行える大きな結果。やはり本体だけあって知恵者が多いのであろう。
タタタタタタ
少し遠くで音が聞こえる。おそらく本体の人間が偵察に来たのであろう。到着後すぐに全体を把握する・・・・・これはどうもますますもって分が悪い。当たり前のことを正しく当たり前にすることが、ここまで出来ているとは・・・・・
「!・・・・」
「どうしました?」
私は目をこらす。城壁から見える馬に乗った男・・・・
もう一度よく見る。間違いない、やはり間違いない・・・・・
大きい体に漆黒の鎧がむしろ夜に生える・・・・
「グラオ師団長・・・・」
間違いない—————
南西三国のノクティア領邦 師団長グラオ・ファルガント。シルバー先生と彼らの帷幕を訪れ、私たちは彼らと共に戦った。
「先生・・・・・何とか次の見えるところまで登り切れたみたいです」
私はつぶやいた。頭の中で次々と考えが巡る。どのような交渉をするのか、いや、まずなぜ三国の同盟が崩れたのか、そこから聞き出すことがはじめだ!
当然、彼らの本陣に赴くことは決定だ。もちろん私一人で、武器一つ持たず。
少し寂しいが一兵卒、ビル隊長はここで終わりだ。ここからは『智慧の篝火』シルバー先生の弟子、『青の谷』のセドリックに認められた男、エンドロゴス(深い思索者) ビル・フィッツジェラルドとして動く
「私は興奮しすぎている」
一言いうと、階段を駆け下りる。
仮眠はなしだ。私は簡単な指示と準備をするため南門に馬を走らせた。




