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やっぱり消えてしまわないで

リョウは、レイと並んで嬉しそうにしているように見えるユウコが不思議でならない。


たしかに、昔は妻とはいえ13歳年上のユウコが年の離れた姉に思えたこともあったが、レイと並んで座っていると同い年くらいで、リョウとも同世代といえるようになっている。


ユウコは、自分とレイが愛し合ったことも見ていただろうに、と複雑だ。


レイは、人生は素敵な恋愛のためにある、などと思ったりしない女性で、パートナーにはお互いの生活に不可侵の部分があるべきだと思っている男性しか愛さない。


リョウの妻が病気で亡くなったことも素敵なリョウの一部であるし、生涯ユウコのことを大切に思っていて当然で、リョウが大切そうに指輪に触れながら独り言を言うところも愛おしい、とレイは思う。


自分は2回ともトラブル離婚の生き別れだから、ストーカー防止のためにも優しさを残さないようにひどく傷つけあって、ものすごく疲れた、と、笑う。


レイは自分の人生が誰の妻になったかで大きく変わるのをひどく嫌っている。


最初の夫は栃木の地方都市で幼い頃から神童と言われていた秀才で、現役で東大に入り学生のうちに司法試験もパスしたが国家公務員を希望して卒業後外務省に入っていたので、国際線CAだったレイとシンガポールで出会い半年後には結婚した。


夫にとってはCA妻のレイは便利であったが、夫婦らしい幸せなひと時よりも少しでも権益の大きな仕事を執拗に追いかけることに夢中な男で、妻は人生の駒でしかないと思っていた。


離婚して1年ほどして、レイはフライト先で鼓膜が破れ、そのときの担当医と再婚したが、夫の両親をはじめ姉や妹や親戚に医師が多くCAはいつも気が利く家政婦でしかなかった。


幸い子どもが出来なかったので離婚したが、

腰痛や鼓膜破裂、メニエールなどになるリスクなんかも高いCA業を頑張っていても、何の資格もない客室乗務員では辞めた後に何も残らず生涯自律できない…と2度の結婚から悟ったレイは、

20代後半でも体力的に問題なさそうだと歯科大学に入学し、あっさりとCAを辞めた。


そんなレイの考え方や行動力がますますリョウの心を惹き付けた。


スドウたちが出掛けて2人きりの家のなかで、リョウはレイに告白をしたが、レイは別段驚くようすもなく泣いているリョウに優しいハグをした。


レイ、

死んだ妻は幽霊になってずっと僕を見守ってくれていてね、時々僕とレイの横にもいたりするんだ。

僕たちふたりの傍で幽霊の彼女が一緒に楽しそうにしているのが、時々ハッキリ見える。

そんな幽霊の妻に消えずにずっと傍にいて欲しいんだけど、

レイのことを男として好きになったみたいだ…。








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