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12/20

飛び降りて逝ってしまったハヤトのような若者を2度と出してはいけないんだ

LAの空港から40分程車で走りウエストエンドのウィルシャイアブルバードを入ると、水は止まっていて出ていないが、3メートル程の高さの繊細で凝ったレリーフ柄で三段デザインの大理石の噴水がオブジェのようにリョウ達を迎えいれた。


濃いオレンジ色の夕日が遠くのダウンタウンの街の灯りと重なって宝石をばら蒔いたように美しく輝くリビングからの景色は圧巻だ。


今回のアメリカ滞在にはスドウがマサシとマサシの大学の演劇部の後輩のケントを連れてきている。


ケントは滋賀県出身の無口で品の良い顔立ちをした青年で大学では舞台美術を担当していたのだが、

ある時予告なく来なかった学生のピンチヒッターとして舞台に立って以来、演じるという表現の面白さに取り憑かれるようになり、

マサシの現状についての周りの噂を聞いて居所を探しだし、ついにはスドウに気に入られて旅費や食費は自腹、という条件付きで同行を許可されて来ていた。


リョウからみればマサシもケントもまだ若く、演じることを生涯の仕事にするかというと微妙ながらも、

今2人ご本気であることは、リョウに向ける眼差しと毎日の真面目なアシスタントぶりでよく伝わってくる。


リョウから見れば多分2人とも、亡きハヤトが何社ものみる目のあるプロにスカウトされたような眩しい輝きや華やかさなどを生まれながら放っているスタアタイプではなく、

地道な努力を重ね続ける必要があるタイプのようだが、

モチベーションが弱いのに仕事が拡がり過ぎると心がついていけなくなるので2人はそれで良いと思っている。


リョウはユウコに会いたいのでもう3時間も一人で自室に籠っているのだが、今日はまだユウコが出てくる気配もない。


スドウがマサシとケントを連れて車で買い出しに出かけて行き、広い家にはリョウ一人が残り流れっぱなしになっている人気アメリカドラマを見るともなく眺めていた。


ヒーロー捜査官もののこのドラマはもうシーズン18で、キャスト俳優達は半数は役的に殺されたり退職したりして入れ替わり、看板主役を含む半数は15年の年齢を重ねたままドラマを支え続けている。


俳優達は15歳老けてもなんとかキャラクターイメージを保とうと努力しているが、年齢を重ねながら自然のままでも視聴者は嬉しいのではないだろうか。


ユウコは英語が強く、海外の映画やドラマの、日本とは違う言葉の背景を詳しくリョウに解説してくれていて、その頃の時間がとても懐かしい。


近頃はユウコが出てきても見えている時間が短いような気がするので、ハヤトのようにやがて消えてしまうのだろうか、と思った矢先、

ユウコがソファの反対のはしに座って嬉しそうにしている。


リョウはこのまま、しばらくドラマを2人で一緒に見ることにした。











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