もう君のその頃の歳を追い越したから、受け入れられる
幽霊のユウコには、同じ立場のハヤトが消えたことがひどく侘しかった。
ハヤトはユウコを励ますようにいつも明るく、中秋の名月なら必ず夢で話ができるということを教えてくれたり、一緒にリョウの拠点の家の賃貸契約をいいように操作してくれたり、何かと助けてくれていた。
元来ハヤトは人間の世界の頃の誰にも未練がなくすぐに浄土に行くべき青年なのだが、ユウコは違った。
実は、リョウにひどい嘘をついていたことがずっと気にかかり心に影となり、そんな自分を後悔しない日はなかったのに、そのまま急に命を落としてしまったために幽霊になっていたような気がする。
ユウコは20代でたいして好きでもない上位職の男に抗いきれずに残念ながら子をなしてしまい、
世間体から結婚せざるを得なくなってしまったが、結局母乳も出ず、ノイローゼ気味の育児ネグレクトな母親となり、やがてその子は障害もあり1歳にもならずに亡くなっていたのだった。
リョウには、離婚して家を出てから子供が亡くなったとする作り話を告白として伝えてしまい、
自分が殺したようなものであるのをごまかして他人のせいにしている。
その罰で死の病に取り憑かれ、大事なリョウと別れることになったのだとユウコは自分に言い聞かせていたのだが、
今のリョウは出産した頃のユウコの歳を越えた青年になっているのだから彼を信じて話してしまえば良いのにと、ハヤトに明るく言われていたのを思い出していた。
リョウに全てを話したら自分もとうとう消えてしまいそうな気がするユウコは、
どこかにまだハヤトがいないか探しながらリョウとマサシの演技論を聞いていた。




