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もし僕がいなくても、誰かがすぐに代わりになるもんだよね?

主役の急な代役はしょっちゅうあることではないが、作品を落とさないことで多くの関係者たちが救われることになる。


リョウくらいの実力俳優になると付け焼き刃でも充分にはまって見えることを業界の誰もが知っていた。


ヒトは産まれてくる場所や親を撰べないのに、すでにそこで人生のほとんとが決められている。


リョウは赤ちゃんのときからはっきり目立って可愛く、5歳の頃には微笑むだけで幼稚園の保育士や他の園児のママ達のハートをわしづかみにするような美しい男の子だったので、当然幼稚園の広報イベント出演や子役タレントへのスカウトが後を絶たず、あっという間に人気のある子役となって母親のパート代の何倍も稼ぐようになった。


ものごころ付いた頃から大勢の知らない他人に自分を見せる時間ばかりを過ごして生きてきたことは、臨時教諭だったユウコ先生に会うまでは嫌いで仕方なく、

いずれ逃げだすつもりでなんとか自分を騙しながら、周りの陽の当たらない部分で働いてくれる大人達のために1日1日を我慢して過ごしていたのを、はっきりと思い出した。


いまのリョウは…、?


幽霊になったユウコが現れることが減り、一人の時間はいつも仕事やオーディションに備えて学ぼうと心がけているリョウがふと撮影で見たエキストラ出演のマサシの真剣な熱い眼差しを思い出した。


エキストラの大学生らしく存在しているだけで充分なのに、演劇をやっていて場面ごとに心情や意味をつけたがるマサシは明らかに下手だったのだが、

リョウにはマサシを潰したくないという気持ちが湧いている。


ブロードウェイのオーディションが終わって次のことが決まったら、

マサシを育ててみたいのだけれど、と傍に現れてくれたユウコに問いかけると、

彼女は本当に嬉しそうに満面の笑顔を見せてくれた。


自分の劇団を持つ、とか、座長になる、という新たな目標がリョウと幽霊ユウコに出来た。


この前リョウに見えた幽霊ハヤトの姿はもうどこにも見えなかった。
























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