知りたかったもの、驚くもの。
「じゃあいきますね」
いよいよ彼の能力が見られるのか。本当にどんな能力かイメージが付かないけど、どんなのかね。
「はい、これです」
「どれだ?」
彼は右手で空中を掴む様なポーズをしている。
「どういう感じだ?」
ありがとう座長さん。多分ここにいるほぼ全員の気持ちを代弁してくれて。
「やっぱ分かんないか。じゃあ、これなら」
そう言うと彼は腕を上に伸ばし、また空を掴んだかと思ったら、彼の足は地面を離れた。
「…懸垂?」
あ、それ思った。と榎川さんがぽつりと呟いて何となく納得出来た。確かにポーズだけを見れば懸垂の形をしている。
「こういう感じで、空を掴めます」
よっ、と飛び降りる様に地面に戻った彼が、とても愉快人間に見えた。傍から見たらかなり愉快な人間にしか見えない。なんだろう、シュールって言うのかな。
「へえ、私も触れるのか?」
「無理ですね。自分限定です」
「そりゃ残念」
「まあ不便ですよ」
「そうか?私は面白いと思うけどな」
まあ使えるだけ良いと思うという意見は僕も同じだ。活用場面が想像出来ない事を除けば。
「よしじゃあ次、そこの少女」
「あ、私か」
石木田くんと榎川さんが入れ替わって座長の前に進んだ。まあ自分はどんなのか知っているから別に驚きはしないけどな。正直ここは暇だな。
「私は、髪色を変えられる。こういう感じに」
先程自分に見せてくれた様に、彼女は髪の一部の色を変えて見せた。今度は白に変えていた。青だからとても目立つなあ位の感想しか出てこない。
「あと頑張れば長さも変えられる。面倒だから今はしたくない」
「良いなあ、それ。私等の商売に髪の長さはあまり関係無いから意外と自由に出来るんだけど、いかんせん私髪伸びるのが遅くてな」
「気分で変えられるから便利だし、美容院に頻繁に通わなくて楽」
「そうだよなあ」
女子はそういうの気にするよね。たかが1センチ伸びたくらいで行くんだから、気にする人はとことん大変なんだろうな。
「次、貴方よ」
気が付くと目の前には榎川さんがいた。気付かぬうちに移動されるのは少し心臓に悪いです。
「はいよ」
座長の前に移動する。
「少年は、一体どんなのかね?」
「まあ、つまらないのですよ。ところで小物か何かあります?ボールとか」
「ボール?なら、『バランサー』」
「うぃっす」
そう返事したのは、先程叱られてた(?)人達の一人だ。『バランサー』と言うらしい。
「受け取れ」
そう言って彼は自分に向かって何かを投げた。そしてその何かは放物線を描きながら、どんどん大きくなっていった。拳サイズから、どんどん大きくなる。そして自分の元に届く頃には、それは子供程度の大きさになっていた。




