対極でも意外と合う時は合う。
なんだか嫌な予感がするっていう時は大概口から出まかせだったり、その場の雰囲気や空気感で言う場合が多いと思ってた。というかそうだろう。でも本当に実感する日が来るとは思って無かった。
冷静に外見的特徴を見る。白Tに黒のカゴパンで、赤みがかった茶髪の女性。そして響く声。間違いなく人形劇団に似つかわしいとしか思えない人間にしか見えない。
こういうのは良くないんだろうけど、思わず天を仰いでしまった。そして一気に落とし、大きな溜息も吐いてしまった。チラッと横を見たら、石木田くんはあんぐりと口を大きく開き、榎川さんは目をこれでもかと開いていた。和泉さんはこれがさも日常かの様な目をしていた。
「あの、あの人は?」
「ああ、アレがこの劇団の座長だ」
じゃあ、やっぱり、あの人から指導を受けるってコト?
「よう、『残業』。いつにも増してクマがヒドイな」
「お陰様でね。早く帰らしてくれたらもう少し減るんだがね」
「ははは」
「いや笑い事じゃなく」
どうして全く違う方面のテンションを常に纏ってる人間が、こうも楽し気に談笑するのか不思議になる。
そういえばと、彼女が大声をあげていた対象、恐らく団員なのだろうか。彼等はステージ脇やら上やらにもたれかかったりして休憩していた。数は、七人か。意外と一気に面倒見てるんだな。こういう世界の事はよく知らないけど、一人でこんなに見られるってすごいな。
「んで、そのガキンチョ共は?」
「ああ、その事ですよ座長」
「新入りか?」
「ええ、知り合いの親が子供を頼むって」
「一気に三人もか。兄妹?」
「いえ、前々から紹介しようと思ってたんすけど、上の子が受験だってんで後に回してたらかなり経っちまって」
「そっか、受験か。そういやアイツ等もそんな時期か」
「そっすね」
「いやあ、我が子が大人になるみたいで、感慨深いねえ」
「そっすかね」
「なんだよ、冷たいなあ」
「まあ、所詮は他人の子なんで。親戚とかならともかく」
「そんなもんか」
「そんなモンす」
意外と気が合うんだな。人間って案外方向性が違くても結構話が弾むんだな。
「で、どんなの?」
「ああ、それは今から。おい、お前等ちょっと能力見してみろ」
「あ、はい」
急に振るな。まあ良いけど。
「じゃあいっちゃん上の子から見してくれ」
「あ、はい、分かりました」
石木田くんが前に出た。そういえば彼の能力、まだ知らないんだよな。正直現状のイメージが遅刻魔でしかないからな。もしかしたらそっち関連の能力だったりして。




